セクシー美女軍団
謎の女の出現に呼応するかのように、
路地裏付近の上空には
いつの間にか蝙蝠達が
大量に集まって来ていた。
音もなく忍び寄るかのように。
「そんなことはどうでもいいから
これから俺達とお楽しみといこうじゃないか」
女は妖しい笑みを浮かべながら、
さっきの男のセリフを真似てみせる。
興奮で顔を真っ赤にして、口々に喚く男達。
頭に血が上ったのか、
それとも血が集まったのは別の部位なのか。
「てめえ、おちょくってんのか!?」
「ちょうどいい、
てめえも一緒に犯っちまうぞ」
挑発された男達は、頭にきているのか、
もうその本性を隠そうとすらしない。
男達のあまりにどストレートな
欲望の吐露を聞かされ、
その獣ぶりに少女は震え慄く。
「そりゃ願ってもないことさね
でも三人ばかしで大丈夫なのかい?
あたしは『達』って言ったんだけどねえ」
その言葉に呼応するかのように、
路地裏にコツコツと足音が響き、
影が濃い闇の中から女達が姿を現わす。
足音は止むことなく、
女達が次から次へと後に続く。
それまで路地裏にはまるで
気配すらなかったというのに、
やはりまるでどこからか
湧いて来たかのように。
闇の暗さに最初は気づかなかった男達だが、
近づいてくるに連れ、
女達がとんでもなく煽情的な姿をした
美女軍団であることを理解した。
露出度の極めて高い
ボンテージファッションに身を包んだ女達が、
男達に近寄る。
「うふふ…」
まるで多幸感溢れる女神のように
微笑みを投げかける美女達、
その数は少なくとも十人以上はいるであろうか。
三人の男は美女達に視線が釘付けとなり、
身動きすら取れずに、ただ息を呑むばかり。
周囲に広がる甘い香りが鼻腔の奥をくすぐり、
愛くるしい笑い声が耳をとろけさせ、
視覚的ばかりではなく、
五感すべてで男達を刺激する。
「うふふ…」
男の腕に抱きつきその豊満な胸を押しつけ、
または背中から絡みつく、
顔を至近距離まで近づける。
いつの間にか三人の男達は
美女に群がられていた。
女達は男達の耳元で
吐息まじりに囁きかける。
こうなると先ほどまでの
ピリピリした緊迫ムードとは打って変わって、
男達は鼻の下を伸ばして
頬を染めデレデレしている、
その変貌はまるで魅了される術に
嵌っているかのようでもある。
本来事件の当事者であったはずの少女は
もはや蚊帳の外、
何が起こっているのかよくわからない
その異様な光景を目の前に、
この窮地をなんとか
脱することが出来るよう祈りながら、
固唾を呑んで見守るしかなかった。
セクシー美女達にイチャイチャされて
すっかり骨抜き、腑抜けとなった男三人は、
我慢しきれず今すぐにでも
ここでやらかしそうな雰囲気すらある。
「いくら人通りがないとは言え、
ここじゃあマズイ、
この先にちょうどいい塩梅の廃墟があるから。」
最初に現れた謎の女がそう言うと、
ボンデージ美女軍団は声を揃えて返す。
「はーい! うふふ…」
男三人と美女達は、
集団でイチャイチャしながら
路地裏の影が濃い闇の中へと遠ざかって行く。
「やだー! うふふ…」
「もうエッチなんだから、うふふ…」
こうなるともう単なるお金持ちが
キャバ嬢達にコスプレさせて
連れ回しているようにしか見えない。
昼日中であれば
白い目で見られることは間違いない。
下手をすると
通報されてしまう可能性すらある。