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7枚 勧誘の嵐

〈登場人物〉

朝倉あさくら 悠斗ゆうと 高2

石田いしだ 玲汰れいた 高3

佐藤さとう 圭介けいすけ 高2

謎の人物 

俺とセンパイは、階段で別れた後それぞれ朝の会に出席した。


担任の先生が教室に入ってくる。

そして、教壇の前に立って出席簿を開く。


「よし。今日は体育館で朝会があるから、簡単に出席とってから移動していくぞ~」

「はーい」


そして、俺は適当に返事をしながらクラスの人達の会話が耳に入ってきた。


「朝会って何事だよ。お前なんかやった?」

「やってねぇわ」


と男子たちは自分の行動を思い返して渋い顔をしている。

一方の女子たちは


「朝のイケメン先生のことかな?」

「この学年担当だといいね~」


と会話を弾ませていた。

残念ながら、栄養管理士なんだよな~。

そう思いながら残りの人達の出席確認を待っている。


「よし。じゃあ廊下に背の順な」


そうして、ダラダラと廊下に出る男子。

ウキウキと廊下で男子達を呼ぶ女子。


こんなにも分かりやすく人間は態度に出せるのか。

そう考え深くなりながら、2年1組の列は体育館へと向かっていった。


体育館に到着してから数分後、先生がマイクに接続して声を出した。


「みなさん。急な朝会で申し訳ない。

今日お話ししたいのは、ウチの学校の学食担当の先生が変わる事についてです。では、全体起立!」


全校生徒が一斉に立ち上がった。

すると、舞台の端。幕の横から彼は現れた。そう優君だ。


「礼」


先生がマイクから指示を出す。その後着席という声と同時に一同が座った。

それを確認すると、優君が話し始めた。


「どうも。初めまして。

と言っても、朝、俺に話しかけてくれた人もいるかな?

改めまして。俺の名前は石田 優太って言います。

俺は数週間前まで、ここ武壮野むそうの高校の姉妹校である

第2武壮野高校で栄養教諭として働いてたんだけど、

しばらくこっちの学食を担当することになりました。

分からないこともあるかもしれないので、ぜひ休み時間や学食終わりに見かけたら、

色々話してくれると嬉しいです」


そう言って、優君は笑顔で頭を傾ける。

それはまさに、少女漫画のイケメン男子のようだった。


そしてその瞬間……ただの勘かもしれないが、

俺とセンパイ以外の生徒はキュンとしていたのでは無いだろうか。


――優君のイケメン度合いには参っちまうよ。


そう思いながら、色々な事を聞いていたらいつの間にか、朝会は終わっていた。

教室に戻ってくるなり、1限目の授業は理科で移動教室だと思い出した。


「あぁ~1限目理科か~」

「それな~だるいよな~」


そう言ってきたのは、俺の席の前に座っている佐藤さとう 圭介けいすけだった。


「うん。瞬間移動で理科室まで行けないかな」

「悟りを開こうとすんなよ。ま、お前の場合仕方なしか?」


俺がクラスメイトよりも移動教室が大変な理由。それは、


「朝倉先輩!ぜひ、ウチの部活の助っ人をお願いします」

「いやいや。ここは、ウチの野球部に入らないか?悠斗君」


――あ~。また始まった。


俺は1度教室を出ると、勧誘の嵐に巻き込まれてしまう。

そこを、よく圭介に助けてもらっている。

だが、毎回俺は勧誘してくる人にはこの言葉を掛けている。


「すいません。俺今は写真部の部員なので」


そう言うと、理科室に早歩きで向かった。

その背中を、奥から見ていた圭介が優しく押してくれた。


「お前。スゲェーよな。あんな大人数相手にしてもキッパリ断れるんだからよ」

「いや。今でも怖いよ。もしも、恨まれたらって。もしも勝てなかったらって」


俺にはちょっとしたトラウマがある。

目を伏せながら俺が考え事をしていると


「まぁーなんかあったら俺に相談しろよ~この佐藤様がいっくらでも聞いてやっからよ!」


そう言いながら、理科室の中へと消えていった。

あいつ。たまにめっちゃかっけぇ事言いやがるんだよな~。


そうして、結局学食の時間前まで勉強が終わった。

俺が教室を出てから、食堂までの階段を下りているとスマホが鳴った。

ルインを開くと、センパイからメッセージが来ていた。


『学食。一緒に食べる?』


そう来ていた。俺は右手でフリック入力をする。


『もちろん!』


そうして、食堂に着くとセンパイが出入口でスマホを片手に立っているのを見つけた。


「センパーイ!」


俺が分かりやすいように、スマホを持った右手を上で左右に振ると、センパイもこっちに気づいたようで笑いかけてくれた。

俺が駆け寄って、一緒に食堂の中に入った。


「ところで、悠斗は昼。何食べるか決まってるの?」

「いや。まだ、決まってないんですよ~センパイおすすめの奴でいいかな~って感じです」

「俺おすすめ?ん~。俺の友達が進めてたんだけど……」


そう言ってセンパイはスマホをポケットから取り出し、画像を見せてくれた。

そこには、美味しそうに映った麻婆豆腐セットだった。


「うわぁ☆旨そう!」


そう言うと、センパイは一つの学食の券売機を指さした。


「あの券売機で買えるってさ。行ってくれば?」

「え~センパイも行きましょうよ~」


そう言って俺はセンパイの腕の裾を引っ張っていると、

センパイは溜息をつくと俺について来てくれた。

無事食券を買い、席を確保。

俺は、麻婆豆腐。センパイはそば。

それぞれ、お昼を取りに行く。


「よし。じゃあいただきまーす」


そう言って、俺は割り箸を持って手を合わせた。

センパイも食べ始めようとすると、左側から物凄い声が聞こえてきた。


「あのー!」


驚いて俺は椅子からバランスを崩して反対側に倒れてしまった。


「なんだなんだ」


周りには一瞬で野次馬が集まった。

センパイはキョロキョロと周りを見ていた。

そのあと、席を立って俺の事を椅子に座らせると、


「告白なら、俺席外すけど……」


そう言って、机に置いてあったスマホを持って、センパイは席から離れようとしていた。


「見捨てないでくださいよー!センパイー!」

「え?」


俺が、センパイに泣きつこうと手を伸ばすと、その人物はしゃべりだした。


「てるさんは、石田さんに用があります!朝倉にはようない」


そう言いだしたのだった。朝倉……俺の事そう言うのって。


――今まで居ねぇぞ⁉


「お前誰!?」


俺は思わず、声を荒げた。

丁度、学校のチャイムが12時を知らせた食堂の中、俺とセンパイ。

謎の人物は他の学生に見つめられながら楽しい学食の時間が幕を閉じた。

学食に割り箸を入れて終わってしまった学食

腹ペコの2人はどうなってしまうのか…

(30分の遅れすみませんでした!)

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

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