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自由な長女  作者: 南国誠菓
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空間の共有と2カ所に存在する女性

幸香が運営する数々の店舗とその秘密。時間が経たない理由もここで明らかに。

「そういえば、路地に元々あった店が全て閉まった代わりに幸香さんの店が並んでるのってどういう仕組みなの?それに朝も夜も大体の日は幸香さん1人で働いてたし。」

私は疑問の原点に戻ろうとした。そもそもおかしなことが起きるようになった発端は最初に現れた「Sweets Island My Day」だ。

「今私たちが居るこの店も含めて幸香さんが運営する店は全てウィニフレッド島に現存しています。でも他国から持ち込んだ家具や設備、あるいは小物等をウィニフレッドの建物に設置すると、その国と空間の共有ができるんです。」

???

「例えば幸香さんの店に日本で購入した何かしらのアイテムを置くことで、今のように日本の土地と空間が共有できます。とは言ってもそのまま物理的に共有している訳ではありません。元々建物が存在する土地との共有なので。冬香さんのように、観光省が招待登録をした方にしか入れない空間となります。ですので冬香さん以外の人の目にはいつも通りの光景に見えています。」

「そっか、だから私の目にだけはいつもあった飲食店も全部閉まったり無くなったりしてたってことか...。それもウィノーナ女王の魔法...?」

「そうです。正義感と使命感の強かった女王は、おそらく可能な限り多くの弱者を救いたかったのだと思います。だから望む者がいれば世界のどの国からでも平和な島へ移り住めるチャンスを平等に与えたくて、島と他国の空間を一部でも共有できる不思議な現象になったのだと思います。」

なんて心の優しい女王なんだろう。現世に居れば良かったのに。

「あと空間共有と言っても建物自体はウィニフレッドに属しているものなので、お店の中でいくら長く過ごしても外での時間は経ちません。建物に入る前の時間で止まります。」


あともう1つ、なぜ朝から晩までずっと幸香さんがお店に居たかという点ですが...。それは幸香さんが同時進行で2箇所に存在できるからです。どちらかが本体とか偽物とかいうものではなく、同じ幸香さんが2箇所に存在していると考えて欲しいです。1人の人間なので同時に同じ空間には存在できません。1人に戻る時、その記憶は初めて混合されます。だから幸香さんはウィニフレッド本土にある店と、日本で場所を共有された仮の店の両方に居られるわけです。」

「え、幸香さんは人間じゃないの?」

不思議な人だとは思っていたけどそこまでとは思わなかった。

「いえ同じ人間です。本人も幼少期は自分が2箇所で活動できることを知らなくて大変だったみたいです。気が付いたら身に覚えのない記憶が追加されて夢と現実が混同したかのようになり、嫌な思いをした記憶が入り込んだり。詳しい内容は私も知りませんが。」

「それってもう1人が事故に遭ったりしたらどうなるの?」

「10代の頃にもう片方の自分が何か危ない目に遭ったみたいで。記憶が統合された後、朝起きたら怪我した部分に傷が薄っすら現れていたみたいです。私も詳しくは聞いてませんが。」

聞いているとあまり有り難い能力でなさそうだった。便利にも思えるけどリスクも多そう。

「でもその不思議な現象は精神の病ではなく自分に与えられた能力だと知ってからは、なんだか色々研究して使いこなせるように特訓したみたいです。この力のせいで苦労ばかりしてたら損で悔しいから、自分の財産にしてお金を稼いでやるって。だから今は多様な店を持つ国内でも名の知れた社長さんです。」

「たしかに経営の才能がある人にはもってこいの能力だね。」

私も同じ力を持っていたならそうするかもしれない。

「それに幸香さんは得た富で多くの女性を救いました。常に2カ所で存在することで、他国から虐待の被害者や社会的風潮等で鬱病になった人をウィニフレッド島に招き社会的活動ができるように支援しています。その活動は州政府からも表彰されるほどで。」

「どうしてそんな幸香さんがウィニフレッドに私を招待したかったの?」

「それは本人に聞いてあげてください。」


なぜ幸香はそんな能力を持ってしまったのでしょうか。

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