表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨て勇者、魔王のもとへ  作者: 海影
わざと捨てられた勇者は、帰るために魔王のもとへ向かう
2/95

まずは町に向かうか

 ブチッ!


 ボクの首にアースウルフが噛みついたことで、首に嵌められてた首輪がちぎれ落ちた。


「ふっふっふ……」


 思わずボクは含み笑いをしてしまった。これで、あいつらもボクが死んだと思ってくれるはずだからな。

 首筋に食いついたままのアースウルフの腹部に右手を当てて呟く。


「……飛べ」


 それだけで、風の塊が魔物を吹き呼ばした。アースウルフは空中で体勢を立て直して足から着地してるけど、これはボクの射程範囲内。


「切り裂け」


 真空波が巻き起こり、アースウルフを切り刻んだ。あ、こうなると毛皮がボロボロ。まずった。

 ま、まあ、今は生き延びるのが先決だしね。ボクは自分を納得させると、とりあえず着替えることにした。


「まったく。ボクにあんな重いの持たせるなんて、間違ってるったらありゃしない」


 学ラン、マフラー、サングラス、手袋、革靴。こっちに来たときから身に付けていた服と、ついでにウィッグもはずして物置に収納する。


「……これもさ。普通は『空間収納』とか、『無限収納』とかって名称になりそうなもんだよね」


 なぜか、名称『物置』だよ。まあ、この世界に来たときから持ってた能力で、こっちに来たときに持ってた荷物、全部こんなかに入ってくれてたんで助かったけどね。

 お陰で、持ってた宝石を魔石に変換できたから高値で売れたし、そのお金で旅装も武器も買えたし。


 綿のシャツの上に、丈夫な蒼い麻の外套。おなじく丈夫な薄茶色の麻のズボンに濃茶のブーツ。キツく編み上げていた白髪をゆるいみつあみにして、腰には小剣を左右に一振りずつ。

 そして、空を見上げる。


「まあ、この世界に召喚されてよかったのは、アルビノのボクが、なんの対策もなしに日の下にいられるってことかな」


 白髪、赤目、白い肌。生まれつきの遺伝子異常により、色素を持たずに生まれて、昼間出掛けるときは夏でも重装備ってけっこうきつかったからね。まあ、理解のある学校に通えてたのはよかったと思うけど。友人もできてたし。

 ……友人、か。あの二人はどうしてるだろう……。ボクのことを捜してるかな。特に、片方にはかなり執着されてたし。

 まあ、そっちはいいとして。心配なのは、もう一人の方かな。なにしろ、ボクが飛ばされたとき、その場にいたから。もし、巻き込まれてこの世界に来てたり、それで危険な目にあってたりしたら……。ボクは自分を赦せないかも!


「とりあえず、町を目指そっか」


 ここで考えてても始まらない。まずはさっきの騎士さんが言ってた、近くの町に行こう。


 町までの通り道に、魔物も人も居ないのを能力で確認。さて、飛ばそっかな。……全力で走らずとも、町までは一分もかからないしね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