「神だよ〜☆」
しばらくボーッと緑茶を飲んでいると、ガチャリと部屋の扉の開く音がした。音に気が付きその方向を見ると、勢いよく扉が開き白い塊が飛び出してくる。
「やっほ〜☆神だよ〜☆」
「……(うわぁ)はい、こんにちは」
……。
一瞬の静寂が訪れる。
「反応薄くない!?燈慈君!」
これが知っている相手ならうわぁ……なり、ノリツッコミなり、俺もするところだけれど、初対面の一応神様だしなぁと思うと無難な反応しか出来なかった。白い羽衣を着てこれまた美しい白い大きな翼を携えた美人の神様である。女性のように見える首元は細く、金髪青眼で、その長い輝かしい髪は葉っぱモチーフの銀色のバレッタで後ろにまとめられていた。
「ま、いっかこたつこたつ〜♬」
スポンッ!と音がしそうな感じでスライディングで俺の向かいに座ると、なかったはずの湯のみが出現して、もう1人の神様はお茶を飲み始めていた。
「あったか〜い。で、燈慈くんはあらかた地球の神から聞いてるんだよね?」
「はい、聞いています。」
「じゃあ、話が早い!私の世界に行ってもらう前に、君に魔法とスキルを与えましょう!そして、基本的に世界に送った後は神はなにも手出し出来ない。助けることも逆に君に害をなすことも出来ず、不可侵。おーけー?」
「おーけーです(グッ)」
サムズアップして答える。
「宜しい!じゃあまず魔法の説明ね。魔法には属性があって、基本的に4つ。土、水、空気、火。これを4元素魔法って呼んでる。君にはこの4つ全て付与します。そして魔法を使うには魔力が必要。魔力は実は地球人も持っています。地球には魔法がないから魔力は持ち腐れだけど……で、問題はスキルね。」
「スキルかぁ……。……え、4属性全て付与って大丈夫なんですか?」
「少ないけど、居ないこともないわね。だから大丈夫!私の世界では10歳になると協会に行って神の信託っていうのをみーんなするんだけど、貰えるギフト……スキルね?は人によって違うから色んなものがあるの。危なすぎるのは授けないけど……使い方によっては危ないかも?例えば鑑定スキル、採掘スキル、鍛治、木工、石材、調合……珍しい聞いたことがないスキルもあるよ〜☆基本的にスキルは1人1つ。珍しいと3つ持ってる子もいるけど……で、燈慈君はどんなスキルが欲しい〜?」
スキルか……そこでしばし考える。前世では家が欲しくて仕事で無理をしすぎて疲れていた。が、これから行く世界では必要無いのかもしれない……。おじさんと仲がよかったからコンビニもしていたけど、元来俺は、人当たりは良い方だとは思うし、付き合いも悪くないと思うが……人は苦手だったりする。
これを友人に言うと「え、意外!」と言われたもんだ。知っている人間ならいいが、知らない人間と過ごすのは、そつなくこなしているように見えて疲れるのだ。
そういう面倒臭い性格なもんで、次の世界ではゆったりまったり過ごしたい。聞いたところスキルは生活に直結しそうだし……。
「う〜ん、こう、農業というか、植物が早く育つようなスキルってありますか」
「あるというより、作れるかなぁ。それこそいま1人しか持ってないスキル持ちの人も居るし。んじゃ、農業育成スキルは付けるとして……調合スキルも付けとこうか。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ、鈴木 燈慈くん!楽しませてくれよ〜☆ステータスオープンで自分のステータスが見れるからね!では☆」
ぱちん。
音がして視界が白くなる。突然のことに困惑するが直ぐに眠気に近いものがやってくる。身体が霧散していくような……。
貧血で視界が白くなって倒れた時に似てるな……と思いながら、本日二度目の意識を手放した。