表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

第2話:ゲートの力と美咲の笑顔

第2話です。

PV数増えるといいな。

翌朝、悠真(ゆうま)は会社を仮病で休み、ゲートのテストに没頭した。

カーテンを閉め、狭い部屋の中央でゲートを開く。青い光の輪は、水面が波打つように揺らめき、触れると冷たい空気が指先にまとわりつく。

微かな振動が空気を震わせ、かすかに何かが焦げる匂い。額に汗が滲み、指先が微かに震える。


「よし、まずは近場から……」


「隣の公園」と念じると、ゲートの向こうに桜の木とベンチ。春の終わりの花びらが地面に散り、朝露が草を濡らす。遠くで子供の笑い声、ジョギングする老人の足音。ゲートをくぐると、ふわりと浮遊感。足元が宙に浮き、公園の土の匂いが鼻をつく。草の感触が靴底に伝わり、朝の清涼な空気が肺を満たす。


「マジで瞬間移動! すげえ!」


次は「渋谷のスクランブル交差点」。

ゲートが映し出すのは、ビル群と人波。

ゲートをくぐると、喧騒が耳を打つ。汗と香水が混じる空気、足元のタバコの吸い殻、通行人が向けてくるスマホのカメラ。


「やば、目立つな……」


急いでゲートで部屋に戻る。さらに「横浜の港」。海風が頬を撫で、潮の匂いが鼻腔を満たす。遠くで汽笛が響き、コンテナ船のシルエットが朝霧に浮かぶ。波の音が耳に心地よい。


「物流だけじゃねえ! 旅行、医療、なんでも変えられる!」


だが、ゲートのテストのたびに体が重くなる。ゲートを閉じるたび、目眩が襲い、肋骨の奥で鋭い痛みが走る。額に冷や汗が滲み、指先が冷たくなる。鏡を見ると、顔色がさらに青白く、目の下が黒ずむ。唇が微かに震え、呼吸が浅い。


「くそ……やっぱり、生命力削られてる……」

あの声が脳裏に蘇る。『数日で死ぬ。多くの者に使わせろ。』


悠真は昨日のメモどおり、StreamStarでの配信を決意。ゲートを公開し知名度を高めて、クラウドファンディングで資金調達し、起業しようと。


決意した後の行動は早かった。

普段であれば何かと理由をつけて行動しない事が多いが今回は違った。


配信者用アカウントを作成して、配信スタートアップチャットサポートに連絡した。


新規で配信を開始したい旨を送り数分待つと、運営サポートの美咲(みさき)とチャットが始まった。


彼女のプロフィール写真――ショートの黒髪、透明感のある笑顔、瞳に宿る柔らかな光――に、悠真はドキッとした。

配信に関する事務的なルールの説明が終わり、いよいよフリートークとなった。


「佐藤さん、どんな企画ですか? 事前に教えてくださいね!」


悠真は「瞬間移動」と打ちそうになり、慌てて誤魔化す。

「えっと、マジックショーです! 詳しくは見てのお楽しみで!」


「期待してますよ! 変なことしたらBANしますからね(笑)」

美咲の返信は軽快だ。


「はは、了解! 絶対BANされないんで、安心してください!」


彼女の「(笑)」に、胸が温まる。画面越しの文字なのに、まるで美咲の声が聞こえるよう。


早速、テスト配信枠でゲートを使った瞬間移動を公開する。


配信画面に半分にはスマホのカメラ映像を、もう半分にはライブカメラの映像が映るようにした。

この辺はサポートの美咲さんが代行してくれるので、配信素人にも安心だった。


「自宅から渋谷へ!」と宣言。

ゲートの青い光が部屋を照らし、向こう側にスクランブル交差点。


視聴者数は数人だったが、渋谷の雑踏を映すとコメント欄が活性化する。


「CGだろ!?」

「マジならやばい!」

「詐欺じゃね?w」


悠真は「本物だ!」と叫び、渋谷から帰還。

先程まで数人だった視聴者数が1万人を突破。


「テスト配信はここまでです。 次の配信は3日後の同じ時間です!お楽しみに!」

そう言ってテスト配信を切り上げた。


テスト配信直後、美咲さんからメッセージ。


「佐藤さん、めっちゃ反響ありましたね!テスト配信史上コメント数最多ですよ! 双子さんとかそっくりさんを使ったんですか?」


「ありがとう、美咲さん! 双子もそっくりさんも居ませんよ笑 次の配信で美咲さんも疑ってる視聴者も信じさせますよ!」


次の配信の調整をした後、美咲さんとのチャットを終えた。


「無名の自分が配信してもそりゃ疑われるよな。まずは有名人にゲート使わせてバズらせるか」と人気YouTuberやモデルを起用し、国内でゲートを体験させる戦略を思いつく。


その直後、健太からメッセージ。

「悠真、あの動画、マジ? ネタバレしてくれよ」


メッセージは中学の同級生の健太からだった。

健太とはサッカー部で共に汗を流し、部活の後はよくコンビニでアイスや1Lの紙パックジュースを分け合った。


その後、健太は高専に進学し、大学で編入してきた。健太は量子力学の研究室に入ると目を輝かせ、「テレポーテーションの理論」を語った。悠真は「何それ、頭良すぎだろ」と笑ったが、内容はさっぱりだった。


「今、話すとヤバいんだよ……」

悠真は返信を保留。胸の奥で未読スルーにちょっとだけ罪悪感を感じて。


その日のニュース報道:


動画配信サイトStreamStarで配信された佐藤悠真氏による『瞬間移動動画』が話題になりました。

5分にも満たないテスト配信でありながら視聴者1万人を記録し、SNS上では広く拡散されています。


コメンテーターは『A I技術の進歩により、合成画像ではなく合成動画がありふれる時代になった。SNS上の動画をそのまま信じることは危険』と一蹴していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