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6枚 目の下にくま

〈登場人物〉

朝倉あさくら 悠斗ゆうと 高2

石田いしだ 玲汰れいた 高3

石田いしだ 優太ゆうた 24歳

女子たち

朝の6時。

俺は久々に寝坊をした。

――?6時…エ?!


俺は急いで部屋を飛び出し、リビングへの階段を2歩で降りると、キッチンにいる母さんに話しかける。


「母さん!6時!6時ヤバいって」

「知ってるわよ。私なんども起こしたんだからね~」


そう言いながら、俺にトーストを手渡ししてきた。


「熱っつ!」


あまりの熱さに驚きながら、近くにあった皿の上にトーストを置くと冷ますために少し放置する。

家を出るまであと21分。

毎日、30分には家を出て、センパイの家の前で待ち伏せをするのが俺の日課であり宿命だ!

遅れなど許されない。

そう思いながらテレビ横の制服を手に取る。


そのとき、ハンガーを落としてしまいそれに気づいた母さんは心配そうにこちらを見つめている。


「ちょっと~急ぎ過ぎて怪我とかしないでよね」


――下手したらさっきのパンで火傷をしてたかもしれないのに何言ってんだ!

とか思いながら、洗面台の部屋に行き着替えた。


リビングとかで着替えると、母さんがゴタゴタ言ってくるから

洗面台の個別の部屋で着替えるようにしている。

その時にこの部屋が一番近いのだ。

ネクタイを結んで、部屋を出ると父さんも起きてきた。


「父さん。おはよ」

「あ。あぁおはよう。ごめんな。俺も今日は寝坊をしてて」


と、焦りながらコーヒーを淹れている。

母さんは父さんの朝飯の目玉焼きを作りながらため息をつく。


「はぁ~子は親に似るのね」

「母さんも親でしょ」


そうツッコミながら俺は、簡単にバターを塗ったトーストを食べる。

そして、父さんも目玉焼きとコーヒーを持ちながら俺の隣の椅子に腰かける。


「あ、そうだ。急で悪いんだが今日と明日。母さんと旅行に行ってくるんだが、留守番頼めるか?」

「ふーん。分かった。楽しんできてね」


そう笑いながらパンを食べきると、洗面台に向かい歯磨きを始める、残りの時間は3分。

少なくとも1分は磨きたい俺のプライドがあるため後2分と考えよう。


そして、口をゆすぎ歯磨きを洗ってから元の場所に戻す。

そして、猛ダッシュでリビング横の階段を掛け上り、自分の部屋からカバンを取る。

そのまま家を出ようとするとキッチンの方から、


「気を付けてね~」


という母さんの声が聞こえてきた。俺は振り向きざまに


「行ってきまーす」


そう声を掛けてから、扉を開けた。

出てからすぐに左に体を向けて、スマホで時間を確認する。

時間はギリギリの6時29分。


――勝った!!


時間との戦いに勝った俺は謎の優越感に浸りながらセンパイを待った。


数秒後、センパイの家の扉が開いた。

そこには、目の下にくまを付けたセンパイの姿があった。


「センパイ⁉どうしたの?」

「いやぁ~……歩きながら話すわ」


そう言って学校に向かって歩き出すセンパイ。

何があったんだ。

朝から嫌なことでもあったのか?


学校の生徒が増え始めた頃。

センパイはやっと話し始めた。


「どうせ、後から分かることだから、悠斗には伝えておくわ」

「お。やっと話し始めた」

「俺の兄さん居たじゃん」


センパイの兄……あ。

そう思いだした俺はセンパイの顔を見ながら聞いた


優君ゆうくんがどうしたの?ただ来ただけじゃ、センパイそんなに嫌そうにしないですよね」


そう聞くとセンパイは事の経緯を話し始めた。

昨日、俺と別れた後いつの間にか家に優君が帰って来ていた。

それで、夕飯を食べているときに俺らの通っている、武壮野むそうの高校でしばらく

学食を担当することになった。


そこまで話し終えたセンパイはため息を一度ついた後、俺の事を、背中を曲げながら見た後、質問をして来る。


「悠斗ってさ、優兄ゆうにいの見た目って覚えてる?」

「もちろん。小さい頃は遊んでもらってたし。

確か、相当のイケメンでしたよね。それがどうしたんですか?」

「――優兄って寝坊常習犯で昔から俺よりも遅く起きるわけよ。

だけど今日、リビングの机にメモが2枚置いてあってさ。

1枚が父さんのいつものメモ。で、もう1枚が優兄のメモだったんだけど」


そう言って、俺に噂のメモを渡してきた。

俺がそれを受け取り、目を落とす。そこには、


『朝の朝会楽しみにしとけよ♡』


というものだった。

センパイは朝からこれを読んだからあんなにげっそりしてたのか……

ていうか優君!朝の朝会ってなんだよ。


「その下手すぎる国語は99%優兄のだ。そして、朝会ということは……」

「今日から来るって事⁉」

「そういうことになるな」


優君は俺の覚えている限り、イケメンでスポーツ万能。

俺とバスケを小6の頃やったときはほぼ互角だった。

少し癖があるが嫌な人ではないから俺は小さい頃から、憧れの人でもある。


そんな人が朝から学校に来るのか~……色々と大丈夫か?


とか考えていたら、いつの間にか学校の敷地内に入っていた。

すると、なにやら職員室辺りが珍しく騒がしい。


「ちょっと、見に行くか」


そう言って、センパイと俺は職員室へと歩きだした。

近づくにつれて、女子学生たちのキャーという嬉しそうな声が聞こえてくる。

その目線の先を俺とセンパイが見ると、そこには優君の姿があった。


「うわぁー。優兄いる」

「ホントだ。久しぶりに優君見た!相変わらずかっけぇなぁ」


そう言いながら俺は優君の方をジッと見つめていた。

そうこうしていると、優君が腕時計を見てから、周りの女子たちに声を掛けた。


「ごめんね。そろそろ職員会議だからまた後で話しかけてくれると嬉しいな」

「は~い」


女子たちは優君を職員室に見送ってから、順番に散っていった。


――これだから、俺は女子が嫌いなんだよ


すると、センパイが俺に声を掛ける。


「おい。悠斗、女子嫌いが顔に出てるぞ」

「あ、ごめん」


そう言って昇降口へと向かった。

朝からいい気分ではないな……

優太。女子に人気過ぎてスゴそう

悠斗は女子が苦手(嫌い)なようです

ーー珠雷よりーー

本当は昨日投稿すべき作品だったのですが、急用により投稿が遅れてしまいました。

申し訳ありません。

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

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