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第7話 カルチャーショック

「私もお話ししたいと思ってたんです」


ニコニコ笑顔を向けられて、私の緊張は少しほぐれていった。


とりあえず私はここで歓迎されてるようだ。

それはさっきのリョウガさんの態度からも感じ取れたけれど。


さて何から聞こうかと思ってると、ユイさんの方から話しかけてきた。


「私の方から質問してもいいですか?」


好奇心が旺盛なのかな、と思いながらうなずいた。


「アユミさんは日本と言う国から来られたんですよね。日本ってすごく科学技術が発展してて、最先端の国って聞きました。一人一台電話を持ってるって聞いたんですけど」


「あ、スマホのことですかね」


「電話は家や部屋に設置するもので、個人が持ち歩くってすごいなと思って。いつでも誰とでも連絡が取れるってことですよね」


「連絡も取れるし、世界の情報やニュースもリアルタイムで分かるし、あとは電子決済でキャッシュレス決済ができたりとか最近はA.I.も進化してきて…」


と思いつくまま答えて、ユイさんがキョトンとしてることに気づいた。


あ、外来語やカタカナは通じないのかもしれない。


「えーっと、どこでも誰とでも連絡が取れるし、世界の情報や動きもすぐに分かるし、現金がなくても携帯電話で支払いを済ませることもできます」


「すごい…」


ユイさんは目をキラキラさせた。


「今まで来られた方もいろいろお話聞かせていただいたんですけど、その携帯電話?の話が一番興味深いです。それだけの情報を多くの方が共有してるなら、何事も円滑に進むでしょうね」


「そうですね。どうだろう…」


スマホのある生活が当たり前すぎて、改めてそういわれると新鮮だけど、確かにスマホがなかったら生活は成り立たなくはなってるな。


と思って、ふとひとつ気になったことを聞いた。


「今まで私みたいに何人も日本から来てるんですか?」


「はい、しょっちゅうではないですけど数年に一回くらいです」


「その人たちもリュウセイモンとやらを持ってる人たち?」


「全員ではなかったですけど、でも来られるのは必ず女性で…」


と言いかけて、はっとユイさんは口をつぐんだ。


「ごめんなさい、喋りすぎました。私からはこれ以上言えないので。明日夫から詳しく説明があると思います」


夫、と言われてさっきの落ち着きのある、でも謎めいたリョウガさんを思い出した。


「リョウガさんとユイさんて失礼かもしれませんけど年齢離れてますよね。年の差婚ですか?」


するとユイさんはさらりと言った。




「私は夫の二人目の妻なので年齢差があるんです」




─────────────────────




ユイさんがあまりにもあっさりと言うので、私は一瞬理解ができなかった。


「ふ、二人目の妻?」


「はい、夫には第一夫人がいて私より10歳上です。今は3人の子育てで追われててとても大変そうですが」


どこから突っ込んでいいのか分からない。


この国では一夫多妻が当たり前なのだろうか?

確かに現代世界でも国によって一夫多妻のところはあるけど、自分にとっては遠い世界の話だと思ってた。


「この国では、それは普通のことなんですか?その、一夫多妻って」


思ったまま口にすると、ユイさんは軽く微笑んで言った。


「妻を多く持つのは男性の力の証ですから。夫の立場で妻が二人なのは少ない方だと思います。同僚には8人いる人もいますから」


「8人!?」


「それだけ多くの女性を養い子どもを育てる財力と器がある証拠です。そんな男性を支えるのが女性の努めでもあるので」


「はあ…」


ついていけない。


ちょっと昔の日本に似てると思ってたけど、まさかこんな大きなカルチャーショックを受けることになろうとは。


「その、複数の女性が一人の男性に嫁いで、妻同士でもめたりとかないんですか?」


私だったら、自分のパートナーがほかの女性と仲良くしてるなんて考えられないけど。


「もちろん家庭によってはなくはないでしょうけど。でも私と第一夫人は仲良くさせていただいてますよ。強い男性の子供を産むって光栄なことじゃないですか。でも…」


「でも?」


ユイさんの瞳が少し悲しげに陰った。



「…でも、私はアユミさんみたいに自分の力で生きておられる方ってすごいなと思います」




8話まで毎日更新予定。


まさかの一夫多妻だったシオガ国。

この価値観が後々大きな意味を持ちます。

徐々に明らかになるシオガの実態。


続きは明日19時更新します。

お楽しみに。


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