2025年3月
「甘辛の牛肉鍋は?」「すき焼き」「狭い間から入ってくる風は?」「すきま風」「袖が落ちないように抑えるヒモ」「たすき」「リスクが——」「え?録音してる?なんで⁉︎」「切り抜いて君のすきボイスを目覚ましにしたかった」「げ。ドン引き」「夫に向かってなんてことを言う!」「こっちのセリフだ」
3月1日 切り抜きの日
在宅ワークは気楽だが、人間をダメにする。食事キャンセル、風呂キャンセル。ゾンビになりかけた俺を救ったのは、近所に来るフードトラックだった。旨くて安い弁当と……優しい店主。「お疲れ様」の一言で恋に落ちてしまった。5年ぶりに服を買い、髪も切った。あとは勇気を振り絞るだけ。頑張れ、俺。
3月2日 出会いの日
気に入らないヤツだった。一人の男を取り合うライバルで、女装してナヨナヨしてる。惚れた相手の言いなりなくせに、俺限定で気が強い。「かわいいって言われたいよぉ…」ポツリとつぶやいた横顔に光る涙に絆された。「俺はかわいいと思ってる」「あんたに言われてもしょうがない」何で胸が痛いんだよ。
3月3日 雛祭り
女の子になりたい男の娘と雄々しいゲイ。
「俺は何で仕事ができない〜」深夜のオフィスにポツンと残り仕事をしていた。「まだ帰らないのか」と突然背後から上司の声がした。「すすすすみません」不機嫌そうな声に怒られると思ったら頭にチュッと柔らかな感触が。「差し入れに来たの。早く終わらせて一緒に帰ろ」甘い恋人の声にやる気が湧いた。
3月4日差し入れの日
部下×上司。不機嫌なのはひとりが寂しいから。
俺とアメリカ人の恋人は最高にラブラブで自他共に認めるバカップルだ。「お前が好きな日本人って誰?」「Momofuku♡」「は?!」笑う恋人はフォークを握り、反対の手にはカップヌードルがあった。「MeこれLove♡」「わかる……!俺も百福大好き♡」「No!Youが好きなのmeでしょ⁉︎」もぉなんだよ〜♡
3月5日 安藤百福の日
インスタントラーメンの父・安藤百福はアメリカでも有名で、Momofukuというラーメン屋もあります。
「大好き」と抱きしめられるたびに胸が苦しくなる。とっくに気がついていた。兄ちゃんの大好きは俺の大好きとは違う。第二次性徴期を迎えてからは触れられるのを徹底的に避けた。そうでもしなきゃひとつ屋根の下では暮らせない。兄ちゃんは家を出る日「まだ弟でいてね」と俺に言った。期待していいの?
3月6日 弟の日
最近友人は何かに悩んでいるらしく、俺にあれこれ聞いてくる。「好きな子が濡れてるとドキドキするよな?見たくなるよな?」と言われ、ピンとくる。「それならプールデートすれば?女の子が濡れるの見られるぞ」「行かない」急に不貞腐れた顔をする。「サウナ寄ってく?」「行く」なんで顔赤いんだよ。
3月7日 サウナの日
鈍感な男と初心な男。
後輩を置いて兵役につく。「冥土の土産くれ」俺の悪ふざけに後輩は「死亡フラグを立てますか」と笑った。「帰って来たら結婚してください」「おう!」冗談のつもりが世界情勢は悪化。いつ死んでもおかしくない日々が来る。そして後輩が配属された。「フラグを折りに来ました!今すぐ結婚しましょう!」
3月8日 土産の日
頭脳派後輩×脳筋先輩
「あ〜」薄暗い早朝のキッチンにガッカリした声が響く。寮生が牛乳を切らしてしまったらしい。私は管理人室から顔を出し口パクで「わけてあげる」と言ったが、通じない。自分の平らな胸に手を当て絞るジェスチャーした途端、彼は鼻血を噴いて倒れた。寮内に大きな音が響く。大変、みんなが起きちゃう!
3月9日 搾乳の日
やる気のない管理人のお兄さんは夜型で、今から寝るところでした。気だるい顔でそんなジェスチャーをされては、若い学生には刺激が強すぎます。
「佐渡、好きだ!」教室に入るなり告白するが頷いてはもらえない。下手な鉄砲数うちゃ当たるらしいが、それっていつ?
友人と話す佐渡を影から覗き見る。「水戸はミントみたい」爽やかってことかと喜んだら園芸部の佐藤が「しぶといよね」と顔をしかめた。「でも俺、ミント好きだよ」え、もしかして!
3月10日 佐渡の日、水戸の日、ミントの日、佐藤の日
半年に一度の防災点検の日が来た。我が家では3月と9月に夫夫そろって確認するのが決まりだ。「お水よーし、チョコレートよーし」そして最後に「愛する人よーし!」と互いを指差し笑う。かぶっていたヘルメット姿のままツーショットを撮った。この人を探しています、と写真を使う日が来ませんように。
3月11日 防災意識を育てる日
「今日から俺を財布代わりにしていいよ!」ルームメイトが胸を張る。「今月分の家賃出せ」「あ、あはは」幼馴染のよしみで置いてやっているが一度も払ったことはない。「空の財布に用はねぇ」「それ!俺にお金入れてみない?」下着のゴムをパチンと鳴らす。「ストリッパーかよ」「よし来た」おい待て!
