表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/24

2025年7月

7月1日 海開きの日 山開きの日

夏だ!遊ぶぜ!と有給休暇を取ったのに行き先が決まらない。「海!」「山!」俺は海パン、友人は登山靴をボーナスで新調していた。飲み屋で白熱していると隣にいた人がニンマリ笑う。「じゃあ、両方行っちゃう⁉︎」「「行く!!」」目的地は都内だと聞いて安心した俺たちは酔っ払い。小笠原遠すぎ‼︎



7月2日 たわしの日

付き合い始めた僕たちの毎日は発見に満ちている。月明かりの下で指を絡める緊張、アパートへの帰り道が駆け足になること、玄関の鍵を開けるもどかしさ。そして君の髪は硬い!「ひん!」僕の胸にむしゃぶりついた君の頭を押しのける。「チクチクする」「クセになるかもよ?」「そんなわけあるか!あ♡」



7月3日 涙の日

僕が成功できたのはあなたがいたからだ。パーティで出会った僕たちは12歳差の長男同士。初恋であることを差し引いても、成就する未来はない。それでも強がりなあなたの安らぎになりたかった。ひたすら努力して成人した。会社も経営してる。弱ったあなたと二人きり。「これは…汗だから」まだ足りない。



7月4日 洋服お直しの日

「モテたい〜」と呟く声は切実だが、聞こえないふりをした。お前は十分モテている。ワイシャツのボタンが取れてもそのままで、学ランのヒジにはかぎ裂きがあるのに。これ以上、隣でヤキモキするのは御免だ。お前が俺だけだと言うのなら、全部直してやる。専属のテーラーにだってなるのに、さ。ばーか。


7月5・6日 セコムの日

大学生にもなって門限がある。一人暮らしなのに。飲み会は一次会までで帰宅する。何より先にタブレットを開いたが、ロック画面には着信ありの文字が並ぶ。急いでビデオ通話を繋ぐと朝日を浴びた不機嫌な顔が映し出される。『飲み会楽しかった?』「全然」海の向こうから僕を見守る恋人がやっと笑った。


7月6日 サラダ記念日

クズだがイケメンな友人がいる。悠々自適なヒモ生活を送っていたが、ついに刺された。「避難させて」と突然転がり込んできて居座る図々しさに呆れたが、意外と上手く行っている。と思ったのは最初だけ。「お前の作る飯が一番旨い」「は?」「本当」「カップ麺だぞ」「それでも」俺に刺されたいのか⁉︎


7月7日 香りの日

国防の仕事に誇りを持っているが愛する人を置いての旅立ちは辛い。これが今生の別れになる可能性だって十分にあるだろう。任務中、胸に写真を忍ばせる同僚もいるが、フラグみたいで気が進まない。俺は出発前に彼を強く抱きしめ深呼吸するだけだ。全身へと染み込んでいく愛する人の香り、大切なお守り。

7月8日 ナイスバディの日

「お前の作る飯が一番うまい」の言葉を真に受け連日カップ麺に湯を注ぎ、ヒモ男とすする。そんな日々を続ければ、あっという間に腹が出る。俺だけ。「やせなきゃ」「そのままでもいいと思うけど?」俺の腹肉をぽよんと突きヒモ男が笑う。「ナイスバディー!」こんなの勘違いするって!惚れちゃうって!


7月9日 グラフィックTシャツの日

中肉中背、中小企業の中堅サラリーマン。全ての中道を行く男、それが俺だ。このまま中くらいの幸せを掴むと思っていたのに、なぜかグッズ制作会社CEOのモテ男から猛烈なアプローチを受けている。「愛してるー!」会社玄関に響く美声。顔面偏差70の男の胸にはモブ。俺の写真をTシャツにするんじゃねぇ!


7月10日 潤滑油の日(工業用)

「なーお前、アレ持ってない?」友人の曖昧なリクエストに振り向く。ここまではよくあることだった、が!「アレ、潤滑油!」「モッテナイヨ」「相変わらず嘘が下手だな。いいから貸せ」「無理無理……共用はNG!気分的に」「けーち。チャリがうるせぇんだよ」「あ、そっちね」「お前なに想像したの?」


7月11日 ラーメンの日

授業中、腹の虫がぐぅ〜と鳴いた。昼休みに弁当ふたつも食ったのに!教室中が大爆笑、先生まで肩を震わせてる。赤面しながら耐えていると、お前と目があった。声の届かない距離からにっこり笑うと、二本指を揃えて口へ持っていき吸い込むフリをする。『ラーメン食べに行こ』やったぜ、放課後デートだ!


