表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に来たけど、結局変わらない人生。  作者: pirorin
現実世界と、異世界。
2/14

 過去の体験から意識を現実に戻すと、先ほどまでいたコンクリートの街並みとは違っていた。


 周りを見渡すと真っ暗で何も見えなかった。しかし、目の前にぼんやりと明かりが見える。そちらの方に歩いていくと大きな川があった。


(なんだあの人混み気持ち悪い。)


 川には何艇か舟が止まっていた。沢山の行列が出来ており、それらはその舟に乗るために並んでいるようであった。


 昔から人混みというのが苦手であったので、その人混みから逃げるように、暗がりに逃げていった。


 川から遠ざかると先ほどまであった明かりが少しもなく、暗闇が広がっていた。


(俺はここで何をしているのだろう。さっきの川は一体なんだ?早く家に帰りたい。)

 そんなことを思いながら、暗闇で1人体育座りをしていた。



 一体、何時間経ったのだろうか。いや、もしかしたら数分かもしれないし、数秒かもしれない。何せ暗闇で何も見えないし、やることもなくボーっとしていたから、時間の感覚がない。



「ねえ、君。何してるの?」

「うわぁっ!!」



 急に掛けられた声に驚いて情けない声を挙げてしまった。

(こいつは誰だ?そもそも俺に声をかけたのか?)

 声をかけてきたのは、少年...いや、少女か?どちらにも見える中性的なヤツだった。背も多分小さく小学生ぐらいに見える。顔は...ん?なんかこいつ光ってないか?


「何で睨むのさー」


(ん?いつの間にか睨んでいたらしい。そんなつもりはなかったんだけどな。)


「ねぇ、どうして何も喋らないの?」


「あぁ...」

(ああ、そういえば心の中で会話してるつもりになっていたな。久しく人と喋ってなくて、声を出すのを忘れていた)


「やっと声聞けたね!ねぇ、おじさんはどうして舟に乗らないの?」


(はぁ?そもそも何で乗ると思ったんだ?それに人が一杯いるあんなところに行けるか!ってそんなこと子どもに言えないよな)


「ひ、人が一杯いて嫌だからだ」


(あ!何てこと言ってしまったんだ!こんな子どもに!)


「人が一杯いると嫌なの?」


(くっ...恥ずかしい...)

「...そうだ」


「どうして人が一杯いると嫌なの?」


(は?どうしてかって?人が苦手だからだよ!)

「...」


「......?」


(くっ、コイツ、何で無言なんだよ...

話さないといけないのか...?)


「...」


「......」



「ひ、人が苦手なんだよ!」


「人が苦手なんだぁ~!

人のどんなところが苦手なの?」


(何でコイツはこんなに聞いてくるんだ!ほっといてくれよ!)


「ほっとけ!!」



「......」


(あ...黙った...子どもに対して言い過ぎたかな......でも、これでほっといてくれるだろう...)









「...なぁ、何でまだいるんだ?」


「え?おじさんがほっとけって言うから、諦めてここにいるだけだよ?」


「ほっとけって言ったよな?」


「だから、話しかけてないじゃん。ここにいたいからいるだけだよ?ダメ?」


「...ダメじゃない」


「じゃあ、ここにいるね」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