第7話:教団の司教と新たな同志
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ゲート・ソリューションズのオフィスは、教団のデモから一週間、張り詰めた空気に包まれていた。
経済混乱、ゲート教団による悠真の神格化、反ゲート運動の兆し、内閣府の圧力――社会情勢の荒波を受け、ゲートの利用は小規模に制限されていた。
利用者の減少は生命力の代償を重くし、佐藤悠真の体調を蝕む。頻発するめまい、胸を刺す痛み、抜けない疲労感。
それでも、チームの結束と美咲の温かな支えが彼を立たせていた。
ある朝、オフィスの静寂を破るように、青いローブの女が現れる。ゲート教団の紋章が刻まれたネックレスが朝日を反射し、名刺には「ゲート教団司教・神崎怜」とある。
たびたびニュースでも映るその姿は、神秘的で美しいが、どこか不気味だ。妖艶という言葉が彼女を言い表す。怜の目は、まるで人間の感情を超えた冷たさを宿している。
「佐藤悠真様、ご挨拶に参りました。貴方様のゲートは人類の奇跡。我々がその光を世界に広めます。」
悠真は苛立ちを抑え、額に滲む汗を拭う。
「奇跡? 勝手に神扱いすんな。ゲートはビジネスだ。カルトじゃねえ。」
怜は微笑むが、その目は非人間的だ。
「貴方様の苦しみ、我々が背負います。共に次元を変えましょう。」
一瞬、悠真の心が揺らぐ。
代償の重さを分かち合えるかもしれない――。だが、すぐに首を振る。
「出てけ。俺はお前らと組まねえ。」
怜は優雅に一礼し、
「貴方様の意志、必ず理解します」と去る。
その背中が消えるまで、オフィスには重い沈黙が漂った。
会議室に戻ると、中村彩花がタブレットを手に告げる。
「佐藤社長、内閣府の48時間要求、やはりブラフでした。入手した内部文書に矛盾があり、法的拘束力は皆無。単なる威嚇です。」
悠真は目を丸くする。
「マジで? 彩花さん、すげえ! どうやって分かったんだ?」
中村彩花は冷静に続ける。
「国際法の専門家として、文書を精査しました。国家戦略特区の枠組みを無視した違法な要求です。法的対抗措置、既に準備済みです。」
続けて小野寺真由からの報告があった。
「佐藤社長、話は変わりますが、教団の#GateSavior、SNSで爆発してます。神崎怜が配信を仕切ってて、信者は数百万規模に膨れ上がってます。」
悠真は驚愕する。数百万の信者――その規模なら、ゲートの代償を賄えるかもしれない。だが、胸の痛みが彼を現実に引き戻す。
「真由、美咲さん、教団の動き、全部洗い出してくれ。頼む!」
美咲は心配そうに微笑む。
「任せてください。佐藤社長、顔色悪いです。無理しないでくださいね。」
彼女のラベンダーの香水が漂い、悠真は一瞬安堵する。美咲の優しさが、冷えた心を温める。
その昼、真由が新たなインターンを連れてくる。ショートカットの美少女、有希。
サブメンバーの募集を行っていた真由が彼女の熱意を評価し採用となった。しかし、大学生のためインターンとして採用した。
「佐藤社長、有希さんです! ゲートのファンで、SNS分析にめっちゃ強いんです!」
有希は穏やかに微笑み、丁寧に頭を下げる。
「佐藤社長、初めまして。パリのゲートイベントで選考に通り、実際に体験しました。貴方のゲートが社会を変える力に感動しました。微力ながら、お手伝いさせてください。」
悠真は照れ笑い。
「お、ありがとう。めっちゃ嬉しいな。よろしくな、有希さん!」
有希は柔らかく言う。
「社長の理想、素晴らしいです。少しでも支えになれたら……。」
彼女の控えめな気遣い、整った容姿、品のある仕草は、まるで悠真の心を掴むために作られたようだ。悠真は不思議な親しみを感じ、心が動かされる。
