第69話『新たな部隊』
出撃口には三十人ほどの兵士が仲良さげに話していた。そして、ボスが入ってきたことに気がつくと一切に整列する。
「こ、この人たちは?」
遥が驚きを隠せない様子でボスに聞くとボスはニヤリと笑い、自慢げに彼らのことを紹介し始めた。
「今まで多くの任務を戦力的にもお前達に任せていたがここ数ヶ月はこいつらに小さな任務は任せていたんだ」
「そういえばここ数ヶ月は確かに任務はかなり減った気が……」
紫菀が呟く。
たしかにここ数ヶ月は本部に救助することの出来なかった人々が住む村の周辺のアンデッドやクリーチャーの排除などの任務が無くなっていた。
「ここにいるのは対魔法、対アンデッド、対クリーチャーの特殊訓練を受け戦闘員として活動している一〇〇人の中から選ばれた者達だ」
ボスは兵士たちに部隊で分かれるよう指示を出すと兵士達は三人の部隊を二つと四つの六人部隊へと別れた。
「遥と薫那、紫菀とマシロに別れて三人しかいない部隊に入ってくれ」
ボスに言われた通り、3人の舞台の中に貼る形は入るとボスは世界史図の貼られたホワイトボードを使い作戦の説明を始めた。
「既に二冊の本の所在は大まかではあるが目星はついている。それがこことここだ」
ボスは磁石を世界地図に貼り付けた。磁石の置かれた場所は古代遺跡などがあり、そこにある魔導書を探し出すというものだった。
「この二冊は遥と紫菀のいる部隊に行ってもらう。お前ら暑いのと寒いのどっがいい?」
ボスが磁石を置いた場所はの高温乾燥地帯とそことは真逆の極寒地帯。全員が正直言ってどちはも行きたくないというのが事実。
「遥はどっちがいい?」
「マジでどっちも嫌。だからどっちでもいいかな、薫那とマシロは?」
遥に聞かれ薫那は少し迷うがマシロはホワイトボードに貼られたどんな場所なのかを説明するための写真に釘付けになっている。
砂漠には目もくれず見ている写真はどこまでも続きそうな雪原と見てきるだけで恐怖すら煽れそうな猛吹雪の写真。
「シロ、雪見たい!」
「マシロは分かってるか? ここで降る雪っていうのはそんなに可愛らしいものじゃないんだぞ?」
紫菀は諭すようにマシロに言うがマシロは猛吹雪の写真を手に取って紫菀に見せる。
「これが見たい! あとシロ寒いの全然平気だからここに行きたい!」
マジかァ、と言わんばかりの表情をする紫菀だったがどちらも地獄なら同じだと自分に言い聞かせて極寒地帯に行くことにした。
「じゃあ、俺達は砂漠の方だな」
「そう見たいね」
遥と薫那はまるで旅行に行くようなテンションのマシロと本気で嫌そうな紫菀を微笑ましく思いながら眺める。
「残りの部隊は未だに発見できていない魔導書の捜索に行ってもらう。残りの部隊への指示は私とビリーで行う」
「え?! じゃあ俺とか紫菀がいる部隊の指示は誰がするんですか?!」
「遥と紫菀が支持をしろ」
そう言うとボスは残りの部隊の人たちを連れて魔導書を探すための話し合いをするということでどこかへ行ってしまった。
「えぇー……」
「と、とりあえず訓練所にでも行くか? 一応俺らは隊長になったって訳だし部隊の戦力確認とかしといた方がいいだろ?」
紫菀の意見に遥はとりあえず頷いて訓練所な向かった。向かう途中、部隊の人たちは昔からの仲なのか和気あいあいと話している。
色々と先が思いやられる遥と紫菀とは違い、薫那とマシロは既に部隊の女性陣と、楽しげに会話をしている。
「じゃあ、自己紹介でもするか?」
「それもそうだな。お互い名前もまだ知らないしな」
遥の提案から自己紹介が始まる。
とりあえずは遥、紫菀、薫那、マシロの順番で名前と魔法の紹介などを済ませた。
