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第16話『二人VS軍団』


 戦場でアンデッドをなぎ倒し続けているとさすがに面倒くさくなってくる。

 

 「景気良く返事したのはいいが……」

 

 健司は倒しても倒しても減らないアンデットを睨む。

 

 「こんなキツイなんて思わなかった!」

 

 叫びながら倒したアンデットを盾にし、木の影からの銃撃を防ぐ。

 大量のアンデッドの現在地はちょっとした密林となっていて戦いにくいことこの上なしだった。

 

 「文句言っても仕方ねぇだろ!」

 「分かってるよ!」

 

 二人で言い争いながら飛びかかってくる無数のアンデットを倒す。

 二十体ほどの銃持ちのクリーチャーを倒したがそれでもまだ三十体ほどの銃持ちのクリーチャーが残っている。

 

 「遥! 弾数は?」

 「予備マガジン一個!」

 

 遥も健司も予備の弾をかなり使い、使いすぎたと今更後悔した。

 

 「多少の被弾は覚悟するか?」

 「健司に任せる」

 

 健司に任せると言いながら準備を完璧に整えて待っている。

 健司はコートの内側にあるレイジングブルの残弾の量を確認し右手は腰の日本刀へまわし、抜刀する。

 

 「行くぞ!」

 「ああ!」

 

 声と同時に遥は複数の火の玉を出現させ、周囲のアンデットを一掃する。その瞬間に健司は木の陰に隠れているクリーチャーに切りかかる。

 

 一体に切りかかると、付近のもう一体が銃を向ける。しかし、完璧に構える前に健司の撃つ弾丸がクリーチャーの眉間を貫く。

 

 健司は素早く目の前のクリーチャーに接近する。

 

 健司の背後を狙うクリーチャーの姿。しかし、健司の体に風穴は開かない。

 遥が健司の背中を守りながら銃を持つクリーチャーを倒す。

 

 遥と健司の体に複数の弾丸による擦り傷が増えた頃に残りの銃持ちのクリーチャーは四体ほどになり、アンデッドの数も半分以下になった。

 急な味方の減少により不利と判断したのか、アンデットと銃を持つクリーチャーはそそくさと退散していく。

 

 「ハァハァ……退散してるのか?」

 「健司はどう思う? 不利と判断して退散してると思うか?」

 

 健司は黙り込む。

 

 「やっぱり健司も聞こえた?」

 

 遥は苦笑いを浮かべる。

 

 「「やっぱりそうだよな」」

 

 健司と遥が耳にした嫌なモーター音。それが何なのか、二人は何となくわかっている。

 

 その姿がようやく木々の陰から姿を現す。

 

 「これはバラけて逃げる方がいいな」

 

 遥の言葉に健司はコクコクと頷く。

 木々の陰から姿を表したのはミニガンを装備した残り四体のクリーチャー。

 そのうちの一体の肩の上に小さなクリーチャーがなにか喋っている。

 

 奇声とも聞こえるこの言葉と同時に銃口が健司と遥に向けられる。

 

 「遥は左で俺は右な」

 「ああ、分かった。生きて会おう」

 

 モーター音がかき消されるほどの発砲音が森の中に鳴り響く。

 健司と遥は左右に散らばり的を絞らせない。

 

 木々をなぎ倒しながら毎分三〇〇〇発の弾丸が遥と健司を襲う。

 

 走る健司に対して遥は魔法を器用に使いロケットエンジンのように手から放出し、戦闘機のように上下左右に森の中を飛び回る。

 

 重量のあるミニガンでは飛び回る遥は狙いにくいと判断したクリーチャーは全ての銃口を健司に向ける。

 地面から出てきた木の根が所々にありうまく走ることが出来ない。

 更にここら辺はさっきの場所より土が濡れていて気を抜けば足が取られそうだった。

 

 「マジでヤベェ!」

 

 後ろを確認するとミニガンの銃口が全て自分の方向を向いているのを見てしまった。

 

 クリーチャーは綺麗に広がり健司の回避できる範囲を極限まで抑える。

 左右にどちらに避けても弾丸の雨に襲われミンチ肉になる未来が見えている。

 

 「本当に悪魔は俺に嫌な事ばっかり持ってきやがって! ふざけんなよ!」

 

 家族も奪われ、戦争に巻き込まれ、ヴァサゴ単体への恨みはいずれ悪魔という存在そのものへと向いていた。

 

 クリーチャーにとって健司が何を言っているかなど理解出来るはずもなく、引き金が引かれる。

 

 「のわっ!」

 

 引き金が引かれた瞬間、柔らかくなった土に足が沈んだ。

 更にそのすぐ足元には浮き出した木の根っこがあり、足を取られた健司の体は走っていた勢いがプラスされ宙を舞う。しかし、転けたおかげで全ての弾丸は健司の背中ギリギリを通過して健司はミンチにならずにすんだ。

 

 「た、助かったぁ」

 

 安心した健司を妙な浮遊感が襲った。

 

 「──あ」

 

 下を見ると断崖絶壁。

 

 前落ちたヘリの高さの二倍、いや、三倍以上の川は流れている。そして驚くほど流れが早い。

 

 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 

 真っ逆さまに落ちていく、魔法を発動した両腕で頭を守るも衝撃は尋常ではなく、水柱が五メートルほどあがった。

 

 打ち付けられた衝撃で肺の中の酸素が全て無理やり吐き出された。

 

 急いで健司は水面に上がろうとするが流れに呑み込まれ上手く上がれない。

 何とか水面に出るも激しい波が顔に打ち付け空気を求めて開けた口に大量の水が入り込む。

 

 「ごぶぁ!」

 

 何度やっても水しか口の中に入ってこない。

 

 どんどん意識が遠のいていく。

 

 健司が完全に死を悟った瞬間健司の意識はぷつりと切れた。

第16話を読んでいただきありがとうございます。

第17話は24時すぎに投稿しますのでよろしくお願いします。

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