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第76話『猿の魔導書』


 遥達が薬を完成させ、ピラミッド内へ入ろうとしていた同時刻に紫菀たちも遺跡の入口前に立っていた。

 

 「この半年以上の下調べに情報収集。本当にノエルの作戦でいけるのか? 」

 『こんなギリギリで疑うんですかぁ? 隊長くんが信用してくれないと舞台の士気が下がるなぁ』

 

 紫菀がボヤくと付けていた付けている通信機からノエルの間延びした声が聞こえる。もちろんその声は同様に通信機を付けている琴音と弘とマシロにも聞こえている。

 ノエルに便乗するマシロにそれを見て笑う琴音と弘に溜息をつきながら遺跡の中へと入る。

 

 中に入って歩くこと数分。早速空間が歪み始め、窓も扉もない部屋へと変わり多種多様鎧の化け物が現れた。

 

 「さぁ、始まった。弘、琴音! 手筈通りに頼む! この鎧共は俺とマシロが相手する」

 「「了解!!」」

 

 そう紫菀に言われ弘と琴音が構えた武器は銃ではなくクロスボウだった。

 そしてそのクロスボウから弓を発射するのだが鎧の化け物ではなく壁に向かって発射した。

 

 クロスボウから発射された矢にはなにか文字が描かれていた。

 

 『きたきた来ましたよぉ!』

 

 通信機の向こう側でノエルが声を上げる。

 

 『さっすがヒツギさんが作ったってだけのことはありますねぇ! 効果絶大ですよぉ』

 

 一人で楽しそうにするノエル。

 

 「ヒツギが作った!?」

 『そーですよ! 運良くまだ武器庫に残ってて良かったぁ』

 

 周囲を見渡すと壁や床が映像に亀裂が入ったように歪み初め、徐々に元の空間に戻り始めた。

 

 「よし、これであとはこの鎧のヤツらが消えれば魔導書への道が開けるはず!」

 

 弘がそう言ったものの空間は戻ってもいつまで経っても鎧の化け物たちは消えない。

 

 「どうなってんだよ! こいつら消えねぇぞ!」

 『あっれぇ〜?』

 

 素っ頓狂な声を出しながらノエルがガチャガチャとタイピングをする音が通信から聞こえる。

 

 『あー……鎧は幻術じゃないみたいですねぇ……普通の鎧が魔力で動いてるみたい』

 

 気まずそうにノエルが答える。

 

 「はぁ、結局簡単には通せませんってことかよ。そりゃそうだよな。弘! 琴音! 武器を構えろここにいるヤツら全員ぶっ壊すぞ!」

 

 紫菀の声と共に弘と琴音はクロスボウからアサルトライフルへと切り替える。

 琴音が撃った弾丸は鎧に着弾すると同時に爆発し、鎧に大きな穴を開ける。

 

 「ノエルが作った魔石弾の威力半端じゃないですね。あの鎧を一発で半壊させるなんて」

 『むふふ〜、でしょでしょ〜』

 

 琴音のもつ銃に入っている弾丸はノエルが魔宝石を調合して作った特殊弾丸であり、今使用しているのは着弾とほぼ同時に爆発するボムと呼ばれる弾丸だった。

 

 感心している琴音を横に弘も鎧の化け物に向けて銃を撃ち続けている。

 弾丸が二発から三発当たると鎧の化け物は糸を切られたマリオネットのように倒れた。

 

 「コピー品って言ってたけどこいつはすげぇな。こういう魔力が動力源の相手ならうってつけだ」

 『ヒツギさんは偉大だからねぇ』

 

 弘の撃っている弾丸は当てた相手の魔力を奪い取る昔ヒツギが作ったものの模造品であるイーターと呼ばれる弾丸。

 

 魔石弾の使用により鎧の化け物は予定よりスムーズに進みあっという間に全て倒してしまった。

 倒れて鉄の塊へと変わった鎧の化け物を通り過ぎ、奥へと続く一本道を進んでいくとそこは行き止まりだった。

 

 「ノエル、行き止まりになっている。なにか魔術的な反応はないか?」

 『ちょっと待ってねぇ』

 

 再びガチャガチャとタイピングすることが通信機の向こうから聞こえる。

 

 『魔術的反応はありませんねぇ』

 「じゃあ、ここで行き止まりってこと? 私たちどこか道を見落としてたんですかね?」

 「いや、そんな道はなかったはず……」

 

 琴音の疑問に弘が自信なさげに答える。しかし、話はまとまらず一度引き返すことになり進んで来た道を戻ろうとした時、マシロがなにか異変に気づいた。

 

 「にぃに! ここ見て!」

 

 マシロが指さすところを見るとそこは石の隙間から僅かな光が漏れ、風が少し吹いていた。これはこの壁の向こうに空間があることをしてしている。

 紫菀は壁に触れて押してみるが壁が動きそうな気配は全くない。

 

 「弘、とりあえずクロスボウをこの壁に撃ってみてくれ」

 「わかりました」

 

 弘は紫菀の指示通りクロスボウを撃った。

 

 「ノエル、この壁に何かあるか?」

 『うーん、さっきから探してるんだけどなぁ。魔力的な反応は無いですねぇ』

 

 ノエルは困ったように声を出す。

 そんな時に琴音がフラっと壁に近づき壁を思いっきり蹴り飛ばした。案の定壁は崩れ道が現れる。

 

 「隊長! 道が出ました」

 「お、おう……」

 

 自分が慎重に動いていたのが馬鹿らしくなるほど清々しい動きだった。

 

 現れた道は真っ直ぐ一本道でその道を進んでいくもかなり広い部屋へとたどり着いた。その部屋に台座が置いてあり、その台座の上に猿の絵が描かれた魔導書が置いてあった。

 

 「魔導書ありましたよ!」

 「琴音! 待て!」

 

 紫菀は琴音を止めて台座へと近づく。

 

 「ノエル、これに全く仕掛けがないわけないよな? 何があるんだ?」

 『御明答、この中と誰か一人が本に触れば意識が本に取り込まれ、自分の一番辛い過去を体験させられる。そしてその自分の過去に打ち勝つことが出来れば魔導書は手に入るよぉ』

 

 ノエルの言葉に三人は無言で魔導書を眺める。

 

 『打ち勝つことが出来なかったら待ってるのは死だけだよぉ』

 「……俺が行くよ」

 

 紫菀が魔導書へと一歩近づいた。

第76話を読んでいただきありがとうございます。

第77話は9月7日に投稿するのでよろしくお願いします。

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