まずは色々と確認を……ではなく
はあっ、と大きく店主さんがため息をついた。ああ、なんかほっぽって話が進んじゃってたしね。
「……キリ様、こんなのですが、一応は優秀ですので、よろしくお願いします」
「了解しました。と、そういえば二人の能力は? ボクは一応『魔法双剣士』ってなってますけど」
「……一応って?」
「魔法双剣士?」
あれ、魔法双剣士って知られてないのかな?
「魔法適性が高い、双剣士ってことですよ。ボクの魔法適性は、Sが幾つかありますし。あと、力より速度で手数を稼ぐタイプです」
だから双剣士だし。まあ、盗賊技能については置いておこう。
「いや、普通そういうのはないから。戦士系で魔法を使えてもせいぜいその他タイプの強化系だけだし、魔法を使える場合はそもそも戦士系の技能は持たないし」
「勇者だから、ってことかしらね」
「それで、一応っていうのはどういうことですか?」
店主さんは、一応が気になったようだ。
「ボクの職業、二コあるんです」
「あ、勇者」
「そういうことです」
なので、一応。実は勇者兼魔法双剣士。
「ああ、そういういみなのね。あ、ちなみにあたしは……」
どごん!!
「何事ですか⁉」
なんだ? ちょっと意識を向けてみると、町の北側で戦闘が……ってこれは!
「町の北から魔物の群れが襲ってきたみたいですね。原因は、たぶん巨大な魔力を追ってきたから、ということみたいです」
「なんですって!」
三人ともボクの方を呆然と見てる。まあ、たぶんコレはボクの情報の能力のおかげだけどね。近場ならこういうことを感知することはできる。
魔物の特性として、魔力を持つものに引かれるというのがある。そのため、人は襲われやすいし、強い魔力を放つものは隠蔽の魔道具を使うことがほとんどでもある。
まあ、そのせいで移動についてはあんまり進歩してないんだけどね。
「ガイ、シルファ!」
「はい」
「すぐに鎮圧にむかうわ!」
二人とも、すでに戦闘態勢に入ってるみたい。ここは、やっぱり。
「ボクも行くよ。人数は多いほうがいいでしょ」
「たすかる!」
「急ぐわよ!」
と、三人で走り出した!
……外に出たところで、ボクは二人を抱える。うん。力は強いほうじゃないけど、それでもコレくらいは簡単だんだよね。
「ちょ、おい!」
「な、なに?」
「跳ぶよ!」
ボクはそのまま屋根を伝って北に向かった。いや、これが一番速いから。




