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12話:婚パチ☆ジョイント ―ハートの部屋:後編―

「どうやら気づいたっぽいな」


「そうみたいね」


 このハートのユニット<はっちゃん>は仁科がデザインしているのを見たことがあったから覚えている。

 確かパートナー同士のプレイヤーが同時に攻撃をすることによって攻撃が通るようになり、それによってハートを倒すことが出来る。

 仁科曰く、<愛の共同作業・入門編ギミック>だったはずだ。


「んで、こっから少しだけ面倒なんだよな」


「面倒とか言わない」


「へいへい」


 このはっちゃんにはもう1つギミックがあった。






「「えい」」


 ジェーノのデコピンとエーティスのデコピン、両方の指先が同時にハートもとい、はっちゃんへと届く。


『48』


 ジェーノ1人の時と違って相応のダメージが表示されると同時にはっちゃんが中央から分かれ、ハート形のエフェクトを舞わせると同時に2つに分裂。


 増えたはっちゃんをそれぞれ見つめる2人。


 これがはっちゃんの持つもう1つのギミック。殴られる度にその数を増やしていくのだ。


「なるほど、そういうことか。ってなると……」


 2つになったハートを見て、顎を擦って考えるジェーノ。


「やっぱり倒すのが正解かぁ。なら……」


 エーティスは腕を組んで考える。


 そのまま無音の空間の中で微動だにしない2人と、ふよふよと浮かぶハート2つという何とも言えない絵面が流れていたが、殆ど同時に2人が顔を上げた。


 ジェーノとエーティスはそれぞれ顔を見合わせる。


「ねぇ、思い付いたことあるんだけど」


 エーティスは左手に鈍色を。


「気が合うな。俺もだ」


 ジェーノは右手に青色をそれぞれ浮かべていた。


 2人はお互いの手を見て同じ事を考えていたことを知ると、自分達の前に浮かぶはっちゃんを1体ずつ掴み、そのまま部屋の隅へと向かう。


「よし、じゃあやるか」


「りょーかい」


 ジェーノが持っていた方のはっちゃんを部屋の角へと向けて浮かべ、2人は剣と拳を構える。


「<流気瀑布>」


 腰を落とし、引いた右腕に力を集中させる。


「<へヴィソード>」


 左手に浮かんだ鈍色の光を刀身に滑らせる。


 得物も違えば発動したスキルも違う2人だったが、見えているビジョンは勿論、同じ。


「「はあああああああああ!」」


 2人の攻撃は同時にはっちゃんを捉え、()()()()()()()()()()()スキルを受けたはっちゃんは部屋の角へ光の速さで飛んでいく。


 ッパァン!


 分裂時の効果音が何重にもなって響く。


 予想よりも大きな音に目を閉じていた2人がゆっくりと目を開くと、そこにはハートの片割れのデザインをしたアイテムが落ちていた。





「……あいつら、自分達がハートを使ってどんだけのゴア表現をしたのか分かってんのかね?」


 モニターの中で作戦成功にハイタッチをするアダム達。


 次の部屋に行くためのアイテムの片方を手に入れてはしゃいでいるが、それがどんな惨状からもたらされたモノか恐らくは知らないのだろう。


 というか、()()を見たうえでここまで普通にされたら俺はこの2人が怖い。


「ぐ……ぐす…く……うう」


「仁科、泣いてるのか?」


 同僚はデスクに突っ伏して泣いていた。

 そこは俺のデスクだから私物と資料のためにも泣き止んでほしい。

 まぁ、でも無理か。悲しいことにはっちゃんはまだ1体残ってるんだし。


『よし、じゃあサクっともう一発』


『了解』


 イヴは持っていたはっちゃんを浮かべ、アダムと共に再び武器を構える。


 またアレを見ることになるのか。仁科は耐えられるだろうか……。


『『はあああああああああ!』』


 俺の心配を余所にまたはっちゃんはアダム達の同時攻撃に打ち据えられる。


 攻撃を食らったはっちゃんが綺麗に部屋の角へと衝突。そして別れたはっちゃん同士と壁とがアダムとイヴの()()()()()()()()()()()()()ぶつかり合い、分裂。そしてまたぶつかり合って、それを繰り返す。


 はっちゃんは分裂時にエフェクトで小さな赤いハートを発生させるが、それが狭い部屋の角で大量に起きるとその光景はまるでハートの乱舞……ではなく。


 ――ッパァン!


 ()()()()()()()


 そう表現した方が的確な光景だった。


 ぽとっ。


 そうして全てが終わった後、控え目な音とともにハートのアイテムのもう片方がドロップし、血飛沫は消える。


『『……』』

「……」

「う……ぐすっ……」


 今度は実行犯達も見ていたようで、自分たちのしたことに慄いているようだった。






「なんていうか……罪悪感というか……」


「うん……さっきのがハートから出てきたっていうのがまたなんとも……」


 自分の拳と剣を見下ろす2人。

 飛び散るハートのエフェクトがすぐに消えたことが彼らにとっての救いだろうか。


「ま、過ぎたことはしょうがない。とりあえず気持ちを切り替えて、ほいっと」


ジェーノは落ちていたハートのアイテムを拾うと、エーティスに投げ渡す。


「おっとと」


 エーティスはそれを受け取ると、さっき拾っておいたもう片方と組み合わせる。


「これで、どうかな」


 2つのアイテムが1つのハートになった瞬間――。特に何も起こらなかった。


「あれ、何も起きない?」


 エーティスは何度か離したり付けたりするが、ハートの欠片は反応を示さない。


「はぁ……」


「やっぱりノックバックの衝撃でまとめて倒すのは反則だった?」


 不安そうにジェーノの方を見るエーティス。


「いや、違う。多分こーゆーことだろ」


 ジェーノはエーティスの隣まで来るとハートの片割れを掴んで、エーティスが持ったままのもう片方にくっつける。


 するとハートになった2つの欠片が光を放ち、その光が収まると入口とは反対側の壁に扉が出来ていた。


「こんなとこまで徹底しなくてもいいだろうに、制作者の正気を疑うな」


「あははー……まぁ私達みたいなフカイペアと違って普通のカップルにはこれが丁度いいのかもしれないし」


「あーそうかもしれないな」


 そう言って2人ははっちゃんのいた部屋を後にする。






「そうだよ!お前らがおかしいんだよ!」

「どーどー、どーどー」


 悲しみが怒りに変わってしまった仁科をなんとかなだめる。

 まぁ、本来ならカップルでキャピキャピしながらハートを追いかけていくギミックだったのに、それをあんなスプラッターに変えられたらこうなるのも仕方ないとは思うが。


「凍結されちまえバカー!」


  ……今度飲みに連れて行ってやろう。

やっと更新できました。

次回からはペースを戻せればと思います。


2018 4/15

タイトルを変更しました。

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