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閑話:喜ぶ者たちとそうでない者

「……あ?」


 さっきはアダムとイヴの行く末を仁科と共に見ていようと思ったが、バトルの途中で午前の休憩時間が終了。

遅めの昼休憩になると同時に2人のその後を追うためにデータの絞り込みからその姿を探そうと思ったが、何故かいつもの検索条件でアダムがヒットしない。


 そしてどこかの条件を間違えたのかと検索条件を見直したときに、その可能性に思い当たった。


「もしかしてあいつ!」


 現在のログインの有無、性別。――そしてパートナーの有無。

 検索条件を<パートナー有>に変えて再検索すると、そこにはアダムのキャラクター名があった。


「アダムのヤツ、パートナー作ったのか!?」


「え!?本当!?見せて見せて!」


 思わず出た声に反応して近くに居た仁科が飛んでくる。


「ちょっとチェンジチェンジ!」


「ちょ、別に押さなくても代わってやるっての!」


 両サイドに衝立のある狭い個別デスク内で無理矢理イスを奪おうとしてくる仁科だったが、結局面倒になったのか俺の脇から体を乗り出してPCを操作する。


「相手を確認しないと!」


 そう言って仁科が更に詳細な情報を調べていくと、アダムのパートナー欄にある名前は――。


「「……」」


 イヴのキャラクター名だった。


「おっしゃー!」

「やるぅー!」


 詳しい理由は全く分からないが、思わず二人でハイタッチをしてしまう。


「しっかし一体、俺たちの仕事中に何があったんだ?」


「さぁ、それは分からないけど」


 とりあえず今の状況を確認するためアダムのいる座標にステルスドローンを飛ばす。


「お、隣にイヴがいるな」


 ドローンの映像にはイベントゲートの前に立つ2人が映っていた。


「あら本当。しかもイベントゲートってことは…」


 仁科が俺の手の上からマウスを操作する。

 どうやら2人の婚活ポイントを確認しようとしているらしい。


「2人ともピッタリ80って……あいつら最終通告されたのになんにもしてなかったのかよ」


 表示された2人のポイントに呆れる。らしいといえばらしいが、だからこそ2人がくっついたことが信じられない。


「どうやら残りの20ポイントを稼ぐ気らしいな」


「そう、そこで稼ぐ気なのね……ふふふふ」


「お、おいどうした仁科……?」


 俺のすぐ隣で不敵な笑みを浮かべる仁科。ていうか本当に近い位置だから割と怖い。


「今と比べて少しは未熟だったとはいえ、この時間、そのゲートの先は私が考えたイベントエリア……」


 イベントゲートのタイムスケジュールを確認するとそこには<~婚パチ☆ジョイント~開催中!>の表示があった。


 勿論この名前を見るたびに思うことはあるが、同僚として触れないでいる。というか、触れたくない。


「確かにそのエリアをクリアすればボーナスで15ポイント。そしてデイリーミッションクリアで5ポイント。めでたく凍結ラインを回避できる……けど」


 仁科は口の端を吊り上げる。


「一歩踏み入れればそこは嬉し恥ずかし空間。あなた達にとっては逃げ出したくなるような桃色の空間、けどクリアして出てきた時には甘酸っぱさを楽しめるような関係になってしまっているはずよ!」


 仁科は高らかにモニターに映る2人へと指を突き付ける。






 そんな2人から少し離れたデスクで小森谷は動揺しきっていた。


「えうえええええええええ!?」

 まずお昼のカップラーメンにお湯を注ぎに行ったときに見た本郷と仁科の距離感への叫び。


「えうえええええええええ!?」

 そして次はモニターに映るジェーノとエーティスの2人を見た叫び。


「えうえええええええええ!?」

 とどめの3発目はポイズンテイスティングの中で酒瓶の中に埋もれた人の抜け殻(ローニア)を見た叫び。


「何あの本郷さんと仁科さんの距離感!近すぎ!近すぎでしょ!?幼き日の兄妹レベルじゃん!」


 当の本人達はそんなには意識していないが、恋する乙女には刺激の強い距離だった。

 

「そいでもってイヴ!いやエーティス!こんの泥棒猫ぉー!」


 ちなみに彼女は小声で叫ぶという器用なことをしている。


「……はぁ」


 そのままモニターに掴みかかっていた小森谷だったが、しばらくすると背もたれに力無く体を預け、ドローンの映像をエーティスからローニアに切り替える。


「ねぇローニアぁ。私たち似た者同士、負けちゃったね……」


 彼女のデスクの上で、カップラーメンは伸びていく。

 

やっと久々に閑話組の話を挟むことが出来ました。

また然るべきタイミングで挟んでいきたいです。

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