マイクロブタを飼う・・・無理。
マイクロブタをペットとして斡旋する店(団体)を見かけた。
なぜ、ブタなんだろう。ブタを飼いたい理由がある人にとっては、望まれる店(団体)なのだろう。けれど。
私個人としては、「ブタを飼う」という選択に至らなかった。ペット全般がダメなのかもしれない。
大体のペットは私より早く死んでしまう。マイクロブタは寿命が10年から15年、イヌと同等とのこと。いつかは別れがやってくる。それまでの期間を愉しめばいいのか?ペットとして作り出された命だから?と、割り切れそうもない。
もしかしたら私が先に死んでしまう。残された人がマイクロブタでもイヌでも、ペットを飼い続けていけるのかどうか。同じスタンスで接し続けていけるのか。人と離れては生きられないペットなのだから、躊躇してしまう。
マイクロブタが病気になったらどうすればよいか。そこいらの動物病院で診てもらえるのだろうか。ブタは元々は経済動物だから獣医師の教育課程で経験しているだろうけど、イヌやネコに特化した市井の動物病院、そこに通う人々に受け入れられるだろうか。遠隔地の店提携の動物病院しか受け入れられない、なんてことにならないだろうか。
旅行などでマイクロブタと離れなければならなくなったとき、誰かに預けられるだろうか。そもそも旅行しない、旅行するな、というのもある意味正しいのだが、どうしても旅行しないとならないときもあるだろう。自分や家族が病気になって、短期であれ長期であれ飼えなくなることもある。その時に、周りのペット仲間や親戚、ペットホテルに預ける先があるだろうか。ペットホテルはイヌやネコに特化しているから無理かな、ペット仲間はそもそもの母集団が少ないから出会えるだろうか、ブタを受け入れる親戚はそもそも期待できないんじゃないかな。他の人に譲るにも、責任をもって飼ってくれる人を探し当てて、託すのはイヌやネコと比べても桁違いの労力が必要になるのではないかなあ。
マイクロブタはペットとして「作られた」から、ペットとして買えなくなったら経済動物として飼うことも出来ない(そもそもペットだったものを「食用」にできるのか?という話でもあるのだが)。経済動物としてのブタは110〜115Kg、生後6ヶ月齢(25週)で出荷される。マイクロブタは成獣で20Kg(この団体で斡旋している品種の場合)、ペットとして飼われている間にどのような薬(抗生物質)を使ったか予防接種を受けたかなどの履歴が無いので肉として市場に流せない。
同じ病気にかかるので、ペットとしてのマイクロブタは経済動物としてのブタと接触させられない。ブタ農家がペットとしてのマイクロブタを飼うことはリスクでしかない。また、豚熱感染地域(本州四国及び沖縄本島)のブタを非感染地域(北海道九州及び沖縄離島)に持ち出すことは法律で許されないため、飼い主が転勤などで引っ越すときにマイクロブタを連れて行けない、なんてことも起こり得る。
現在、ペットショップで売られているイヌやネコはマイクロチップが埋め込まれているため(飼い主とはぐれたときにマイクロチップの情報を読み取れば飼い主に戻すことができる)、この団体で斡旋しているマイクロブタにもマイクロチップが埋め込まれている。野に捨てることはできないし、捨てても元の飼い主が追及される。病気を媒介したら、そのために家畜のブタが処分されることになったら、その賠償額はどれほどほどになるか予想もできない。
人畜共通感染症というものがある。インフルエンザウイルス感染症は代表的なものになるだろうか。インフルエンザウイルスが型を変える(変異する)舞台は、ヒトとアヒルとブタの生活圏が重なった環境(アジア、特に中国南方地域の農村部)とされている。ヒトのヒトインフルエンザウイルスと、アヒルの鳥インフルエンザウイルスが、ブタに同時感染して遺伝情報を交換し、新種のインフルエンザウイルスになるという。ヒトとブタの免疫機構はよく似ているとされているので、他の病気もやり取りできるのかもしれない。
と、、、つらつら考えているうちに、私の中でマイクロブタをペットにするのはあり得なくなった。
もっとも、あなたが飼う分については、私は感知しない。関わりが、なければ。