7月12日 人間ドックの日 デコレーションケーキの日

誕生日当日の人間ドックは辛すぎる。事前の低糖生活に甘党の俺のライフはゼロよ。パティシエの親友がケーキを作ってくれるというから頑張れた。親友宅を訪ねるとテーブルにはデコレーションケーキが。中央に『結婚してください』と書かれたプレートが鎮座している。手渡されたピックは『YES』だけ⁉︎


7月13日 峰迎え日

真夜中にひとり家を出る。年に一度の火遊びを心待ちにしていた、なんて言うと不埒に聞こえるが、とんでもない。私は一途で重たすぎる。本当は日暮を待たなければいけないが、半日くらいの誤差は許してほしい。少しすすけた盆提灯は白のままだ。激しく燃えるおがらが煙の道を作る。「おかえり、あなた」


7月13日 ナイススティックの日

「お前もか……‼︎」クッキーもチョコも何もかも、お値段据え置きで内容量減の実質値上げにくじけそうになる。学生時代、友人と分けっこした細長い菓子パンは、ミニと名を足しついに棒らしくなくなった。君もガッカリすると思ったら、「ベイビーちゃん」とにっこり笑う。そういうところが好きなんだ。



7月14日 求人広告の日

変わり者だが頼れる後輩と会社を立ち上げ3年、ようやく求人広告を出す。「社の雰囲気って何でしょうね?」「アットホームな職場です、とか」「アットホーム、家、家族……僕がパパで社長がママ!新入社員は我が子のように可愛がりますっと♡」「待て待て!待ちなさい‼︎」「入稿完了!」「あああ!」


7月15日 ファミコンの日

すでにプレステも博物館に飾ってあります。


実家を片付けたら懐かしいものを見つけた。やっと社会人になった恋人に恐る恐る見せる。「ファミコンって知ってる?」「あ、見たことあります」「おばあちゃんの家でとか言うんでしょ」以前MDを見せたときを思い出し先回りした。すると恋人は首を横に振る。「いいえ、博物館で」そこまできたか(泣)!


7月16日 虹の日

家賃三万五千円。風呂ナシ共同住宅に良いところなんて何もない。役者になるまでの辛抱だ、とお前に言うと気だるい声が返ってくる。「僕は気に入ってるけどなぁ」「壁が薄くて満足に抱き合えないだろ」今日みたいに嵐が来れば別だけど。「ふふ、スケベ」流しで水をかぶる。窓の外には虹がかかっていた。



7月17日 理学療法の日

骨格フェチの理学療法士×リーマン


交通事故で肩を痛め、リハビリに通っている。担当者は爽やかなイケメンで、指導も丁寧。おかげで痛むことはなくなった。そろそろ仕事が繁忙期に入るので、週二日の通院を週一にしたいと申し出ると、悲痛な表情を浮かべた。「一週間も会えないなんて……」思わずドキッとしたが、俺の肩に話してるな⁉︎


7月18日ネルソン・マンデラ国際デー

国連が制定し、誰かの幸せのために67分時間を使うことを提案しているそう。いつもは自分のためだけど、延長1時間分はお兄さんのために。


今日はレンタルお兄さんとデートする。バイト代1日分が飛んでいくが、1ヶ月分の幸せ代だと思えば安いもの。僕はルンルンだが、お兄さんは少し元気がない。思い切って「僕が幸せの魔法をかけてあげる!」とお兄さんの決まり文句を真似てみた。「じゃあ、お願いしちゃおうかな…」1時間延長決定です。


7月19日 知育菓子の日

夏休み。貧乏学生の俺たちに予定などない。昼から缶チューハイを飲んで、じゃれて、真夜中に散歩する。途中スーパーで涼んでいたら、お前の目が一点に吸い寄せられる。カラフルなパッケージ。練っておいしいと魔女が言っていた菓子だ。「おいしくなさそー」「でも絶対楽しいやつ」だってお前とだから。


7月20日 ハンバーガーの日

「あ?あ〜?」響き渡る低音。大口を開け首を傾げる強面。普通なら背筋が凍りつく状況だが、店内は温かな空気に包まれている。それもそのはず、いかつい男が本場級にどデカいハンバーガーを目の前に四苦八苦しているのだから。お節介したくなる。「潰すんですよ」「あ〜(泣)」涙目かわいすぎでは⁉︎


