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捨て勇者、魔王のもとへ  作者: 海影
わざと捨てられた勇者は、帰るために魔王のもとへ向かう
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もらっちゃった……

 そろそろ……っと気配を消してクラゲに近づく。うーん。どっちが前だかわからないし、とりあえずは近づいて様子を見るしかできないんだけど……


『うん? あ、これって、ひょっとしていせかいのゆうしゃってひと?』


 ……クラゲがしゃべった。ついでに、ボクのことも知ってるとか……。

 バレちゃったので、とりあえず気配消すのをやめて、まっすぐにクラゲに近づいてみる。もちろん、いざって時には逃げられるように準備はおこたらないけどね。


「えっと……、ボクのこと知ってるんですか?」

『うん。かみさまにね、たのまれたんだ。ゆうしゃはかみさまのこえがきこえないから、かわりにつたえてほしいって』


 ああ、勇者は聖者とは違うから。


『あのね。ゆうしゃといっしょにとばされてきた、せいじゃはまおうさまのところでげんきだって』


 そっか。無事だったんだ。よかった。


『あとね。もうひとり、ゆうしゃのしりあいもこっちにまもなくくるって』

「はい⁉」


 もう一人、それって、まさか……。

 ボクが思わず冷や汗をかいているのにも気にせずに、クラゲは何かをぽんっと投げてきた。って、これって、海鮮物⁉


『あとね。かみさまが、ゆうしゃがほしがるだろうから、これ、もっていってあげるようにって』

「あ、アリガトウゴザイマス」


 貝、イカやタコ、海の魚類、あ、これってアンコウだわ。こんなのまで……。


『それじゃ、ぼくはかえるね。ばいばい』


 ……クラゲは池らしきモノごと、消えました。いったいどういう生体なんだ、っていうか、あれは何だったんだ⁉


 おもわずパニックしてると、ガイとシルファも近づいてきた。


「消えちゃったわね」

「大丈夫かい、キリ?」


 わたわたしてたせいで、二人とも心配してくれてるようです。


「いや、なんか神様からの伝言っていうのを伝えてくれて……。ついでにこれくれて」


 海鮮物見せると、二人とも首をかしげている。まあ、見たことないだろうしね。


「……とりあえず、けっこう疲れたし、ここはもう安全みたいだし、もう、休もう……」


 二人は顔を見合わせると、頷いてくれた。


「野営の準備はおれがするよ」

「そうね。今日はあたしが夕飯も作るから、キリはゆっくりと休んでおいて。話は、急ぎのことじゃないなら、明日でもいいもの」

「……ありがとう」


 うん。ボクも情報を整理する、というか、受け入れる時間がほしい……。うん、あいつが来るのか? 来ちゃうのか⁉

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