女教師・愛倫
計画を実行することにした愛倫。
前回の反省を活かし、
あからさまに目立って
浮いてしまわないよう格好には配慮する。
金色の髪を少し落ち着いた茶色にし、
後ろで結わき、銀縁の眼鏡を掛け、
タイトなスカートに
ジャケット姿の愛倫。
「なんですか姐さん、
そんなアダルトなエロ動画に出てくる
女教師みたいな格好して」
大人しめの風貌にしてみても、
レジェンド級サキュバスの
滲み出るエロさは隠し切れない模様。
「写メ撮っておくれよ、慎さんに送るから」
まんざらでもなさそうに
機嫌良くしている愛倫。
『女教師プレイもOKよ(はあと』
リリアンに撮ってもらった写真に
そう一文付添えて慎之介に送りつける。
「でもなんで、私が小学生役で
一緒に小学校に行かなくちゃ
いけないんですか!?」
愛倫の計画に不満そうなリリアン。
「小学生役が出来そうなの
あんたしかいないだろ?
ミルリンみたいなのが小学生じゃあ、
誰も信用しないよ」
「これ、ちゃんと小学生ぽく
見た目変えてるんですからね、
誤解しないでくださいよ!
いくら私でもここまでツルペタじゃ
ありませんからね!」
必死になって弁解するリリアン。
「そうかい?
そんな変わらないような気がするけどねぇ」
-
転校を考えている子供と親が
学校を見学に来たという設定で
学校にやって来た愛倫とリリアンは
例の少女を担任する先生と廊下ですれ違う。
顔をまじまじと見つめる愛倫に
担任の先生は不思議そうな顔をしたが、
お互いに目と目が確実に合った。
目が合った瞬間、
愛倫の目は赤く光る。
同じように廊下で、
例の問題になっている少女とすれ違う。
愛倫は少女が
こちらの目を見るか心配だったが、
そこはリリアンが機転を利かせて
トイレがどこにあるか
聞くフリをするという好サポート。
「ごめんね、トイレってどこかな?」
質問されれば
少女もこちらを見ざる得ず、
愛倫は目を合わせることに成功。
やはり互いの目が合った瞬間、
愛倫の目は赤く光る。
愛倫がしたことは
ただそれだけだった。
それ以外は一切何もしていない。
しかし、少女はその日の内に
児童相談所に保護される。
愛倫は特に大したことをした訳ではない。
ただ学校の先生に
『最近、嫌なことはない?』
と聞くように催眠をかけ、
少女に本当のことを話す勇気が持てるように、
少女の勇気を増幅させるような催眠をかけただけ。
無理矢理少女に告白させるような
催眠をかけた訳でもなく。
つまり本当に何もなければ何も起こらず、
愛倫はそうであることを願ったが、
結局そうはいかなかったということになる。
-
夜遅く喫茶『カミスギ』のカウンターに座り
黄昏ている愛倫。
様子を見に来た慎之介が
その横に腰掛ける。
元気がないように見える愛倫を
慎之介は気遣う。
「何も起こらなければ、
それが一番いいと思っていたんだけどね、
あたしは」
「あの娘はこれからどうなるんだろうね?」
「そうですね、とりあえず一旦は親と離れて
養護施設で暮らすようになると思います。
その後は状況を見て、様子を見ながら
決めていくことになるでしょうね」
「『改心したからまた子供と一緒に暮らしたい』と
親が言えば認められることが多いですし、
子供も心のどこかでは
親と離れて暮らしたくない
と思っている場合もあります」
「強制的に親子の仲は引き裂けないという
難しさもありますよね」
「子供への性的虐待は
無罪という判決も多いようですし」
現状日本の児童虐待問題について
慎之介は丁寧に説明していく。
「あたしだってすべての人を
助けられるわけじゃあないし、
助けてあげられる人なんて
ごくごくわずかでしかないんだけどね」
「助けたいと思っても
それはお節介なのかもしれないし、
助けたところで、
その後は何も変わらないかもしれないと、
そう思うことがないわけじゃあないんだよ」
普段は絶対見せないような顔で
俯く愛倫に
慎之介は真摯に向き合おうとする。
「まぁでも、
何も変わらないかもしれないと言って、
何もしなければ助けられる人は
ゼロのままじゃないですか」
「何も変わらなかったとしても、
何かをすれば、もしかしたら一人ぐらい
助けられる人がいるかもしれない」
慎之介の目をじっと見つめる愛倫、
慎之介もまたその目を逸らさず見つめ返す。
「さすが慎さん、いい男だね、
早くあたしのことを抱いてくれたらいいのに」
「それはちょっと困ります、
まだまだ童貞を大事にしたいですからね」
慎之介はそんな冗談を返すようになっていた。
横に座る愛倫の顔は、
どこか物憂げで悲しそうでもある。
慎之介はそんな愛倫の手を
そっと握ってあげる。
慎之介の方を向き微笑んで
そっと目を閉じる愛倫。
慎之介から手を握るというのは、
ドレインタッチで精気を吸ってもいい時という
二人が決めた合図。
他には誰も知らない二人だけの秘密。
愛倫は慎之介の肩にもたれ掛かり、
まるで甘えるかのような仕草をみせる。
この二人が結ばれるのも
そう遠くはないのかもしれない。