そして始まる舞台員の自己紹介。まずは紫菀の部隊員の自己紹介から始まる。
「では、自分から。自分は船浜 弘と言います。ここに来る前は世界各国の公認から非公認、多種多様の特殊部隊や軍隊に転々と移り変わり入隊していました」
丸刈りに鍛え上げられた筋肉。黒いタンクトップから浮かび上がるがっしりとした熱い胸板に腹筋、そして身長は一九〇手前ほどの巨漢だった。
ゴツゴツとした手や腕、鋭い眼光を持つ顔、見える肌にいくつかの古傷があり、切り抜けてきたいくつもの修羅場がうかがえた。
「では次は私が。私の名前は霧島 琴音と言います。前までは衛生兵兼鎮圧部隊のエースでした」
茶色く長い髪を後ろの低い位置で束ねている大人びた顔立ちの女性だった。
弘と同じ迷彩のズボンと体のラインが分かるピタッ押した半袖シャツ、若くはあるがキリッとした話し方、女性としては鍛えられあげられた肉体、手にできたいくつかのたこ。
弘と同様に積み重ねてきた経験の豊富さが人目でつたわってくる。
「じゃあ、次はワタシが〜。ワタシの名前は朝上ノエルって言いまーす。琴音ちゃんと同じ部隊にいた衛生兵兼兵器開発科でそこそこ活躍してましたぁ」
ウェーブしているふわっとしたショートカットの金罰に透き通った青い瞳。それに少し間延びしたふわっとした喋り方から先の二人のように軍人らしさは感じれなかった。
ズボンは琴音と弘と同じものを履いているがへそ出しのトップスは大きな胸をさらに強調し、羽織っている白衣のせいで先の二人と違いコスプレのようにも見えてしまう。
そして何より衛生兵兼兵器開発科だからなのかスタイルは良いが鍛えられているとは言えなかった。
「以上が紫菀隊長の部下でぇーす」
経歴はさることながら改めてしっかりと見るとなかなかのインパクトを持つ三人に衝撃を受けた紫菀はこの先部隊を仕切ることへの不安やその他諸々を頭で処理するためにフリーズした。
「あらあら、固まっちゃって。年下の隊長なんて初めてだけどぉ……うんうん、見た目も女の子みたいで可愛いじゃーん」
紫菀にぐっと顔を近づけるノエル。その妖艶な雰囲気から紫菀は少したじろいでしまう。
この雰囲気の紫菀を見れることなど滅多にないため遥と薫那は少し感心してしまう。
「むぅ……にぃにを困らせないで! にぃにからもっと離れて!」
ノエルと紫菀の間にマシロが割って入り、紫菀を守るように立ち塞がる。
「あら、可愛いヒーローちゃんね。ゴメンなさいね、あなたの大好きなお兄ちゃんが可愛かったからぁ」
「にぃにいじめちゃダメ!」
「ごめんなさぁい」
ノエルは笑いながらマシロの頭を撫でる。
「ったく、そろそろあたしら挨拶してもいいかい? ねぇ、薫那?」
薫那に対して親しげに肩を組む女性が少し気だるげに遥に話しかけながら薫那に同意を求める。
女性的ではあるが男にも引けを取らない体格、長い赤髪を位置の高いボニーテールにしている。
そして何より薫那とは違いかなり着崩してあるため分からなかったがその人は薫那と同じ制服のような服を着ていた。しかし、薫那とは違い腕のところに梟のエンブレムが付いている。
「師匠……! やめてください」
「なんだよ、可愛い弟子に久々に会ったんだからたっぷり愛情をだなぁ」
「え! 待って弟子?!」
驚きのあまり大声を出してしまった。
「こう、あたしはミンディ·ウォード。対魔法特殊部隊のエース、そして薫那に戦い方を教えたのは何を隠そうこのあたし。そして薫那はあたしの可愛い一番弟子さ!」
第69話を読んでいただきありがとうございます。
第70話「師弟」は7月13日に投稿するのでよろしくお願いします。




