【世界観06】月で泣く獣と、祈る子どもたち(ジャンル:幻想×神話×儚い戦い)
【世界観06】月で泣く獣と、祈る子どもたち
遥か昔、この世界には「月を喰らう獣」がいた。
その咆哮は空を割り、光を喰い、世界から“夜の優しさ”を奪った。
以来、人々は「月」に祈る。
夜が穏やかでありますように。
月が泣きませんように。
獣が、再び目覚めませんように。
獣は完全に滅んだのではなく、“月の中”で眠っているという。
そして千年ごとに、獣の封印は弱まり、再びこの地に影を落とす。
そのとき、選ばれるのが──「祈り子」。
それは、月へ捧げる“生け贄”であり、世界の静寂を保つための犠牲。
この時代、選ばれたのは、まだ12歳の少女・エルと、同じ孤児院で育った少年・ユリ。
“祈り子”として月へ送られるエルを、ユリは救おうと決意する。
けれど、月へ向かうには、“月涙石”と呼ばれる幻の鉱石が必要で、それは命を削ってしか掘り出せない。
ユリは身体を削り、命をかけて月涙石を集めながら、月への旅を目指す。
その一方、月で目覚めつつある“獣”は語りかけてくる。
> 「我は祈りを食らう。忘れられた想いを、飲み干すもの」
「この世界は、ほんとうに“エル”を望んでいるのか?」
月とは何か。
獣とは誰か。
そして“祈り”とは、誰のためのものなのか。
ユリが月に辿り着いたとき、彼が見たのは
「誰かの祈りが、別の誰かの絶望でできていた」という真実だった。
それでも彼は、祈ることをやめなかった。
エルのために。
そして、自分のために。
世界に夜がある限り、
月は、子どもたちの祈りを受け取り続ける。
(ジャンル:幻想×神話×儚い戦い/少年少女×祈り×静かな革命)
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