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第77話『魔導書強奪』


 現れた巨大ゴーレムは魔導書を守るように遥達の前に立ち塞がった。

 

 ゴーレムはその巨大な足で遥達を踏み潰そうと大きく足を上げ、勢いよく踏みつけた。

 遥達はそれを避けすきの出来たゴーレムに攻撃を加える。遥は手に持つ両刃直剣を使いゴーレムの巨大な腕を切り落とし、銃を持っている残りの四人は左足に弾丸を集中させ岩の体を砕いた。

 

 ゴーレムはバランスを崩す。

 

 「早くとどめを!」

 「ああ!」

 

 遥はバランスを崩したゴーレムを縦に真っ二つに切り、残った手足も切断した。ゴーレムは大きな音と大量の砂埃を立てて倒れた。

 

 「これで終わりか?」

 「呆気ないもんやな」

 

 ゴーレムの呆気なさにミンディと圭斗は驚きの声を漏らす。しかし、魔導書を守るためのゴーレムがこんなにも弱いなんてことはあるはずも無く、砂埃の中に人間くらいのサイズの影が二つ動いている。

 

 「あれが本体みたいですね」

 

 ジャックが下ろしていた銃を構える。

 

 「それやったら先手必勝や!」

 

 圭斗は影に銃口を向け引き金を引く。凄まじい発射音と薬莢が地面に落ちる音、そして金属が弾丸を弾き返す音が部屋全体に響き渡る。

 

 「火焔(カグツチ)!」

 

 遥は影めがけて炎を放ち爆発させる。砂埃は爆風で消え、炎の中からゴーレムと言うにはあまりにも近代的な二体の人型のロボットが現れた。

 

 「最近のゴーレムはあんな感じなのか?」

 「私に聞かないで知るわけないじゃない」

 

 一体のゴーレムは掌を遥に向ける。

 

 「これは……!」

 

 大きく横へ避ける遥。

 遥の予測した通り案の定掌からビームが発射されビームが当たった壁はには野球ボール程度の穴が空いていた。

 

 「くそ……見た目といい攻撃方法といい、スーパーヒーローかよ」

 

 再び放たれるビーム。

 

 「ビームはお前だけの専売特許じゃねぇーんだよ!」

 

 炎を圧縮して放ちゴーレムの放ったビームを相殺させる。しかし、ゴーレムは相殺されたことなどお構い無しに連射してくる。

 遥はゴーレムと違い連射することが出来ないため結局は逃げ回る羽目になった。

 

 「くそ! なんで俺だけ狙うんだ!?」

 

 遥は文句を言うが遥ばかりに狙いを定められたため、逆に他の四人は攻撃に専念することが出来た。

 

 「全員弾丸を魔石弾に変えろ!」

 

 ミンディの指示で全員が銃のマガジンを入れ替えゴーレムに向けて一斉射撃を開始する。

 そしてここでようやくもう一体のゴーレムが動き出した。ゴーレムが手を前に出すと無数に撃った弾丸の動きが止まって全ての弾丸が引っ付いた。

 

 「磁石か……?」

 

 ミンディが塊となった弾丸を驚きの表情で眺めているとゴーレムはこの塊となった弾丸を凄まじい速さで吹き飛ばした。

 

 ミンディ目掛けて一直線に飛んでくる弾丸の塊。ミンディの体に当たりそうになったギリギリで遥が直剣の腹で弾丸の塊を打ち返した。

 

 「すまない、助かった」

 「いえ、仲間なんでね。持ちつ持たれつですから、俺がピンチの時は助けてくださいね」

 

 遥は笑ってみせる。

 

 「それにしてもや、ビームを使うゴーレムと念動力みたいな力を使うゴーレム……こんなもんどうやって倒せっちゅうねん?」

 「体のどこかに貼られた羊皮紙に書かれている文字の一部でも消せばいいって聞いたことがあるが」

 

 圭斗の疑問にジャックは答えてみだがそんな羊皮紙なんてものは体のどこにも貼られていない。

 

 「とりあえず何とかして破壊するしか現状方法はないみたいやな」

 

 そう圭斗が言うと全員が遥の方を見る。

 

 「その目線は俺の瞬間火力に期待してる感じですかね? やってみますけど時間を二分ほど稼いでください」

 

 遥の時間を稼ぐため四人は武器をかまえ遥を守るようにゴーレムの攻撃を逸らし続ける。

 遥は剣に炎をまとませて魔力を増幅させ続ける。魔力を増幅させ続けた剣を包む炎は炎と言うには強い光を放っており、レーザーのようだった。

 

 「全員距離をとれ!」

 

 遥の声に素早く反応し四人はゴーレムから距離を取った。

 

