閑話:驚く者たち
「おい、マジかよっ」
思わず隣の仁科とモニターにかじりつく。
「この女って、お前が言ってた……」
「ええ、イヴね……」
完全な想定外だった。
この最終凍結予定者同士の二人がこの日に出会うなんて。
「この展開は予想してなかったなぁ……」
イスに座り直し、残りのコーヒーを飲み干す。
「私だってそうよ、こんなトンデモ展開。けど……」
「ああ、けどなぁ……」
二人して一瞬は盛り上がったものの、この二人では、これでも怪しい。
俺が見てきたアダムという男はあらゆるフラグをへし折って進んできた。
そしてどうやら仁科の追っていたイヴというユーザーも話を聞いた限りでは似たようなモノ。
もし、本人たちがどれだけ自分が運命的な出会いをしているのかに気づいたとしても。
あまりにもあまりなこの二人ではくっつかないことがあり得る。
おい、アダム。多分これがラストだぞ。
「ええええええええええ!(小声)」
ジェーノとエーティス。
それを見守る本郷と仁科。
そしてそれを見守る女、小森谷。
「最近の本郷さんと仁科さんの急接近も問題だったけど、更にこんなコトになるなんて……」
本郷たちから離れたデスク、その陰から二人の様子を伺っていた小森谷は慌てふためいていた。
「なんて二次元的な出会いをするかなぁ、あの二人は!」
小森谷は頭を抱えておさげを振り乱す。
彼女にとって本郷と仁科の仲が進展することも問題だが、ジェーノとエーティスのこの状況も由々しき事態なのだ。
「やっぱり後手じゃダメだったんだよぉ、ローニアぁ」
自分のモニターに映る女性キャラに向かって嘆くが、その声は勿論、届いてはくれない。
次で一人増えますが、そしたらあと二人くらいでレギュラーメンツの揃い踏みです。