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第68話『魔導書回収任務』


 任務前日に遥は千寿の元を訪れた。チャイムを鳴らすと中から元気な足音が聞こえてくる。

 扉が開かれると縦に綺麗に半分に金と銀に別れた腰まで届く長い髪を二つに束ねておさげにした右の白目が黒く染った少女が元気よく顔を出した。

 

 「よっ、元気にしてたか?」

 「はるにぃ! あれ? 今日はけんにぃと一緒じゃないの?」

 「あぁ、そうなんだ」

 

 少し残念そうな表情を見せるも千寿は遥を家の中へと入れた。

 

 「あら、遥くんいらっしゃい」

 「お邪魔します。サラさん」

 

 千寿の親代わりをしてくれているサラはソファに千寿と座った遥に紅茶を出した。

 

 「ありがとうございます。少しお話したいことがあるのでサラさんも座って貰えますか?」

 「え、えぇ。分かったわ」

 

 遥の神妙な様子にサラは少しばかり戸惑いながらも座って話を聞く体制となった。

 

 「話したいことなんですけど端的に言うと健司が本部を出ていきました」

 「え……けんにぃが?」

 「……そうだ」

 

 千寿の目に涙が浮かびそうになる。しかし、千寿はそれを流すまいと必死にこらえながら声を出す。

 

 「はるにぃも出て行っちゃうの?」

 「俺は近々大切な仕事でここを離れるけど健司よりは早く帰ってくるよ」

 

 千寿は必死に涙を堪えながら無理やり満面の笑みを浮かべる。

 

 「にぃ達は世界を守るヒーローだもんね。ちとせはヒーローの妹だから泣かないよ? にぃ達のこと絶対帰ってくるって信じてるから」

 

 遥は千寿を抱きしめる。

 

 「絶対みんなで帰ってくるからな」

 

 千寿との会話を終えて家から遥が出てくると家の近くには薫那が立っていた。

 

 「わざわざ迎えに来てくれたのか?」

 「ちょっと千寿ちゃんの事が気になってね。どうだったの? 健司がまたいなくなって寂しがってたんじゃない?」

 「まぁ、多少はな? でも泣かないってよ俺たちが生きて帰ってくるって信じてるから」

 

 遥は少し寂しそうに笑い、歩き出す。

 

 「さっき任務のことをボスに少し聞いてきたわ。かなり長期間の任務みたいよ」

 「どれくらいかかるか予測はされてるのか?」

 「多く見積って一年よ」

 「は……?」

 

 歩いていた遥の足が止まる。

 遥が予測していた回答の斜め上を行き過ぎた回答に遥は戸惑いが隠せず目を白黒させる。

 

 「マジで言ってるのか? 一年? なんでそんなにもかかるんだよ」

 「任務の内容を歩きながら話すのは面倒だからボスが話してくれるのを聞きなさい」

 

 一年もかかる任務の理由を聞くためにすぐさまボスのところへ向かう。そこにはもう既に紫菀とマシロ、そしてビリーも来ていた。

 

 「ちょっとどういうことですか? 一年もかかる任務なんて」

 

 部屋に入って早々に文句を垂れる遥をボスは適当になだめながら座るよう促した。

 

 席に座るとビリーが五冊のそこそこの厚さのある本を持ってきて机の上に並べた。

 金や銀で作られた蝶番によって束ねられた羊皮紙の本。表紙には金色の線で美しく描かれた動物と魔法陣だった。

 

 「ボス、これは……?」

 

 紫菀が聞くとボスは五冊の中のうち虎が描かれたものを手に取った。

 

 「これは魔導書だ。私が持っているのがソロモンで兎がピカトリクス、龍がラジエル、鷹がガルドラボーク、羊がアルマデル」

 「これがボスの昔話ででてきた魔導書か……これがあれば魔術も使えるってわけか」

 「俺の魔法は遥や健司みたいに火力がないからな。これで火力が手に入るな」

 

 遥と紫菀が一冊手に取ってみる。遥は兎が描かれているものを、紫菀は鷹が描かれたものを手に取った。

 

 「「読めねぇ……」」

 

 二人は綺麗にハモった。

 中身はよくわからない記号のような文字の羅列で中を何が書いてあるのか二人にはさっぱりわからなかった。

 

 「光系の魔術が主に記されてるみたいね。ヒツギに見せてもらう約束しててすっかり忘れてたわ」

 「にぃにのは風系の魔術について書かれてるよ。これはひつぎちゃんに見せてもらったことあるよ」

 「読めるのか?」

 「マシロも読めるのか?」

 

 遥と紫菀が驚いているのを見で薫那とマシロは一度顔を見合わせてブッと吹き出す。

 

 「あんた達忘れたの? 魔導書は悪魔が作ったものなんだから悪魔の私たちが読めて当然でしょ」

 「魔法が使えて半分以上悪魔でもにぃに達は元々人間だから読めないんだよ」

 

 そう言われ遥はハッとする。

 

 「あ、そっか。お前らって悪魔だったよな、すっかり忘れてた」

 「それより読めないのにどうやって使うんだよ。さすがに持ってるだけじゃダメだろ?」

 

 紫菀は読めもしないのにペラペラとページをめくりながらふてくされる。

 

 「普通は魔導書と契約するんだが」

 「契約すれば使えるんですか?!」

 

 紫菀の目が輝く。

 

 紫菀の魔法は健司や遥とは違い周囲にものがあったりマシロがいることで成り立っている一面があり紫菀にとって魔導書はまさに理想的なものだった。

 しかし、そんな輝く眼差しで見つめる紫菀にボスは申し訳なさそうに告げる。

 

 「それが出来ないんだ。昔は魔導書にも意思があったんだが、前に話した通りヴァサゴとの戦いで一度敗北している。その時に魔導書の意思は消滅し魔力を持つただ本となった。だから契約が出来ないんだよ」

 「つまり、意志のない魔導書は契約することが出来ず使えるのは読むことの出来る悪魔だけってことですか?」

 「まぁ、そういうことだ」

 

 分かりやすく落ち込む紫菀。

 

 「それで話の本題なんだが」

 

 ボスはそれは話題を修正する。

 

 「魔導書は全部で十二冊ある。だから残り七冊を探し集めて欲しいんだ」

 

 魔導書を集めれば強大な魔術を使用することが出来る。その中に世界を書き換えることが出来る魔術がある。

 ボスの狙いな魔導書を使いその世界を書き換える魔術を使いヴァサゴの存在そのものを消そうと考えているのだった。

 

 「しかし、魔導書はヴァサゴたちも狙ってるだろう。だから奴らよりも早く集めて欲しいんだ」

 「集めるって言っても人手が少なすぎませんか? 俺と遥が世界中を探し回るなんてここを防衛する戦力を残すなら隊長は残ることになるでしょうし」

 「それに関しては心配しないでくれ。紫菀とマシロ、遥と薫那に別れて部隊を用意した」

 

 ボスは立ち上がり着いてくるように支持する。向かう先は出撃口だった。

 一抹の不安を抱えながらも遥と紫菀はボスについて行く

第68話を読んでいただきありがとうございます。

第69話『新たな部隊』は7月6日に投稿するのでよろしくお願いします。

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