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君がいたから僕はヒカリ

ヤミに死刑が決まった。

人々を闇に取り込み、争いを起こさせた罪で。

人々はヒカリをあがめた。

真っ白な世界を望んだ。

人々はヒカリにヤミを殺せと命じた。


嫌だ。

ヤミとは同じところから生まれたのに。

二人ははずっと一緒だったのに。

ヤミをどこか遠くへ逃がすのはどうだろうか。

人々がヤミを嫌わない、ヤミが人々におびえなくて済むくらい遠くで生きることが出来るかもしれない。

ねえ、僕の友達。


でもヤミはそれを受け入れなかった。

僕を見るとヤミは直ぐに牙を剥いた。

戦わずにはいられなかった。

ヤミがそれを望んだから。

ヤミがそれを望んでいる僕には分かってしまったから。

僕の傷は増えていく。

ヤミの傷も増えていく。


誰にも見つからないところへ二人で行こうよ。

君さえいれば何も要らない。


ヤミは言った。

君は人々を照らすことができる。そして人々もそれを望んでいる。

君は愛され、そして誰かを愛することが出来る。

でも自分には無理だ。何もかも塗りつぶしてしまう。


僕は叫ぶ。

ヤミが人々に静かな夜を与えるから、人々は朝に目覚めることが出来るんだ。

誰しもが持つ秘密や悲しみをヤミが覆い、癒してくれているじゃない。


ヤミは言った。

それでも人々は自分のいない世界を望んだ。

自分がいなくなることでヒカリがもっと輝けるなら、喜んで死のう。


もうすぐヤミは消えそうだ。

どうしたの、ヤミはもっと強いはずじゃない。


もうやめようよ。


でもヤミはそれを望まなかった。


だから



人々は喜んだ。

でもそれは長く続かなかった。

ヒカリの世界がどんどん暗くなっているように感じられた。

人々はそれをヒカリのせいにした。

本当にヒカリはヤミを葬ったのか?

自分たちの中にあるどす黒いものの理由もヒカリに押し付けた。


僕はやっと気づいた。

ヤミがいなければ僕はヒカリじゃない。

ヤミは頭がいいから知っていたよね。


ああそうか、僕らは二つで一つだったのか。

だから僕らはいつも一緒にいたのか。


じゃあ、きみのいないせかいになど。



ヤミの最期のために僕はヤミに喰らいついた。

その一瞬、ヤミはぼくらの目を塞いだ。

だから僕はヤミが最期にどんな顔をしていたのか分からない。

人々はヤミの消える瞬間を知らない。


なんてやさしい僕の友達。

なんてずるい僕の友達。


これからはずっと一緒だよ。







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