第8話:偽りの暴走と裏切り
朝食中、ニュース速報が流れ、佐藤悠真の顔が青ざめる。パリの試験運用ゲート近くで爆発が発生、周辺のビルが破壊された。
ニュースは「ゲートの暴走」と報じ、フランス政府が運用停止を宣言。
SNSでは#GateFailureが世界トレンド入り。
悠真は頭を抱え、胸の痛みに顔を歪める。
「ゲートが暴走? そんなわけねえ……こちらには何の影響もないし、今までこんなこと起きたことねえ!」
メンバーがパリの事故情報を集める中、オフィスにゲート教団広報の神崎怜が再び現れる。青いローブが揺れ、妖艶な微笑みを浮かべる。
「佐藤悠真様、ゲートの暴走、残念です。我々なら力になれます。貴方の苦しみを共に背負いましょう。」
悠真は苛立ちを抑え、胸を押さえる。
「暴走? ゲートは無関係だ。お前らの偽善、いらねえよ!」
怜は目を細める。
「貴方様の理想、我々が広めます。考え直してください。」
悠真はその言葉を無視し、怜は一礼して去る。
その背中が消えると、オフィスに重い空気が漂う。
有希がイラついている悠真に近づき、穏やかに言う。
「佐藤社長、お疲れのようです。お茶をお淹れしますか? 貴方の理想、必ず守りましょう。」
彼女の声は悠真の疲れた心に浸透する。
………………
パリの爆破、怜の訪問に続き、引越し業者が受付に現れ、大きな機材を指差して
「佐藤様宛の荷物、どこに置きますか?」と尋ねる。
誰も身に覚えがない。反ゲート派の嫌がらせかと中身を確認しようとした時、健太がオフィスに駆け込む。
機材一式を運び込んだのは彼だった。許可は出した覚えはないが、今後はこのオフィスを使い研究を続けていたらしい。
ゲートの秘密を解き明かそうとする人物を遠くに置くより、近くに置いていた方が動向がわかるか。
オフィスの使用を認め、健太の報告を聞くことに。
健太がノートパソコンに信号データを映し、言う。
「悠真、パリの爆発、反ゲート派の爆破工作だ! ゲートのエネルギー波、爆発と無関係。教団がこの混乱を利用して、信者を増やしてる!」
悠真はゲートの暴走ではないという健太の意見に安堵する。
「反ゲート派の仕業か……それに怜が便乗してきたのか。」
健太は続ける。「それだけじゃねえ。黙って仕掛けて悪かったが、俺が仕掛けたカメラに怜と高橋さんが密談してるのが映ってた。高橋さんの手にはゲートの運用ログ。『教団に渡せば、家族を解放する』って怜が囁いてた。」
悠真は愕然。
「翔さんが? 家族……?」
脳内の寄生虫が囁く。
「裏切りは人間の性。ゲートを広めろ。」
健太は詰め寄る。
「悠真、隠してるよな? ゲートのエネルギー、生物の意識とリンクしてる。お前、何に取り憑かれてるんだ?」
悠真は目を逸らし、呟く。
「もうちょっとだけ、待ってくれ。」
利用者の生命エネルギーを吸い上げる秘密がバレれば、ゲートは終わる。そうなれば、俺は死ぬ――。
健太は何かを感じ取り、「強情だな。こっちはこっちで解析を進める。」と去る。
健太の報告を聞いていた亮介が言う。
「佐藤社長、高橋の行動、確認しました。教団との接触、カメラに残ってます。社長がアクセス権を付与した数時間後にゲートに関するログをアウトプットしたようです。高橋の行方は不明ですが、妻と娘が教団に拘束されていた形跡があります。残念ながら、彼女たちは反ゲート派との抗争で殉教したと教団が発表し、警察も事実確認済です。」
悠真は叫ぶ。
「翔さんが? 家族を……」 疲労で声が途切れる。
同僚と裏切りとその家族の死の報せが、彼の心を抉る。
ゲートの代償による胸の痛みが限界に達し、膝をつく。美咲が駆け寄り、「佐藤社長! 大丈夫ですか!?」と支える。
有希は悠真の苦しむ姿を、自身の心も折れそうな表情で見つめる。
手に握られたスマホには、内閣府宛の報告メールが表示されているが、送信ボタンを押せずに立ち尽くしている。
同僚に裏切られ衰弱している悠真がさらに自分に裏切られる。
送信ボタンを押せないのは罪悪感のみでは決してない。
内閣府のスパイであることを隠して、悠真に近づいたが、悠真のゲートを私利私欲に使わない姿を見て、彼の理想を守りたいという本心が、初めて胸を強く締め付ける。
任務と、芽生え始めた好意が、彼女の中で激しく衝突する。
………………
昼のワイドショーでは反ゲート派のデモが渋谷で暴動に発展、教団の信者が「悠真様の意志を!」と警官隊と衝突したことを大々的に取り上げている。
元お笑い芸人のコメンテーターと元グラビアアイドルコメンテーターは「ゲート・ソリューションズの責任」と強調する。
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