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第27話『少しの安息』


 一通り話を終えたボスは伸びをするように背もたれにグッと寄りかかった。

 

 「それにしてもご苦労だった。健司は部屋に戻って休むといい、さすがに疲れも溜まるだろう」

 「分かりました。先に失礼します」

 

 健司は軽く頭を下げボスの部屋を出ようとする。

 

 「えっとぉ……ボクはどうすればいいのかな?」

 「ヒツギも健司と戻っていいぞ。お前らは同室だから」

 

 ボスが言った言葉に分かったと適当に返事しながら出て行こうとするヒツギの肩を健司は掴み止める。

 

 「待て待て待て待て! なにふざけたこと言ってんですか!? こいつと同居!? 嫌ですよ!」

 「と言われても、部屋が無いんだから仕方ないだろ。相棒なんだから仲良くしろよ」

 

 ボスの言葉に健司は黙り込んでしまう。

 

 「そうゆう事なので、ヨロシクね」

 

 健司はやけに嬉しそうにするヒツギへの怒りを飲み込み部屋へ戻る。

 健司の出ていった後、紫菀と遥だけ残し、二人の悪魔も部屋へかえした。

 

 「お前らには健司のことで話がある。それは健司のあの魔力のことだ」

 「健司のあの魔力ってなんですか?」

 

 今までの事を知らない紫菀に健司のことを話し、本題へと入る。

 

 「人間には人間の魔力、悪魔には悪魔の魔力、その両方を持つのが俺たちっての知ってたけどまさかもう一種類あるとは」

 「そう、そして健司の魔力はかなり危険なものかもしれないんだ」

 

 ボスの口から出た危険なものという言葉に遥と紫菀は嫌な予感がした。

 

 「健司は魔法を発動すると左目が紅くなるがそれはもう一つの魔力がもたらす影響だ。そして健司はその魔力を制御できない可能性がかなり高い」

 「それじゃあ俺達をここに残して話をした理由って……」

 

 遥の言葉にボスは暗い顔をして黙ってしまう。しかし、沈黙が全てを物語っているようにも二人は思えた。

 黙ってしまったボスを見兼ねた紫菀が代わりに口を開いた。

 

 「健司を監視しろってことですね」

 「は? 何でそんなこと」

 

 噛み付くように紫菀に聞き返す遥だが何故そんなことをする必要があるかのかなんてとっくに気づいている。

 

 「考えられるのは暴走だ。未知の魔力を使用すれば暴走する可能性があるから、俺達がもしもの時に、健司を止めれなくちゃいけならないってことだ」

 

 紫菀の言葉に遥の表情はキツくなる。

 

 「すまない、紫菀。これは私の口から言うべきことだったのに」

 「大丈夫ですよ」

 「話は終わりだ。お前らも部屋にもどれ」

 

 最後の方はボスの表情も暗いものだった。

 

 「なぁ紫菀」

 「なんだ?」

 「俺は感染した子どもを殺したんだ。もう家族は失わないって誓った……だから──」

 「健司が暴走しても殺さずに助けるって言いたいんだろ? 元々俺もそのつもりだ」

 

 紫菀に言おうとしていたことを言われ少し固まってしまったが、

 

 「ありがとう」

 

 遥は短く伝えた。

 

 そしてその頃に健司は食事の準備をしていた。と言ってもこったものは作らず簡単にすませている。

 

 「飯できたぞ」

 「健司の料理ってプロ並み? プロを知らないからなんとも言えないけど」

 

 さらに盛られた鳥料理を目にしてヒツギが聞いてくる。

 

 「俺より料理が上手い人なんて沢山いる。何人生き残ってるか知らないけどな」

 

 ヒツギは健司に聞いたにもかかわらず自分だけさっさと席につき鶏肉にかぶりついている。

 

 「ん〜! 美味しい!」

 

 本当に美味しそうに鶏肉を頬張る。

 

 「肉の臭みは全くなく、ハーブのいい香りが鼻に抜ける。それに皮はパリッとしていて中は鶏肉とは思えないくらいジューシー」

 

 異常なまでの賛美に健司はどういう反応を示していいのか分からなくなる。

 美味しそうに食べ続けるヒツギから何となく解放されたく食事をすませ風呂に入る。

 

 「このたまに来る日常はダメだな……」

 

 シャワーを浴びながら呟く。

 

 「目的を忘れそうになる」

 

 一度気を引き締め、シャワーをヒツギと交代し、ソファーに寝転がる。

 

 シャワーを浴び、健司から借りたヒツギには大きすぎるシャツを来て出てきた。

 長い髪をタオルでゴシゴシ拭いているヒツギは健司の指のさす方向を見て少し驚いた。

 

 「こっちで寝ろってこと?ボクがベッドで寝ていいの?」

 「ああ」

 「健司は悪魔が嫌いなんだよね?」

 「ああ、嫌いだ。でも、仲間だし、女の子である以上は仕方ない」

 

 テレもせず、笑ったりもせず、かと言って真顔でもなく、普通の表情で言ってくる健司にヒツギはドギマギしてしまう。

 

 「じゃ、じゃあ、こっちで寝さしてもらいます……」

 「うん、おやすみ」

 

 変に敬語で尻すぼみに言うヒツギに健司は軽く返事をして電気を消し、ソファに寝転ぶ。

 

 「やっぱり、ボクがソファの方が……」

 「大丈夫だから」

 「急に優しくされるとボクも反応に困っちゃうんだけど」

 「反応せずに寝ればいいからか」

 

 健司の対応にどうしていいのかわからないヒツギに対して健司は顔色一つ変えない。

 

 「この際、同じベッドで二人で寝るのは? それならボクも遠慮しなく──」

 「寝ろ!」

 「ぶフッ」

 

 枕を投げつけられ、ヒツギは撃沈した。

 

 「一緒になんか寝たら俺が寝れねぇよ」

 「そっか、君と寝るのは嫌いじゃないんだけどな」

 「そうですか、あと枕返せ」

 「自分で投げたんじゃないか……」

 

 そこからは話すこともなく、ただ静かにゆっくりと眠りに落ちていった。

第27話を読んで頂きありがとうございます。

今回いつもに比べて少し投稿が遅れてしまいましたが次回は遅れないよう投稿しますのでよろしくお願いします

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