止まらない、胸の高鳴り
あなたと出会った瞬間からあなたに目が離せなくなりました。
あなたと目が合った瞬間、私の胸がドキンと高鳴りました。
この胸の高鳴りはいつになったら治まるのでしょうか。
この先、あなたの事を思い出す度にこの胸のドキドキが生まれてくるのでしょうか。
アイツがこちらを見た瞬間、あ、死んだ。と感じた。
川がどれぐらい深いのか分からないが、きっとアイツなら渡り切ってこっちに来れるのだろう。そんなよく分からない確信があった。
だが、アイツはこちらの方を見ているだけで、こちらに来る気配が感じられない。
すぐに後ろの森に走って逃げだしたかった。だが、追い付かれるイメージしか湧かない。
どうすればいいのだろう。
熊に出会った時は、目を合わせているのがいいらしい。アイツを熊と同じ種類と考えていいのか分からないが、取り敢えず対処方法が思いつかないので、昔、本で見た記憶を頼りにアイツから目を逸らさない。
何分アイツと見つめあっただろうか。
実際は何分経ったのか分からなかったが、長い時間を過ごしていたように感じた。
しかし、その時間は永遠には続かなかった。
突然、アイツが後ろを振り向いた。
アイツは、胸の前に合った前足をあげ、唸り声をあげ始めた。
アイツの目線の先を見てみると、犬が何匹もいた。
犬たちは、熊の周りを半円上に囲み、唸り声をあげて威嚇をしていた。
犬たちは熊の膝ぐらいまでしかなく、一対一なら勝ち目がないようにも見えた。
だが、犬は複数いる。
お互いがお互いを牽制しあい、どちらとも動かない状況が続いた。どちらから攻撃するのかお互いが探りあっているようであった。
熊が一匹を倒す為注意を向けると、他の犬たちが一斉に襲い掛かるだろう。そして、襲われた一匹は最初の一撃を逃げる為に全力を注げば良いため、避ける事が出来るだろう。そうなると、犬的に一番被害が少なくなる。
逆に、犬から襲い掛かるのは愚策だ。一匹がまず突撃しそちらに注意が向いたところを他の仲間が襲えばいい、だが最初の一匹は確実に死ぬだろう。一斉に攻撃するのも、注意は分散するかもしれないがあの体格差なら、熊があの長い爪を一回振り切るだけで多くの犬たちが重症、もしくは全滅するだろう。
だからこそ、熊は向こうから仕掛けてほしいし、犬も向こうから仕掛けてほしいのだろう。
熊が視線を向けた先にいる犬は一歩下がることからも、最初の一撃を避ける事を意識していることが考えられる。熊が視線を向けていない所にいる犬は少し足先に力が入り、襲う瞬間を見逃さないという意志を感じさせる。
熊は、どこか一つに意識を集中させるとその他の場所から攻撃されるからだろうが、全ての犬に注意を向けながら、少しでも先に出て来そうな犬に目線を向けるという、自分なら出来ないだろう芸当を行っていた。
そんな一瞬の油断も出来ない時間が流れていた。
そんな両者が張り詰めている中、自分に注意が向いていない今が逃げるチャンスだと立ち上がろうとした。
しかし、腰が抜けていて、立ち上がれず、尻餅をついてしまった。
ガラッ
石に尻をぶつけるととても痛い。
なんて思う暇もなく、戦闘が始まった。
先に仕掛けたのは犬の方であった。




