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第26話『全員集合』


 獅郎の気配も消え、健司はここに来てようやく安堵の息を漏らす。

 合流地点が目の前に迫りヘリの姿がぼんやりと見えてきた。

 

 「おーい!」

 

 遥がヘリから身を乗り出し健司に向かって手を振る。

 健司は適当にバイクを捨ててからヘリに近づき、紫菀はバイクをヘリの中へ入れようとする。

 

 「え? 紫菀……?」

 

 遥はバイクを積もうとしている紫菀を見て目を丸くする。

 

 「あら、ヒツギじゃない、それにマシロも」

 「かなちゃん、久しぶりー!」

 「やぁ、薫那! 現場復帰?」

 「まぁ、そんなところね。そう言うヒツギは?」

 「ボクは健司の相棒だよ」

 

 別のところでも何かしら盛り上がっているが、ワイアットが早く乗れと急かすので、全員いそいそとヘリに乗り込んだ。

 

 「さてと、まず紫菀からしっかりと説明してもらおうか」

 

 最初に口を開いたのは遥だった。

 

 「俺は別の施設から魔導師が居るって言う最前線の本部に移動している時、強い魔力反応を感知したから行ってみれば健司が居たってわけ。バイクを手に入れてからは早かったが避難所からここまで来るのに二ヶ月くらいかかったよ」

 

 遥は紫菀の説明にはなるほどと頷くとバッと健司の方を振り向く。

 

 「そして、一番驚きなのがなんで健司が悪魔といるんだよ」

 「お前も一緒にいるじゃん」

 「ちなみに俺もだぞ」

 

 何を言っているんだこいつはというような表情で健司は遥を見る。

 

 「そうじゃなくて、お前悪魔が大嫌いなんじゃないのか?」

 「嫌いだよ。そう、大が付くほど嫌いだ」

 

 サラッと答えるがヒツギの方をチラッと見て、だけどと続ける。

 

 「いくら嫌ってもこいつがしつこいから面倒くさくなった」

 

 健司の言葉にヒツギはへへへと可愛らしく笑う。

 

 「そういや、紫菀のあの魔法はなんだ?」

 「お? さすがに健司だ。目の付け所がいいね」

 

 「普通の疑問だろ」と健司は目線で早く説明するよう催促する。

 

 「俺の魔法は支配域(テスカ)って言ってな。俺から一定の範囲の物を自在に操れる。例えば……こんな感じで」

 

 紫菀はヘリの壁に取り付けられていた消化器を浮かせてみせる。

 

 「まぁ、使いすぎると脳への負荷がかかりすぎて気絶しちまうんだ。あと、生き物とか魔法とか人が身につけているものとかは操れないんだよなぁ」

 

 そこからは各々の魔法の話で盛り上がった後は悪魔と人間に分かれてこれまで何があったかを話し合った。

 

 小一時間で本部へ到着した。

 

 本部へ到着するやいなや健司は検査で医務室に連れていかれ、その後全員がボスに招集をかけられた。

 

 「やぁ、ディラン。相変わらずの白髪だね。染めないの?」

 「うるさい、今では結構気に入っているんだ」

 

 健司と遥は驚いて目を丸くした、二人はてっきりボスは若くしてキューティクルの無い白髪を気にしていると思っていた。

 

 「まずは健司に聞きたいことがある。洋館で戦った男はどうだった?」

 

 ヒツギのいきなりの絡みを難なく受け流し本題へ入っていく。

 ボスの話の受け流しは健司と遥と一年ほどいたおかげでかなり上手い。

 

 「どうだった、ですか……個人的には二度と会いたくないですね」

 「それはどういう事だ?」

 「強さで言えばヴァサゴの方が強いですが、魔力が嫌です。ヴァサゴは全身に衝撃が走る強すぎる魔力ですが、獅郎という洋館の男は暗く、心臓だけを握りつぶすような重く冷たい魔力でした」

 

 健司は自分の感じたままの感想を述べる。

 

 獅郎のあの異様なまでの冷たい薄気味悪い魔力のことを考えただけでもゾッとする。

 

 「強敵が増えたな……」

 「ボス、確かにそれも不味いんですが。まずこいつらの事ちゃんと説明してもらえますよね?」

 

 健司は薫那とマシロと紫菀を指さす。

 

 「あぁ、そうだな。薫那は遥に力を渡した悪魔だ。私の書記だったんだが前線に戻ってもらったんだ。そして、紫菀とマシロは別の施設にいたんだがこっちに来てもらった魔道士でマシロは紫菀に力を渡した悪魔だ」

 「ちょっと待ってください。その感じで来るとヒツギは……?」

 

 何がそんなに嫌なのか健司は表情を歪めながら恐る恐る聞く。

 

 「お前に力を渡した悪魔だが? 聞いてなかったのか?」 

 

 ボスの言葉を聞き、健司はキッとヒツギを睨む。

 睨まれたヒツギは恐れることなくケラケラと腹を抱えてと笑っている。

  

 「いやぁ、最初に健司の魔法見た時に模様が少し違うし、左目も赤くなるし違うのかなって思ったけど、本当にボクの魔法だったなんて」

 

 腹を抱えながら下を向いて笑っているヒツギが横目に見ると健司が居なくなっている。

 

 背後から有り得ないほどの殺意を感じる。

 

 流石のヒツギもちょっとまずいと思ったがもう既に遅かった。

 

 「あー!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」

 

 健司は両手の拳をヒツギのこめかみに当て思いっきりグリグリした。

 

 「お前はちゃんと説明しやがれ!」

 「痛い痛い! ごめんごめん!だからやめてー!」

 

 一通りグリグリし終えると健司はスッキリした顔で元の位置に立つ。

 グリグリされたヒツギはこめかみを押さえ少し唸りながら倒れ込んでいる。

 

 「そう言えば、ヒツギ。お前はこの本部に来るのはこれが初めてだな?」

 「そうだけど?」

 

 倒れたまま顔だけをボスに向ける。

 

 「その服普通の服だろ? 変えがあるからこれに着替えろ」

 

 ボスはヒツギにアタッシュケースを渡した。

 アタッシュケースにはヒツギが今来ている服と全く同じものと少し大きいコートが入っていた。

 とりあえずヒツギはコートだけに袖を通した。

 

 「健司、どう?」

 

 コートの裾を翻しながら嬉しそうに健司に聞いてくる。

 

 「うん、まぁ良いんじゃないか?」

 「そっかそっか」

 

 健司の言葉にヒツギはとても満足そうな顔をする。

 健司はその顔を直視出来ずに目を逸らしてしまうが、満足しているヒツギは健司の行動に気が付かない。

 

 かなり色々な方向へとズレたクリーチャーとアンデッドの掃討作戦だったがなんとか無事に終了した。

第26話を読んでいただきありがとうございます。

第27話は明後日に投稿されるのでよろしくお願いします。

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