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8枚 新メンバー襲来

〈登場人物〉

朝倉あさくら 悠斗ゆうと 高2

石田いしだ 玲汰れいた 高3

瀬名せな 輝香てるか 高2

石田いしだ 優太ゆうた 24歳

佐藤さとう 圭介けいすけ 高2

結論から言おう。俺。

朝倉悠斗と石田玲汰センパイは食堂の席で、割り箸を食べ物の中に入れただけで、

一口も食べられていないのだ。

だから、ほぼ、午後の授業は頭に入っていない。


だが、とってもラッキーなことに、仕事終わりの優君が放課後。

部活の時間にわざわざ、写真部に出来立ての学食を届けてくれたのだった。


「優君!ホントにありがとー!マジで腹減りすぎて飢え死にするとこだった!」

「そりゃあ良かったよ。ていうか、悠斗身長伸びすぎだろ~」


俺は優君と最近の話をしていると、センパイが話を切った。


「はい。8ぎり!」

※「いつの間に大富豪してたんだよ!」

「そんなことどーでもいいのよ。それより。

悠斗と同じ赤色のネクタイしてるんだけど、この人についてはどうなのよ?」


そう言って、センパイは俺ができる限り無視を続けようとしていた

赤いネクタイのヤツを指さして言った。

俺は申し訳なさを顔に出しながら、センパイに精一杯の言葉を掛けた。


「センパイごめん。残念ながら、俺コイツと同じ学年だけど全然分かんない」

「コイツとは失礼な!」


机をバンッと叩きながら立ち上がるネクタイ。


「まぁまぁ」


と優君がネクタイを落ち着かせると、ネクタイは溜息をついた後、唐突に自分について話し始めた。


「僕の名前は輝香。瀬名せな輝香てるか。2年5組で転校してきた者だ」

「――あぁ!今思い出した!

午後の授業の学年集会でなんか紹介されてたな。優君のしか聞いてなかったわ」

「それ、悠斗。遠回しにディスってね?」


センパイがツッコミながら俺はその輝香とかいうヤツの自己紹介を思い出す。


――5限目『学年集会』――


はぁ。今日集会多すぎだろ。

体育座りは体育の時だけで十分だっつーの。

そう思いながら、俺たちは各階にある多目的室に集合した。


背の順でも近い圭介と話しながら開始を待つ中で、とある噂話を耳にした。


「今日、転勤してきた先生居たじゃん?」

「あぁ。石田先生だっけ。イケメンだったよね~」

「それで、もう1人。イケメンが5組に転校してきたらしいよ」

「じゃあ、その集会かな?楽しみだね」


そんなことを女子たちが話してたっけ?だが

その部屋に現れたのは噂通りの美少年だった。

顔はシュッと細く。その小さな顔の中に大きな目が付いている。

確かに、売れっ子俳優のような人だったのを覚えている。


集会では前半、優君が話をして、出てきたら嬉しい学食についてのアンケートを取っていた。

その後、俺は眠すぎたためほぼ頭に入れていなかったが、一つ覚えていることがある。


5組の担任の先生以外。

とても驚いた様子でいた。

それは、生徒からの質問コーナーで起きたことだ。


「ほかに質問がある生徒は~?時間的に最後かな?」


そう言って、聞くと俺の前に座っている圭介がキレッキレに手を挙げていた。

そしてそれを先生が当てると、圭介は質問のためにマイクを受け取った。


「2組の佐藤圭介っす。

フツーに嫌だったら答えなくてもいいけど、輝香くんって彼女今までいますか!」


圭介が質問をしている途中。輝香は口を開けて、答えた。


「てるさんは女だよ」


そう答えたとたん、部屋に1秒の沈黙と40秒ほどの驚きの声が響いた。

その後、圭介は


「彼女以前に、女なのかよ!あの顔でどれほどの男が犠牲になったのだろうか……」


俺がその言葉に少し吹いたのは覚えている。


――時を戻して現在――


俺は基本。女子が好きじゃない。

だから、コイツも嫌いなタイプだろう。

そう思っていた。


だが、今日部室での様子を見る限り。

先輩後輩の意識はしっかりとあるようで、さっきからセンパイには敬語をしっかりと使っている。

でもって、変な媚売りもない。


――そんなに悪い奴では無いかもな


そう考えていると、センパイが話し始めた。


「ところで、瀬名さんはどうして、部室に来たの?自分の部活は?」

「てるさんの事は、呼び捨てで大丈夫です。えっと。

僕は部活にまだ入っていなくて今は帰宅部です。

で、今日写真部に来た理由がこれを渡すために来ました」


そう言って、自分のカバンの中から4つ折りのプリントをセンパイに渡した。

それを俺と優君が覗くと、そこには『入部届』の文字が……もしかして、コイツ。


「石田さん。僕を写真部に入れてください!」


そう言って輝香は頭を下げた。


「瀬名 輝香。僕は始業式の日の朝。

あなたの事を見かけてから、人生で初めて恋というものを知りました。

石田さんの誰にでも優しい人柄。礼儀正しい姿。整った顔立ち。全てに心打たれました。

あなたのような方になるため、写真部の部員として青春を謳歌した後。

ぜひ、石田さんと恋人になりたいと思います」


そうして、立って話を聞いていた優君は突然の告白やらなんやらで、いきなり白目を向いていた。


「――」

「あぁーあ。優君。情報量多すぎて壊れちゃった」

「まぁ。入部自体。俺はなんでもいい。逆に入って欲しかったレベルだ。

でも、決定権は悠斗に渡そうと思う」


そう言うと、センパイは優君を椅子に座らせた俺の方を指さした。

たぶん。俺の女子嫌いを分かっての事だと思う。


俺だって、ここまで来て断るほどの鬼じゃない。

だが、そう思わせるコイツ。瀬名の雰囲気も関係しているんだと思った。

そして、俺はそのままコクリと頷いて、2年5組の瀬名 輝香が写真部の部員として入部したのだった。

※大富豪とは、トランプのゲームの一つで、その中の8のカードを出すと、今まで出ていたカードを没にできる、結構強いカードの事です。

今回は今まで出てきた方々が勢ぞろいだったので、書いててとても楽しかったです!

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

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