第12話『初陣』
二人は気合を入れ直し、ヘリに乗り込む。
数十分後にはうじゃうじゃと蠢く大量のアンデッドがいる町中へ来た。
「ヘリはアンデッドが多すぎて着陸できないここから飛び降りろ!」
「は?! 何言ってんですか!」
遥は操縦席に座っているワイアットの方を目を丸くして向く。
「そうですよ! 死んじまいますよ!」
「お前らの体は上空十メートル程度から落ちたって頭から落ちない限り死にゃあしねぇよ!」
健司と遥は少し目を合わせてから小さく頷き扉を開けると、とてつもない突風が機内に入り込んできた。
「じゃあ、どっちが先行く?」
健司が扉から顔を出しながら聞いた。
「お先にどうぞ」
「マジで?」
「どうぞ」
健司は少し息を吸いこむ。
「はぁ……死ぬにはいい日だ」
ヘリから行き良いよく飛び出す。
地面が近づいてくる。
更に、その地面には無数のアンデッドがうじゃうじゃとアリのように大量にいる。
着地の瞬間、健司は両脚にとてつもない衝撃を感じた。
「うっ……!〜〜〜っ!」
ものすごい衝撃に堪えようとしたが耐えきれず、その場で飛び跳ねる。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
健司が飛び跳ねていると真横に何かが降ってきた。
「あがっ! 〜〜〜っ!」
健司と同様に遥も着陸の衝撃に耐えきれず、その場で飛び跳ねている。
よく見ると周囲のアンデッドが健司と遥の着地の時の音で何体か近づいてきた。
『あーあー。こちら、ワイアット。聞こえてるか?』
ヘリに乗っていたワイアットの声が健司と遥がつけている小型のインカムから聞こえてきた。
「はい、聞こえています」
健司はすぐさま返事をした。
『じゃあ、まずはそこら辺にいるアンデッドを蹴散らしてくれ。クリーチャーは動きが不規則だから出ない場合もあるが戦闘音に気づけば現れるだろう』
「「了解!」」
通信が切れたところで健司と遥はホルスターから銃を抜く。
二人は背中を合わせ囲んでくるアンデッドに銃を向けた。
「訓練の時に思ったけどお前ってリボルバーなのにえげつなく速いリロードするよな」
「そういうお前は魔法で発砲時の炎を使って弾を追尾式にするだろ、羨ましいったらありゃしねぇ」
健司は言葉と同時に三度引き金を引く。
健司はその全ての弾を三体のアンデッドの眉間に着弾した瞬間にあまりの高威力に頭が吹き飛ぶ。
そして貫通した弾丸は更に後ろのアンデッドの頭を吹き飛ばす。
「おお、全弾命中……それに魔宝石のおかげかとんでもない威力になってる」
遥は健司の銃さばきと武器の威力に感心しながら、健司のもつレイジングブルに比べ威力は劣るがハンドガンの中でもずば抜けて威力の高いデザートイーグルをアンデッドの眉間目掛けて撃ちまくっている。
鳴り響く銃声、健司と遥を囲むようにして走って近づいてくるアンデッドを的確にヘッドショットで倒していく。
「遥! 弾はあと何発だ」
「今入れたの合わせてマガジン二つ分だ!」
倒しても倒してもアンデッドは湧き出てくるが肝心のクリーチャーが一向に姿を見せない。
今日の任務はこれまでかと健司が考えていた時、
「ガアァァァァァア!」
獣のような雄叫びをあげながら一体のアンデッドが近づいてきた。しかし、大きさは通常のアンデッドの三倍ほどの大きさ。
「健司! たぶんあれがクリーチャーだ!」
クリーチャーは辺りのアンデッドを蹴散らしながら遥と健司めがけて突っ込んでくる。
「レイジングブルの弾も切れたし丁度いい。力比べと行こうか」
健司は左足のホルスターにレイジングブルを片付け、魔力を集中させる。
「聖絶!」
健司の両腕と両脚に魔法陣をバラバラにしたのような模様が浮かび上がり、左目が紅く発光する。
健司は所持している武器や体の各部分に同時に最大四ヶ所魔法を発動することができる。
クリーチャーの突進力はトラック以上はあるであろう、それに健司の身長の三倍ほどの巨漢。
そんなクリーチャーは雄叫びをあげならがら健司の目の前にまで迫っている。
「ウラァッ!」
健司はラグビーのタックルのように突進してくるクリーチャーを真正面から受け止める。
最初は勢いのあまり健司はかなり押されていたが、どんどんスピードが落ちていき、ついには止まってしまった。
健司は動きの止まったクリーチャーの腕を持ち替え、背負い投げのようにして空へ飛ばした。
「遥! 頼んだぞ!」
「火焔!」
遥の手には炎が現れ、遥はそれを握り潰してから手を開くとピン球程度の大きさの火の玉が八個現れた。
「爆発物はお好きですかい?」
遥は八個のピン球程度の火の玉をクリーチャー目掛けて投げつけると肌に付着し、指をパチンと鳴らす。すると八個の火の玉が同時に爆発。
クリーチャーが苦痛の唸り声を出す。
クリーチャーは爆発の煙に包まれながら落下していく。そしてその下には日本刀を持って待ち構えてる健司が立っている。
健司の方に飛んでくるクリーチャーに対して健司は日本刀に聖絶を発動し、
「チェックメイトォー!」
居合切りのようにクリーチャーを腹から綺麗に真っ二つにした。
「初任務終了?」
遥が健司に聞いてきた。
「さぁ? 死んだだろ」
上半身と下半身を切り離され生きていた生物を健司も遥も見たことがあるはずも無く、クリーチャーは死んだと断定した。
「任務開始からちょうど二十分。発煙筒を使って位置情報送るな」
「おう」
遥が発煙筒に火をつけようとしたその時、クリーチャーの死体のある場所から嫌な音が聞こえた。
恐る恐る振り返る二人。
そこでは上下に別れた腹のあたりが節足動物の足のようなものが生えてきている。そしてそれは絡まり合い、上半身と下半身が繋がった。
クリーチャーは当然のように立ち上がる。
第12話を読んでいただきありがとうございます。
第13話は24時から25時までに投稿しますのでよろしくお願いします。




