7日目【前編】
朝方になり、ニュースをつける。
女性の存在が世間に発見されたのかを確める。
朝方ということもあり、女性発見のニュースは流れない。
カーテンを開き、マンションの下に視線を向ける。
普段と変わらない事を確認すると斎藤は昨日抜き取った血液を小瓶に入れて処分する。
普通に処分するのではなく、コンビニ、公園等のゴミ箱にバラバラに袋に入れて捨てていく。
血液をトイレなどに流せば、最悪の事態が起きた際に直ぐに血痕が発見されるからだ。
自然な形で処分がある程度、終わった頃、着信が入る。
【管理人】の文字に恐る恐る着信に出る。
『もしもし、斎藤です』
『あ、斎藤先生。いきなりすみません、実は大きな荷物が届いてまして、管理人室に取りに来て貰えたらと思いまして?』
──荷物? 何も頼んだ覚えはないが?
『わかりました。差出人はわかりますか?』
『それがねぇ、箱には斎藤先生の名前だけなんだよ、差出人不明だから、困ってるって言うのが本音ですね、でも、生物みたいですよ?』
冗談混じりに笑う管理人。
『直ぐに戻りますので、それから管理人室によります』
『わかりました。あと一時間もたら、少し出てしまうので、その際は夕方にでも、冷蔵庫に入らないサイズなんで、そのままになってしまいますが』
『わかりました。でわ、失礼します』
斎藤は電話を切ると急ぎマンションへと帰宅する。
管理人室に辿り着き、室内に入ると台車に乗せられた大きな箱が置かれている。
「どうも、荷物を取りに来ました」
「嗚呼、斎藤先生、予定より早くて助かります。台車はあとで取りに行きますのでエレベーターの前にでも置いといてください」
そう言うと管理人は出掛けていく。
通常のエレベーターに台車を運び、最上階に向かう。
部屋に箱を運び込む。
余りの重さに台車から引っ張り、玄関で開封する事になる。
「差出人不明の巨大な箱か……今は少なくなったが、久々だな、しかし、かなり重いな」
闇医者を始めた当初はよくあったが、闇医者を直ぐに廃業してからはそういった事も無くなっていた。
箱を開き、中を確める斎藤。
箱の中身はキャリーバッグであり、一枚のメモが貼られている。
“さがしもの”と書かれている。
持ち上げるのも大変だった箱を横からバラし、キャリーバッグを取り出す。
嫌な雰囲気が漂うキャリーバッグを開く。
そこには、縛られた女性が意識を失った状態で入れられており、その顔には見覚えがあった。
一度は諦めた、水商売の女性であり、斎藤は混乱した。
──誰なんだ、この荷物の差出人は俺のことを知っている!
慌てて、キャリーバッグを閉めると直ぐにエレベーターに向かう。
エレベーターに乗り込んだ斎藤はどうするかを考えていた。
荷物の存在は管理人も知っており、指紋の拭き取りもしなければならない。
途方にくれる斎藤、そんな時、エレベーターが途中で停止する。
“7”という数字に斎藤は言葉を失う。
「あ、斎藤先生? また、会いましたね。また、お買い物ですか?」
最悪の出会い、そして、扉が閉まる。