7月21日 自然公園の日 海の日

「旅行したい」「嫌だよ。暑い」恋人は、水風呂で冷やした体を床に横たえる。「俺も山登りしたーい」俺は二本の指を足のように動かして恋人の腹を横切る。筋肉の筋は干上がった川で、へそは小さな池。そこから伸びるささやかな茂みをくすぐると、恋人が笑った。「ホエールウォッチングもできるかもな」


7月22日 下駄の日

「お祭り行こうぜ」「せっかくだから浴衣とか着ちゃう?」「俺は甚平にする」カラコロと音を楽しんだのは初めだけ。革靴に甘やかされた足指はあっという間に音をあげる。でも、まだ帰りたくない。前を行くお前の足がピタリと止まりサンダルを脱いだ。「俺も下駄履いてみたい。交換して」あぁ、好きだ。


7月23日 ナッツミルクの日

「あ⁉︎」キッチンから不機嫌な声。寝たふりをするが同居人はわざわざ頭上にやってきて牛乳がないと文句を言う。かすれた高音は二日酔いの頭に辛い。「俺メスじゃないし乳は出ねぇ」「ナッツはメスじゃないけどミルク出すぞ?」「ナッツじゃないし」「あるだろ」宙を舞うパンツ。俺の運命やいかに⁉︎


7月24日 テレワーク・デイ

在宅勤務を利用するのはベテランばかり。真面目な新人はそれらしい理由を添えなければ申請できないと思っているのだろうか?上司自ら手本になろうと在宅の日はスケジュールに理由も書いてみた。腰痛。睡眠不足。ネコがカワイイ。新人が熱っぽい視線をよこす。「僕もお相手したいです」え、何?待って!


7月25日 かき氷の日 知覚過敏の日

かき氷が好きなのに頭がキーンとなるからちびちび食べるしかない。そんな俺をだせぇとからかいながらお前は大口を開けて頬張る。それが夏の風物詩だったのに、今年は違った。「ひぃっ」悲痛な叫び声をあげ口元を抑えるお前に、俺はニンマリしてしまう。「歯にしみたの?だっせぇ」お互い年をとったな。


7月26日 幽霊の日

臆病なお前はちょっとしたことでもびっくりして、文字通り飛び上がる。こいつ大丈夫かな……と心配してたけど、年をとると人間図太くなるもんだな。俺に気がついても息を飲んだだけですぐに「元気か?それもおかしいか」なんて笑うんだから。「うらめしや〜」「恨めしいのは僕だ。ひとりにするなんて」


7月27日 スイカの日

熟年カップルBL

サラリーマンの俺たちは繁忙期に入れば数ヶ月会えないなんてザラだが、遠距離恋愛と言うのも恥ずかしくなるほど長い付き合いになった。久々の逢瀬。昼寝から目覚めると隣にお前がいる。平和に上下する丸い腹を叩けば、ポンと小気味良い音が響いた。そこに詰まっているのは何だ?俺のは幸せなんだけど。


7月28日 なにわの日

恋人は熱しやすい。今度ドボンした沼はなんと極道漫画。「わいはナニワの男になるけぇのぉ!」つっこみどころ満載の決意に俺は腹を括った。常時巻き舌でもパンチパーマでも愛は変わらない……はず!ネトゲにハマった時の高性能PCで研究すること数日。恋人はアイドル風に。ありがとう、なにわの男子よ!



7月29日 永くつながる生前整理の日

すぐに人生をリセットしたがる友人に恋をして幾星霜。俺の心臓も強くなった。と思ったのに部屋を訪ねて目を見開いた。「何で家具がないんだよ⁉︎」「終い支度ってやつ」「縁起でもねぇこと言うな!」「喜ぶと思ったのに」「お前がいなきゃ俺はどうにかなっちまう」「だから、一緒に住もうかなって!」



7月30日 ターザンの日

七つ年上のお隣さんは俺の憧れだ。元水球部主将のマッチョで、ライフセーバーのバイト時代は野生の魅力マシマシ。男の俺でも目眩がした。就職先ははるか彼方の東京。追いかけて行ったら、色白しおしおリーマンになってた。「俺のターザンはいずこ……?」「夜になったら帰ってくるよ」え、それって⁉︎



7月31日 蓄音機の日

Victorの商標になっているフランシス・バラウドの絵画「His Master's Voice」を思い出して。


見目麗しく、少々ラッキー。空っぽの俺には世間に言えない経験ばかりある。それなのに純真なお前は俺に心酔して、全てを捧げようとする。「俺が死んだらどうするの?」「どうしましょう」「声でも録音しておいてやろうか」冗談だったのにお前は幸せそうに笑う。「ええ、マスター」可愛い可愛い俺の犬。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