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サキュバスは、性犯罪を許さない  作者: ウロノロムロ
サキュバスは、神の濡れ衣を晴らす
21/58

現場に残された証言

「しかし、これはまた、

随分と腐った魂の持ち主だったようだね、

見事にドス黒く変色しちまってるよ」


まだ現場検証中であったが、

特別に中に入って遺体を見せてもらう

慎之介と愛倫アイリン


遺体に微かに残った魂の絞りかす

残留思念を見た愛倫アイリン

開口一番に発した言葉がそれだった。


人間の目には見ることが出来ないものが、

異世界の者達には見えることがある。


同様に愛倫アイリンでなくては

分からないことが

現場には多数残されていた。



「これはやはり

最近連続して起こっている

謎の突然死ということになりますか?」


連続突然死に何かしら異世界の者達が

関わっていると考えた慎之介は、

そうした異世界の者にしか分からないことを

調べてもらうために

愛倫アイリンを呼んだのだった。


「おそらく、間違いないだろうね」


「これだけ腐って変色しちまってるんだ、

この人間は随分と他人から

恨みを買ってるんじゃあないかね」


「恨みですか……」


顎に手を当て考え込む慎之介。


「もしかして、

呪術とか呪詛的なものを使った

犯行でしょうか?」


「いや、それはないよ、慎さん」


その問いに対し首を横に振る愛倫アイリン


「呪術とか呪詛ってのは、結果として

呪った相手を殺すことにはなるんだけどね、

その過程や死因ってのは

ちゃんとあるものなのさ


呪った結果、心臓発作を起こして死ぬ、

呪った結果、事故に遭って死ぬ、

て具合にね


つまり死ぬに至った原因、

死因になるトリガーはちゃんとあるんだよ


しかし、今回の連続突然死は

その死に至るまでのプロセスがないと来ている


こんな突然

魂を抜かれたような死に方は

しないものなのさ」


 ――やはり、魂を抜かれたのか?


最初にこの話を聞いた時から、

死因に思い当たる節が

愛倫アイリンにはあった。


幾歳月を生きた愛倫アイリンでも

こんな死に方をするのは

魂を抜かれた時ぐらいにしか見たことがない。


つまり被害者は

犯人によって魂を

黄泉よみの世界に連れ去られたということだろう。



「降霊術師でも呼んで、

何が起こったのか聞けたら

話は早いんだけどね」


「い、いや、愛倫アイリンさん、

さすがに事件の捜査に

降霊術師というのは、

まだ認められていなくてですね……」


突然とんでもないことを言い出す愛倫アイリン

戸惑う慎之介。


「そ、そうなのかい?」


「じゃあ、仕方ないね、

まぁ、あの手を使うとするかね」


-


「……まったくもって、

うらやま、けしからんことこの上ない……

最近の若者の性の乱れと来たら……」


霊的捜査を行っている二人を尻目に

大泉警部はまだ一人でぶつぶつと

お小言を続けていた。


「ちょっと、あんた」


愛倫アイリンに突然声を掛けられ

ドキッとする警部。


「な、なんですかな、エロいご婦人」


紳士を気取ろうとしても

ついつい本音が出てしまっている。


「あんたの体を

貸して欲しいんだけど、ねぇ」


愛倫アイリンの意味深な言葉に

色めき立つ警部。


「な、なんとっ!」


興奮して鼻息が荒い。


「そ、そうでしょうともっ!


そうではないかと

思っておったのですっ!


あんな若僧なんかよりも

我輩のような大人の魅力溢れる男こそが

あなたのようなエロいご婦人には

相応しいというものです!」


勘違いに歓喜して

取り乱している警部だったが、

ここは大人の魅力

余裕を見せようと

「オホン」と咳払いをして

落着いた素振りを取り繕う。


「し、仕方がありませんなぁ、


いいでしょう、

いくらでも我輩の体をお使いなさい


我輩の体でいくらでも

貴女を慰めて差し上げましょう


きっとあなたも

我輩の男としての逞しさに

大満足されることでしょう」



「まぁ、それじゃぁ、

事前の了承はいただいたということで、

遠慮なく使わせていただくかね」


愛倫アイリンはそう言うと

間髪入れずに

手で掬い上げて持っている

遺体に残っていた残留思念を

警部の体の中に押し込んだ。


早い話が、被害者の残留思念の依代、

憑依される降霊術師役を

警部の肉体にやってもうらおう

という訳だ。



それまでエロい妄想をしていた警部、

別人格が憑依して一転、

目の色と顔つきが変貌する。


「た、頼むっ、

た、助けてくれっ、

俺はまだ死にたくねぇっ」


現場に留まっていた

わずかな残留思念は、

まだ自分が死んだことを

自覚していないらしい。


「残念だけどね、

あんたはもう死んじまってるんだ、

人間の肉体としてはね」


愛倫アイリンは生を絶たれた

魂の欠片を諭す。


「一体ここで

何があったんだい?」


「あ、あいつ等が、

突然、俺を、襲って来やがったんだ……


し、死神だ、

あ、あいつ等は、死神だ、

死神に違いない……」


 ――死神か


死した者を迎えに来る存在、

人間の魂を肉体から切り離して

命を奪う悪しき存在として

一般的には認識されているが、

そもそもは魂の管理者であり

死せる人間の魂が迷わぬように

正しく冥府に導くという役割を持っている。


確かに死神であれば

肉体に痕跡を残すことなしに、

魂だけを肉体から切り離し

人間の命を奪うことが出来る、

今回の突然連続死の犯人として

これ程有力な存在はいないだろう。


とは言え愛倫アイリン

どうにも腑に落ちない。


 ――あいつ等、ねぇ……


仮にもその名に『神』を冠する者達が

たかが人間一人を寄ってたかって

私刑にするものだろうか、

愛倫アイリンの違和感の理由はそこにある。



しかしそこで残留思念はついえ、

それ以上の有益な情報は得られなかった。


「……は?

……我輩は一体何を?」


大泉警部が我に返ると

その時ちょうど警部の携帯が鳴った。






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