獣の臭い
人気のない夜道、
歩道を歩いている女子高生。
その横に箱型バンが急ブレーキで止まり、
スライドドアが開いたかと思うと、
中から男二人が飛び降りて来る。
男二人は女子高生に襲い掛かり、
後ろから羽交い絞めにし、
手に持つ布で少女の口を塞ぐ。
短い悲鳴を上げた女子高生は、
すぐに口が塞がれ、
何が起こったのかもわからず、
男を振りほどこうとするが、
男二人による力の前に抵抗 虚しく、
そのまま車内へと引きずり込まれる。
全身をバタバタさせ
車内で必死にもがく女子高生。
男達に力づくで抑え込まれ、
少女の瞳は恐怖に怯えている。
「誰にも見られなかっただろうな?」
車内の男は総勢で四人。
運転手が一人に、先程の二人、
そして車内で待機していたもう一人。
「こいつを変態旦那のとこに連れて行くだけで、
大金が貰えるんだから楽なもんよ」
「その前に俺達で楽しませてもらうんだけどな」
「ちゃんと撮っておけよ、
AV会社に投稿したら金が貰えるからな」
そう言われ男の一人がカメラを取り出す。
少女の瞳は絶望に満ち、
その目には涙が溢れる。
-
獣のような男たちが
女子高生の制服に手を掛けた瞬間、
車のヘッドライトの中に
女のシルエットが浮かび上がる。
運転手が慌てて急ブレーキを掛けたため、
車内は大きく揺れ、
男達はバランスを崩す。
「危ねえじゃねか! バッキャロー!」
運転手の大声での恫喝にも動じることなく、
車の前から動こうとしない女。
「いいから、轢いちまえっ!」
仲間の声に運転手はアクセルを踏み込むが、
それと同時に女がこちらに向け片手を上げると、
タイヤの回転音がするだけで前には進まない。
「なにやってんだっ!」
「こうなりゃ、
あの女も一緒に攫っちまえっ!」
スライドドアを開け、
飛び出して来る男三人。
運転手も車を止め降りて来る。
だが、その前に居るのは例によって、
十数人以上のサキュバスの女達。
「なんだてめえらはっ!!」
男三人が大声で恫喝したのも束の間、
サキュバス達の魅了・誘惑に即座に陥落。
その隙にリリアンが
車内の女子高生を助け出す。
-
アイリンが車を止め、
他のサキュバス達が男共を魅了し、
リリアンが女子高生を助け出す、
彼女達の作戦が
見事に成功したと思われたその時。
運転手がリリアンに殴り掛かる。
その拳がリリアンに接触する寸前、
アイリンが片手でこれを受け止めた。
「人間に私達の魅了が効かないなんて……」
驚くリリアンをアイリンは鼻で笑う。
「あんたこそ、パフェの食べ過ぎで、
嗅覚がおかしくなっちまったんじゃないかい?」
さっきの喫茶店での
お返しと言わんばかりのアイリン。
「こんな獣臭い人間が居るもんかい」
アイリンはそう言うと
運転手の拳を強く掴んで握り潰そうとする。
その手を運転手が振り払う。
「まさかなぁ、
ここでサキュバスなんぞに
邪魔されるとは思ってなかったよ」
運転手の体が見る見る膨れ上がり、
上半身の衣服は裂け千切れる。