【世界観03】名前を忘れた人々の集う場所「無名区」(ジャンル:不思議×記憶×群像劇)
【世界観03】名前を忘れた人々の集う場所「無名区」
この世界のどこかに、“無名区”と呼ばれる町がある。
地図には載っておらず、行き方もわからない。だが、誰もが一度はそこに「迷い込む可能性」があるという。
条件はただひとつ──「自分の名前を忘れたとき」。
無名区にたどり着いた者は、自分の名前も、過去も、何者であったかも忘れている。
そしてこの町では、誰も名前を名乗らない。代わりに、住人同士はあだ名や肩書で呼び合う。
「帽子の女」「ギター弾き」「食堂の番人」──それがこの町の当たり前だ。
この町には“名簿”が存在する。
それはこの世界のどこかにいた頃の名前を記した帳簿であり、住人たちはその名簿の自分のページを探すために、日々過去の断片を集め続ける。
しかし、名簿は“絶対に自分では開けない”。
他人が、その人の名前と過去を“思い出させてくれたとき”にだけ、そのページは開く。
主人公・シロ(仮名)は、名前も年齢も忘れたままこの町に現れる。
彼の周囲には、「なぜか皆が彼をどこかで見たことがある気がする」とささやかれる不思議な空気がある。
シロは町の住人たちとの交流を通じて、少しずつ“心の風景”を取り戻していく。
やがて彼は、“名前を思い出す”とは、ただの記憶ではなく、
「自分が何を信じ、誰を想い、何のために生きていたか」を知ることだと気づく。
けれど――
名前を思い出した者は、町を去らなければならない。
無名区に、永住はできない。
ここは“帰るための通過点”、あるいは“過去と向き合うための場所”。
「思い出したら、さよならなんだよ」
だからこの町では、誰かが名前を思い出した日、盛大な“送別パレード”が行われる。
涙と笑顔の入り混じる別れの時間。
名前を持たない者たちが、名前を取り戻す者を祝福し、そして見送る。
シロは、この町に来る前、誰だったのか。
なぜ皆が彼を知っているような気がするのか。
そして、彼が思い出す“最後の名前”とは──。
(ジャンル:不思議×記憶×群像劇/静かで、温かく、少し切ない)
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