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疲れすぎていた

 



 今考えると……疲れすぎていた。



 実家の葱農家を継いだはいいものの、葱の収穫は11月。決して作業が少ない訳では無いが、夏の間は多いという訳でもない。

 その為、俺は2足のわらじを履いていた。親戚のコンビニオーナーをやっている仲のいいおじさんが2店舗目を出すことにしたので、その二店舗目の責任者を任されることになった。(所謂フランチャイズ2号店の責任者というやつだ。)

 真面目過ぎるというほどお堅い性格でもないが任された仕事はしっかりやるタイプの為、本業の手が開いている間だけでも……という話で。

 両親と農家をやっているので、別に一人暮らししなくても実家に住めばいいんじゃな〜い?という母親の声もあってまだ実家に住んでいたが、30も半ばに突入した俺は家が欲しかった。だから少し働きすぎたのだ……。

 仲のいいおじさんは冬に入る前にちょっとしたギックリ腰になってしまい、葱農家、コンビニ2店舗掛け持ち、シフトが埋まらなければ自分が出勤するしかない……という鬼の仕事量に忙殺されたのはコンビニを任されて2年目の時だった。




 ここ最近あまり寝れてない。

 コンビニの仕事にひと段落付き、1度家に帰りシャワーを浴びて葱の畑の雑草を抜きにいかなきゃな~なんて考えながら店を出た。


 太陽が登りつつあるが、冬になりかけの朝は、既に指先もかじかむ。家も近いので徒歩で帰ろうと道路沿いをボーッと歩いていた。


 柴犬を連れた禿げた爺さんが前から歩いてきていたのは見えていたが、その爺さんが血相を変えて何か叫んでいる。脳が疲れすぎて処理できないけどなんか叫んどるわ爺さん……と思っていたら身体に大きな衝撃が走った。


 ガシャァァン!!!!!!


 道路沿いのガードレールが歪んでいるのが見え、車のタイヤも視界に入る。同時に、何かヌルヌルとして温かいものが体の下に溜まっていくのを感じる。なんだ?と思って右手で触ろうとしたが右手が動かない。


 そこで気がついた。


 ああ、俺の血か。


 爺さんがなにか叫びながら、声をかけているのがかろうじでわかる。足音とどこからが女性の悲鳴も。


 最後の景色はそれだけで意識を保とうとしてもプッツリとそこで視界がブラックアウトしてしまった……

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