3月12日 サイフの日
突拍子もないことをする幼馴染に振り回される男の無自覚片思い、良いですよね。
「俺のこと放ったらかしにし過ぎじゃない?」学生の恋人は唇を尖らせた。「ごめんな。部下ができたから面倒みなくちゃいけないし、上司はうるさいしで」「本当はわかってる。ごめん」お詫びの印と弁当を持たせてくれた。中身はサンドイッチで、板挟みのリーダーへ♡だと。小憎たらしいけど可愛い奴め!
3月13日 サンドイッチの日
「今日はパイの日だからお楽しみに♡」なんて恋人に言われたら、期待するのが男だろう?妄想全開で帰宅したが、恋人はいつも通り。「ぱいのひドコ?」「あぁ!いくよ〜3.1415…」満面の笑みで、円周率の暗唱50桁を成し遂げた。凄いけどさぁ(泣)「夜のパイもお楽しみに♡」今度こそ期待して良いよね⁉︎
3月14日 円周率の日、パイの日
夕食後に浜名湖名産、夜のお菓子を出されてガッカリして欲しい。
田舎に生まれた俺たちは、いつも泥だらけで遊んでいた。大人になって街へ出ても、汚れを気にして、服も靴も黒ばかりを選んだ。いつか社長になったら白い革靴を履くんだ、と言っていたのにお前は病で儚く散った。「バカ」と言えばニャオンと愛猫が鳴く。後ろの足だけ白い黒猫、まさかお前か?なんてな。
3月15日 靴の日 靴の記念日
代わりに社長になった男とアイツかもしれない猫。真相は誰も知らない。
年上の恋人は年代の呼び方へのこだわりが強い。「いいじゃん、アラフォー」「アラフォーじゃない!若造。ナイスミドルと言え」「勝手にナイスを付け足すなよ」「どうせ俺なんてナイスじゃない…」「確かにナイスじゃねぇな」ムッとした顔にキスをひとつ。「ナイスどころかmyベストだよ。わかったか!」
3月16日 ミドルの日
ミドルの中心年代は40代だそうです。
まだ学生の恋人がまぶしくて、しょぼしょぼしちゃうミドル。若者はミドルにベタ惚れなのに、まだまだ伝わっていないのが悔しいという話。
米国人同僚のTシャツが緑だとあの日が来たとわかる。アイルランド系アメリカ人のお祭りの日らしい。一昨年のTシャツに"アイルランド人だから奢って"と書いてあったので、飯を奢った。すると去年は"キスして"だったので投げキッスしてやった。今年は……"LOVE ME!!"だと?!どうすりゃいいんだよ、俺!
3月17日 聖パトリックデイ
緑のものを身につけていない人はピンチ!つねられてしまいます。
「一緒に課題やろ?」幼馴染に誘われて家に行ったが、本人は教科書を開く間もなくベッドに倒れ込む。「だって春眠暁をなんちゃら…」言い終える前に寝息に変わった。「まったく先月は冬眠だって言ってたのに。そのうち襲うぞ?」独り言だったのに、背中を向けた瞬間答えが聞こえた。「今日でもいいよ」
3月18日 春の睡眠の日
始まったばかりの恋の相手は、ミュージシャン。しかも、いきなりの遠距離恋愛に不安しかない。慌ただしく逢瀬を終えた翌日、自宅に届いた小包には使い古しのヘッドホンが入っていた。高校三年間ずっと彼と共にあったものだと一目でわかる。『俺の曲以外は絶対に聞かないで』執着心も独占欲も僕のもの。
3月19日 ミュージックの日
幼馴染三人でキャンプに行ったら、二人はお揃いのウエアで現れた。「妬けるねぇ、おふたりさん!」とからかったら、なぜかムクれて外に出された。晴天に恵まれヒリヒリと顔が焼けてくる。テントの中では二人が日焼け止めを塗り合っている。「ちょ、俺も!塗って」え?待って!なんでパンツ脱がすの?!
3月20日 日焼け止めの日
鈍い男を取り合う二人は中身で勝負だと双子コーデでキャンプに来たけど、やっぱり男は鈍いので協力して落とすことに作戦変更、からの日焼け止め塗り塗り。でもまだ伝わらない。
「好きになる、俺のことが好きになる。俺俺俺俺俺!!」習ったばかりの催眠術を長年片思いしてきた上司に試す。堅物で冷血漢。相談があると頼み込んで飲みに連れてきた。酒の力で効果倍増♡と思ったのに、どこからか出してきたカスタネットを打ち鳴らしフラメンコを踊り狂う。「オォウ・レィィ」失敗!
