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2枚 朝の運動

〈登場人物〉

朝倉あさくら 悠斗ゆうと 高2

石田いしだ 玲汰れいた 高3

アラームが部屋に鳴り響く、朝5時半。


正直この時間にいつも起きているわけじゃない。

だが、今日は隣に住む幼馴染の悠斗が朝のマラソンに誘ってくれたのだ。

ベッドから起き上がり、アラームのなる方を向いて眼鏡を取る。

靴下をはきベッドから降りる。

真っ直ぐの階段をゆっくりとおりてリビングへと移動した。


「おはよう」


そう仏壇に呟きながらリビングのカーテンを開けた。

俺がいつも起きる時間の、1時間も前だからか、辺りはまだ薄暗い。

冷蔵庫には


『朝ごはん 今日も頑張って!』


とメモ紙が置かれたお皿があり、これが俺の朝ごはんだ。

電子レンジで500w1分30秒で温めている間に、引き出しから箸を取り出す。

レンジから取り出して、テレビの前の席に座る。


「今日の天気は一日晴れ。雲一つない晴天は3日ぶりです」


ニュースキャスターの方はいつもの時間帯と違う人が担当しており見慣れない光景が広がっている。

この、栄養がしっかりと管理されている朝ごはんを作り、

わざわざ冷蔵庫に置いといてくれるのは俺の父だ。

大学の教師をしており、俺よりも起きるのは3時間ほど違うため、

朝ごはんはわざわざ俺の分を作り入れておいてくれるのだ。


「ごちそうさまでした」


両手を合わせてから食べ終わった食器をキッチンで洗う。

タオルで手をふき、自分の服装を見る。

まだ寝間着なのを忘れていた。

運動用の服に着替えるため、また2階へと上がった。

上下黒のジャージを着て、1階に降りる。

時間は丁度5時50分。

準備運動を軽く行い悠斗を待つことにした。

深呼吸まで終わった頃、インターホンが鳴った。


「はーい」


そう声を出し、運動靴をはいて、ドアを開ける。

小さな庭の前にある門の前には、やはり悠斗がいた。


「ごめん。ちょっと遅れた」

「いや。俺もさっき準備終わったとこだったから丁度良かったよ」


そう声を掛けて、玄関の鍵を閉めてから門の外に出る。

悠斗は学校では有名なスポーツ男子で、中学時代は悠斗が助っ人に入った部活は全国へと行けた

という伝説まで立つほどだった。


逆に俺は、スポーツは自分からやろうとは思えず、俗にいう運動音痴だ。

だから、大学生になる前に少しでも体力を付けようと始めたのが、月に1回ほど行う


『朝の運動』だ。


メニューは毎回悠斗が考えてくれていて、今日は昨日の言葉からマラソンだと思う。


「じゃあ、今日はマラソンね。俺はセンパイに合わせるから、自分のペースで走って」

「分かった。ちなみに何分完走なんだ?」

「10分が妥当かな?今日気温上がりそうだし、体力残しておかないとでしょ?センパイ体育苦手だし」

「すまんな」


俺は勉強は昔からできる方で、通知表は一教科を除いて、オール5。

その5にならない教科というのが、保健体育だ。

小学生の頃から苦手で特に、跳び箱と鉄棒はできなかった。

今でも評価は3ぐらいしか取れない言わば天敵なのだ。

そんなことを思い出し憂鬱になりながらも、悠斗は隣でタイマーをセットしていた。


「じゃあ、よーいスタート」


そして、悠斗がスマホのタイマーをスタートさせるのと同時に走り出した。

持久走自体は計算して走れば簡単ではあるため苦手意識はもっていない……

が、体がその計算に追いつけるかどうかはまた別の話なのだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


10分間無事走り切った。

だが、息切れが物凄い。

まともに声も出せない俺をよそに悠斗はずっと話しかけてくる。


「スゴッ!10分間ほぼペース乱してなかったよ!!センパイの新記録更新じゃない⁉」


と、俺以上に俺の記録で喜んでいる。

昔からこのような扱いをされているせいか、悠斗は年下と言うよりかは、同い年の友達に近しい存在だったため、褒められるとお世辞としては捉えられず普通に嬉しい。


「あ、りが……と」


まだ息切れが続く中、俺は悠斗にお礼を伝える。

息を整えるためにその辺りをクルクルと歩き回る俺にタオルと水を渡してきてくれた悠斗。


「お疲れ!じゃあ6時30分ここ集合で!」


そう言って俺の背中をゆっくり押しながら家へと送ってくれ、その後悠斗は自分の家に帰っていった。


「ほんと、面倒見いいなアイツ」


そう呟いて俺も家に入った。

すぐにシャワーを浴びて髪の毛を乾かし、制服に着替えてから家を出た。

外にはすでに悠斗がおり、俺に手を振っている。

同じ学校に通う俺の同級生や2年生が悠斗の方を不思議そうに見つめている。


「周りの目線って気にしたことある?」


俺が聞いてみると、悠斗はびっくりしたような顔で


「逆に高2が周り見えてなかったらヤバくないですか⁉」

「いや……俺は悠斗ができねぇなって思って……」

「軽く引かないでくださいよー!」


そう言って笑っている悠斗。

いつの間にか敬語になっているところから、こいつなりに周りの目線を気にしているのかもしれない。

そう考えながら、学校へと向かった。


朝の6時32分。

いつもの学校への道で俺はこのとき気が付かなかった。

一定の距離を保ったままついて来る視線を。

今回はストーリーの構成から話によって、目線が変わるかもしれません。

玲汰を見ていた人物とは一体…

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

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