真由が笑う。「有希さん、めっちゃ真面目! 絶対チームにハマるよ!」
………………
有希を迎え入れ、和やかなムードだったが状況は以前芳しくない。
亮介のタブレットに映るのは、反ゲート運動のSNS投稿。
「ゲートは経済を壊す! 使用禁止を!」
失業者や運送業界が渋谷でデモを計画。
高橋翔が言う。「佐藤社長、反ゲート派の資金、産油国と繋がってる可能性があります。経済レポートで、ゲートの雇用創出効果を強調しましょう。利用が小規模でも、災害救助の実績をアピールできます。その為に今後の行動予定とゲートのログを私の方で取りまとめておくので、アクセス権の付与をお願いします。」
悠真はチームの力に目を潤ませるが、疲労で視界が揺れる。「みんな、ほんと最高。有希さんも、ようこそ! ゲート、守ろうぜ!」
有希は微笑み、「社長のお役に立てるなら、幸いです」と返す。彼女の手は、タブレットの画面をそっと隠すように動く。
…………
その夜、健太がオフィスに現れる。ノートパソコンにゲートのデータを映し、悠真に迫る。
「悠真、ゲートのエネルギー波、お前の脳波と99.89%一致してる。ただ、定期的に特異点が現れるタイミングでゲートとお前の脳波が完全に一致し、次第に乖離していき、次の特異点でリセットがかかり、また脳波が一致する。まるで、誰かが意図的にお前の脳波を操作してるみたいだ。」
悠真の顔が青ざめ、胸を押さえる。
「健太、頼む。もうやめろ。知りすぎると、お前をどうしていいかわからなくなる。」
健太は声を荒げる。「お前が分かってることだけでも教えてくれよ。ピンチなら……」
悠真は目を閉じ、呟く。
「健太、ありがとう。でも、今回は……俺一人でやらなきゃ。」
健太は何かを察したように、「また来るからな」と去る。その背中に、悠真は言いようのない寂しさを感じる。
健太が出ていくと、入れ替わりに美咲がやってくる。健太とのやりとりを聞いていたようだ。
「佐藤社長、体、大丈夫ですか? この会社とゲート、絶対守ります。」
彼女の優しさに、悠真の心が温まる。
インターンの有希もコーヒーを手に現れる。
「佐藤社長、お疲れのようですね。少しでもお力になれたら……。コーヒー、いかがですか?」
彼女の控えめな気遣いに、悠真は微笑む。
「有希さん、ありがと。めっちゃ癒されるな。」
美咲が二人を見て、穏やかだが微妙な表情を浮かべる。有希はそれに気づき、丁寧に言う。
「美咲さん、いつも社長を支えてて、尊敬します。私も見習います。」
美咲は微笑み返すが、心に小さな波が立つ。
有希がタブレットを握る手がわずかに震えたことには誰も気がつかない。
…………
その後、恒例の寄生虫との対峙が訪れる。
「お前、教団を操ってるのか? ゲートの意味はなんだ?」
寄生虫が答える。
「ゲートは次元を繋ぐ。人間の命は、その鍵。お前の代償は、拡大の第一歩。」
悠真は愕然とする。「次元? 何のために?」
追加の質問を重ねるが、答えはない。
寄生虫の目は冷たく光り、胸の痛みが強まり、悠真は膝をつく。
胸を押さえながらオフィスに戻り、寄生虫との対話を反芻しながら眠りにつく。
…………
悠真眠りに落ちたあと、つけっぱなしのテレビからはゲートに関するニュースが流れている。
反ゲート派が「ゲートは社会を壊す」とデモを予告。
それに対して教団は「悠真様の奇跡を守れ」と対抗デモを計画。
週末の渋谷は厳戒態勢が敷かれ、不要不急の外出を控える旨のアナウンスがされていた。
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