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9枚 夢だった

〈登場人物〉

朝倉あさくら 悠斗ゆうと 高2

石田いしだ 玲汰れいた 高3

瀬名せな 輝香てるか 高2

石田いしだ 優太ゆうた 24歳

俺とセンパイ。そして、新メンバーの瀬名は一緒に帰ろうとしていた。

俺たちの通っている、武壮野高校は駅と俺。センパイの家の間に位置していて、正門から出て、右が駅。

左が家となっていた。そして、俺とセンパイが左に進もうとすると、瀬名は立ち止まり口を開けた。


「僕の家、こっちなので。石田さん。朝倉。また明日」


そう言って、帰っていった。

正直、アイツに呼び捨てにされるほど仲良くなったような気は1ミリもないが、もう気にしないことにした。

そして、さっき部活途中にルインの交換も行い、グループも作れたので何かとこれから便利になりそうだ。

すると、センパイが歩きスマホをする俺に話しかけてきた。


「悠斗が歩きスマホとは珍しいな」

「そう?」

「うん。それに…部員増えたの嬉しいんだろ」

「え?」


俺はスマホに反射した自分の顔を見つめる。確かに、グループルインを開きながら、口角を上げて嬉しそうにしている自分がいた。俺は照れ隠しにスマホをポケットにしまうと、話を切り替えようとする。


「ところで、センパイの家での勉強会。何持っていけばいい?課題と菓子は元から持っていく予定だけど」


すると、センパイは顎に右手を当てて考えている。

センパイの考えている姿は昔から変わらない。

そんな事も瀬名は知っているのだろうか…

そう考えた俺は背筋が凍るような感覚になった。

そう言えば、あの視線は確かに、2年生になってからつくような感じだった。

ストーカーの恐ろしさを感じた俺はセンパイを見て気を紛らわした。


そして、センパイはまた話し始めた


「ゲームとか持ってくれば?」

「いいの?やった~」


そう言って俺がルンルンと回りながら歩いていると、センパイがスマホ片手に驚くことを俺に提案した。


「悠斗。今日泊まる?」

「マジ!」


俺は嬉しそうにセンパイに近づく。センパイはスマホを見せながら話した。

その画面は、センパイのお父さんとのルインだった。


「今日から父さんが出張なんよ。優兄も〈悠斗ともっと喋りたい〉って言ってたからさ」

「いやぁ~ありがたい!俺の父さん母さんも丁度明日まで旅行行くんだって。だから、夕飯どうしようか迷ってたんだよ~」


そうして、俺とセンパイは自分の家へといったん帰った。その後俺は、チャチャッと風呂を済ませ、歯ブラシと勉強道具。菓子、スマホやゲームなど必要なものを大きめのカバンに突っ込んだ。

その後、親に連絡を入れて、家の鍵を閉めてからセンパイの家のインターフォンを鳴らした。

センパイはゆっくりとドアを開け、俺を中に入れてくれた。


「おじゃましまーす」


そう言って俺が玄関で靴を脱ぎ、揃えていると奥から優君が顔を出してくれた。だがその姿はまるで…


「お~さっきぶりだね。いらっしゃい悠斗~」

「ワーオ」

「優兄ここから、見るとね。・・・フフ…ただの生首にしか見えない」


センパイは笑いを堪えながら優君に説明をした。それと同時に俺は腹を抱えながらスマホで優君の生首風姿を写真に収めた。


――パシャ――


「2人とも~ご飯できたよ~」

「はーい」


俺とセンパイはリビングでゲームをしていて、そこの机に優君が夕飯を運んでくれたのだった。


「ありがとう。優君~」


そうして、ゲームを一旦セーブした後。手を洗い、席に着いた。

昔から俺はセンパイの家に遊びに来ており、俺なりの定位置というのが存在している。

ここの机は4人掛けで、2人ずつ座れるようになっていて、センパイの席はキッチンに一番近い席。

俺はその右側でテレビの隣。

そして、優君は俺の向かいに座っている。

・・・きっとここに俺が座るべきではない。ここの席に座るはずなのはきっと…


そうして、昔のことを思い出す。


その日は俺がセンパイの忘れ物を届けに行った日だった。

俺は日直のため家に帰る時間が遅くなってしまい、そのため、忘れ物を届けた時間は夜の7時頃と夕飯の時間真っ只中だった。

当時小学2年生で、身長の低かった俺は背伸びをしてインターフォンを押し、出てくるのを待った。


数秒後、ガラッと扉が開いた。

そこには、センパイのお父さんの姿があり、俺は〈れいたの忘れ物〉と言って渡した。

センパイのお父さんの後ろにはリビングがあり、夕飯を食べている人々の姿が…

そして、俺の席に座っていたのは、センパイのお母さんだった。

――「悠斗!」――


「おい悠斗!」


俺は…


「悠斗!大丈夫か?」


俺は…何を…


「お~よかった~」


そうして優君は胸をなでおろした。


「お前。夕飯食う前にいきなりぶっ倒れたんだよ!」

「・・・じゃあ、あれは…ゆ、め?」


さっきまで俺が思い出していたのは…いや。夢に見ていたのは、一体どんな心理が働いたのか…

俺は不思議に思いながらも体を起こした。

その姿をオドオドと見つめる、優君とセンパイ。

俺はまたセンパイに心配させちまった。


「ごめん。センパイ。優君。2人は夕飯食った?」

「まだだけど…」


そうして、俺はスッとバク宙をして立ち上がった。

寝起きだからか、少しよろけたがそのまま俺は後ろ。

センパイと優君の方を振り向き二カッと笑って見せた。

その顔が実際どんなに自然な笑顔かなんて俺には分からない。

だが、少しでもセンパイの心配を和らげる事こそが、俺が最も大切にするべきことなのだ。


「さ。夕飯。食べようぜ」


そうして、〈いただきます〉という声がリビングに響くのだった。

悠斗なりに考えていることが少しずつ分かってきました

次回はドラ様のように、節目という事で「みんなについて」という回を出す予定です。お楽しみに

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

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