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第10話『選ばれた理由』


 いつになく真剣で暗いボスの顔に健司と遥は少しだけ嫌な汗を背中で濡らす。

 

 「お前がこうなった理由を話す」

 「こうなった理由って俺と健司の体に悪魔の遺伝子が入り込んで半分悪魔になったからなんじゃないんですか?」

 「そうだ、そうなんだが……」

 

 ボスはそこから先を話せずにいる。

 

 重たい沈黙が少し続いたがボスは軽く深呼吸をしてから口を開く。

 

 「遥はこうなるべくしてこうなり、健司はこうなるはずじゃなかったのにこうなったんだ」

 

 医者に重い病気を知らされる時のような異様な緊張感が三人を取り囲む。

 

 「実は遥はウイルスへ適応しているなど関係なく魔法を楓華から受け取る予定だったんだ」

 「元々俺がヴァサゴと戦うことは決まっていたってことですか?」

 

 ボスは小さく頷く。

 

 「悪魔から魔法を誰でも受け取れる訳では無い。大きな条件だけで言えば人の死を知り、絶望を知り、悪魔に近い存在であること」

 「それに俺が当てはまっていたんですか。確かに悪魔に近い存在ってのよくわかりませんが残り二つは小さい時に体験してます」

 

 遥はその事実を思ったよりもすんなりと受け止めた、むしろようやく納得出来た。

 

 実際に遥はずっと疑問に思っていた健司の話に聞いた楓華の動きだと遥も健司も不適合者だった場合、楓華は誰にも力を渡せずにヴァサゴに殺されていることになっていたから。

 

 流石の遥も幼少期の事故などがこんなところにまで絡んでくるとは思ってもいなかった。

 

 「私も楓華も遥がこうなることはわかっていた。だから力を全て渡すつもりだっがそこで二つのイレギュラーが起こった。それが健司の存在と遥がウイルスに感染したことだ」

 

 楓華の元々のプランはウイルスにより遥の元へ行き、全ての魔法を遥に渡すことだった。しかし、その道中に第二フェーズで死んだ健司から異様な魔力を感じた。

 

 それは悪魔に限りなく近いが悪魔とは違う強大な魔力。

 

 「楓華はヴァサゴと接触することを避けたがっていたが健司の異様な魔力が気になり助けたんだと思う」

 「俺から異様な魔力?」

 「私もよく分からんが楓華からの最後に無線で「死体から謎の魔力を感知したヴァサゴと戦闘を開始する、あとは全て任せた」といって無線を切ったんだ」

 

 魔力はどの人間にも少なからずあるが死んでいた健司から魔力が感じられるはずがなかった。

 ウイルスは適合者の魔力を大幅に増大させるだけで死体から魔力を発生させるなど不可能。つまり、アンデッドには魔力はない。

 

 「魔力は死ねば消える。あの時点で健司は死んでいたのに魔力があったようだ」

 「それって健司が死んでなかったてわけじゃないんですか?」

 「悪魔は人間が生きてるか死んでるかを見ただけで判別することが出来るからその可能性はない」

 

 ボスと遥が話している時に健司は眉をひそめた険しい顔で記憶を一つ一つ繋げていた。

 

 イレギュラーな存在、異様な魔力、死んでいたのに生き返り適合者に、それから導き出された一つの言葉があった。

 

 「その化け物を殺すことが自分の人生最後の責任だ、この化け物は比喩表現だと思ってた」

 「健司……その言葉って」

 「ああ、俺の親父の言葉だ」

 

 健司の顔に悲しみや絶望なんてものはなく、清々しそうに見える。

 

 「俺は一体なんなんですか?」

 「お前は適合者になる前から半分以上人間じゃない。元々何かがお前に混じってる」

 「なにが混じってるんですか?」

 「すまんがそこまでは分からなかった」

 

 コケそうになる健司。

 

 「その混じっている何かのおかげで健司は魔法を楓華から受け取ることが出来た。そして感染した遥は魔法を渡したことでアンデッド化を防いだんだ」

 

 あまりにボスがケロッとしているからか遥と健司は目を丸くしている。

 

 「と、とりあえず俺が化け物なのは事実なんですね。だから無理やり適合者になれたって訳ですか」

 「化け物というのは語弊があるがそういうことだ。すまんな、過去の記録やいろんな資料を見ても何が混じってるのか分からなかったんだ」

 「まぁ、いいですよ。化け物には変わりないんですし、訓練を再開しましょう」

 「ああ、そうだな。と言いたいところなんだが私は仕事があってな。あとは自主練とする」

 

 そう言ってボスは訓練を出ていった。

 

 自分たちが化け物であることを告げられた健司と遥だったがそれにショックを受けている様子はこれっぽっちも無く、魔力操作を再開する。

 

 「なぁ遥、俺一つ思ったことがあるんだ」

 「なんだ?」

 「俺達が化け物と大差ないのは訓練から分かってたし俺に関しては半分悪魔で半分人間だったのが半分悪魔で半分化け物だったってだけじゃん?」

 「そうだな」

 

 そこまで言って健司は魔力操作をやめ、何かを考え始めて小さくため息をつく。

 

 「その化け物二人を軽くあしらってるボスのほうがよっぽど化け物だと思うんだけど」

 

 健司の言葉に堪えきれなくなった遥の笑い声が響く。それにつられて健司も笑いが止まらなくなった。

第10話読んでいただきありがとうございます。

第11話は24時から25時までに投稿しますのでよろしくお願いします

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