 遥はゴーレムとの距離を炎の噴出を利用したブーストで詰め、凄まじい光を放つ剣をゴーレムへ振るう。

 二体のゴーレムにムラなく斬撃を放ち続ける遥だったが勢いは段々と薄れていき遥の持つ剣の光も収まっていった。

 

 遥はゴーレムから一度距離を取った。

 

 「 なんで途中でやめたのよ」

 

 薫那に聞かれ、遥はバツが悪そうに頭を掻く。

 

 「こんなもん長時間制御出来るわけないだろ。さっきのでも頑張った方だ」

 

 確かに金属が解けたかなり深い傷がゴーレムの体には刻まれている。しかし、二体のゴーレムはそれでも戦いを続けようとする。

 遥の斬撃によって既にゴーレムの多少は動きはぎこちなくなってはいた。

 

 「それにさっきので切断できないんだったらもうお手あけだ。あれ以上高威力なものを出すには魔力と時間が足りない」

 「え?! じゃあどうすのよ!」

 

 驚きの声を上げる薫那。

 

 「魔導書を奪ってずらかるぞ」

 「それが得策みたいだな」

 

 ミンディは少し動きの悪くなったゴーレムに銃を撃ちながら足止めをしている。

 

 遥はミンディ達がゴーレムを足止めしている隙に魔導書へ全速力で走る。もちろんゴーレムをそれに反応し遥に攻撃を加えようとするがミンディ達によって阻まれる。

 

 「貴重な高威力の魔石弾使ってるんやからはよしてや!」

 

 圭斗は遥を急かすように叫ぶ。使用している魔石弾は魔力を吸収するイーターを使い、ゴーレムの使う磁力を操る魔術で操れないようにしていた。

 

 遥は圭斗の声に答えるように台座へと近づき魔導書を奪い二体のゴーレムが反応する前に全速力で逃げる。

 

 「薫那! 持っとけ!」

 

 魔導書を薫那に投げ渡し、遥も銃をホルスターから引き抜きゴーレムの動きを止めながら後退して部屋から出ていく。

 

 「走るぞ!」

 

 遥の声と共に来た道を全力で走り出す。

 背後からは何発ものビームが放たれ壁や地面に当たり大きな穴がか空きまくる。

 

 「このまま一直線に全員で走ってたらただ的になるだけだ! 次の分かれ道で二手に別れるぞ!」

 

 遥の指示通り次の分かれ道で遥と薫那、ミンディとジャックと圭斗に別れる。

 二手に別れゴーレムをまくことが出来たのかビームが飛んでくることはなくなった。

 

 「とりあえず逃げきれたか……」

 

 遥は火を灯し周囲を確認する。

 

 「遥、火をこっちにちょうだい」

 

 薫那は魔導書をその場に座って読み始めた。遥は火を薫那に寄せながら魔導書を横から覗いてみるがミミズがのたうちまわっているような文字は見ているだけで頭が痛くなった。

 

 「魔導書を今熱心に読むってことはそれにあの二体のゴーレムを倒す術があるってことか?」

 「分からないわ。でもあれは放置できないし遥の魔法が通用しないんじゃこれに頼るしかないじゃない」

 

 さっき攻撃が致命打にならなかったことに少しショックを感じていた遥だったが薫那に言われて完全に心が折れた。何も言えずに壁にもたれて小さく座る。

 

 「これなら倒せる、かも……」

 

 三十分ほど魔導書を眺め続けていた薫那ぽつりを呟いた。

 

 「どんな魔術なんだ?」

 「ごめん、遥。どうやら少しの説明もしている時間は無いみたいよ」

 

 ガシャンガシャンと反響する金属が地面に擦れるような足音。

 

 「ヒツギみたいに早くは出来ないからなるべく多く時間を稼いで」

 「わかった。精一杯やって見る」

 

 遥は鞘から剣を引き抜き、ホルスターからデザートイーグルを抜いた。

 

 放たれるビームを薫那に当たらないよう剣で弾く。遥はゴーレムが放つビームが魔法や魔術だけでないことを見破っていた。

 遥の持つ剣のビームを弾いた場所に赤く光る金属のようなものが付着していた。

 

 「やっぱりレールガンか。使っている魔術は二体とも電気系の魔術だな」

 

 もう一体の磁力を操る魔術もレールガンを使う魔術も全て電気系魔術の応用だったのだ。

 

 「さてさて、あの磁力で剣を変な方向に引っ張られることもないから安心して防げるな」

 

 遥はゴーレムとの間合いを詰める。

 

 「たっぷり時間を稼いでやるよ」

第77話を読んで頂きありがとうございます。

第78話は9月21日に投稿するのでよろしくお願いします。

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