3月21日 催眠術の日
最近アパートにくる黒猫は耳の先に切り込みがある。「けんかしたかな?」と言うと隣の部屋の奴が顔を出し「さくらねこ。避妊済みの印だよ。子が持てない奴だ」と教えてくれた。「じゃあ、たっぷり可愛がってやらなきゃな」「俺も独り身のネコなんだけど可愛がってくれる?」妖しい笑みに心臓が跳ねた。
3月22日 さくらねこの日
一代限りの命を健気に生きるのは、さくら猫もネコも同じ。
ホットサンドは出来立てが一番。しかし我が家のホットサンドメーカーは二つ同時に出来るので厄介だった。小さなフレームの中の笑顔をにらむ。
「俺は一人用が良かったけどお前が言うからこれにしたのに。先にいくなよ、ばか」
『待て、俺が死んだみたいじゃん! 待ってるから早く来いよ、春庭57。寝坊助!』
3月23日はホットサンドを楽しむ日、彼岸
そして、春庭57@東京ビッグサイトです。
ルームシェア中の腐男子二人ですが、一人は寝坊して置いてけぼり。スマホでビデオ通話中の朝食風景でした。
現地参戦の方、おもちDXさんの【お09b】にてお待ちしております。12:00~13:00 14:00~15:00在席予定です
あれ着てこれ着てとファッション好きの従兄弟は俺を着せ替え人形にする。「社会人にもなって高校生相手にお人形遊びってどうなの?」「お人形、遊び……!」何を想像したのか知らないが従兄弟は鼻血を垂らしながら身悶えた。「はいはい、キモい。ドン引きなんだけど」嘘。嬉しい。早く告白してこいよ。
3月24日 マネキン記念日
試される理性。
年度末の俺は限界社畜。最短ルートで家を目指したいが、駅前で同居人と偶然会った。夜型のコイツは元気いっぱい。俺ぐったり。「お疲れだね。OK、任せとけ!」俺の腕をグイッと引っ張ると家とは逆方向へ。ボロ雑巾のごとく引き摺られ着いた先には一分咲きの桜が。「元気出るっしょ♡」お前の笑顔にな。
3月25日 散歩にゴーの日
恋人未満のふたり。
日本を離れて2年。修士課程を終え帰るつもりが博士課程に進めと嬉しくも辛い誘いが来た。「ラーメン食べたい。うなぎ、カレー…」学生の恋人に電話で愚痴ると何か閃いたらしい。『アレ送るね!』後日重い小包が届いた。中身は俺が食べたかったものばかり!だが食べられない。全部食品サンプルじゃん!
3月26日は食品サンプルの日。
(これなら無くならない!)とひらめいた恋人はちょっぴり天然。学生としては奮発したつもりでした。愛情あふれるひどい仕打ちに遠い空の下むせび泣く男は幸せ者。
僕と君とは離れている。時差があって、季節が逆で、手を伸ばしても触れられない。念願の留学だけど、異国の夜は心細く、泣きたくなる。深夜0時、突然のビデオ通話に急いで涙を拭いて出る。『見て!やっと咲いたんだ』興奮気味の君が一瞬映り、桜がアップになる。僕が本当に見たいのは君なんだけどな。
3月27日オンライン花見の日、さくらの日
初恋のみっちゃんは意地悪だった。公園でやっと見つけた四葉のクローバーを横取りすると、ブチンと千切って台無しにした。ヒドイと泣く僕とだってと泣くみっちゃん。理由はわからないままケンカ別れして、大人になった。一目で恋に落ちた相手はあのときのみっちゃん。そっか、君はミツバというんだね。
3月28日 三つ葉の日
3月とは思えない陽気に「もう冬服はいいかな」と恋人は厚手の作業着を置いていった。ライフライン会社に務める彼にとって作業着は戦闘服だ。冬の寒い日も屋外で作業するから、冬服は襟にボアがつく。鼻を埋めると彼の匂いがした。お疲れ様、とつぶやいて洗濯機に放り込む。楽な気候が続きますように。
3月29日 作業服の日
もう暖かいと思いきや、やってきた寒の戻りに「せっかく洗ったのにごめんね」と申し訳なさそうな顔をしながらふかふかの冬服を着て欲しい。
夜パフェ専門店を開店して一年。気になるお客さんがいる。年の頃は三十をこえ、スーツ姿でやってくる。彼のピンと伸びた背筋が好きだ。僕の作ったパフェを口に運ぶ動作に無駄はなく、全身全霊をかけて味わっているような気さえする。「これが最後の食事になるかもしれないから」と笑う彼の正体は不明。
3月30日 マフィアの日
甘党のマフィア、かわいいと思う。プリンアラモードも好きなはず。
年度末が3月31日で終わるのは150年以上前から決まっているのに、駆け込み清算の多いこと!最終日に営業部で最もだらしない男が書類片手に顔を出した。「いらない!」荒い口調になのはプライベートでは恋人だからだ。「本当に?」そっと机に置かれた紙は結婚式場の申込書。まぎらわしいんだよ、ばか♡
3月31日 経理の日
経理を司る皆様、お疲れ様です。
“初めて会計年度が定められた1869年(明治2年)がその始まり”らしいので150年以上前としました。(参考:Manegy HPより)
 




