死んだ魚の目をした笑顔の女の子
何時も通りにクワガタの門で止まり入場許可を受ける。
アイハラはブキヤなんで手馴れたもの。
お上の話じゃ、此処の自治区は塵捨て場になってるんだよな。
舐められたもんだ。
大切なお客様がいっぱいいるんだって、こっちはさ。
今日の待ち合わせはナチュラルって生花店。
でも売ってるのは花じゃなくて遊女。
あくまで花を買いに来るんだ、みんな。
「どうも、アイハラですー。御注文の品をお届けにあがりましたー。」
奥から真黒い男性が出てきた。
そう、アイハラのお得意様。
ユウゼンっていうこの辺りの顔役でナチュラルのバウンサーもやってる。
身丈は190cmはありそうで体幹も太く、とりあえず黒づくめ。
「悪いな。金は振り込んでおくから。モノは其処に置いて行ってくれ。」
今日の納品は所謂クナイみたいな刃物だった。
銃火器ダメになったら遠投って訳。
「アイハラさん、たまには花買っていかないか?」
アイハラは若い時に別れてしまったバツ有りの男。かといって30半ばでまだまだ全盛期な訳だ。
たまにはいいか、気分を害してもよくないしな。
「チラッと顔だけ見せてもらいますよ、ユウゼンさんとこの女の子、みんな可愛いですからー。」
ナチュラルで買われていない子たちは外からも見える店内の待機スペースに座ってる。
ユウゼンとアイハラは一旦店を出て外から見ることに。
「新しい花が入ったんだけどちょっと訳アリでさ。アイハラさん、買ってやってくれないか?」
ユウゼンが1人の女の子を親指で指した。
お嬢様みたいな格好して、後ろにでかいトランク。肌が白く、色んな意味でコンパクトな女の子だった。
その子は目が合うと口元を笑わせて手をあげた。
でもその目は死んだ魚。
「おふうっていうんだ。どうだい?」
「おいくらでしたっけ?」
アイハラは見ためだけじゃなくなんだか気に入った。とりあえず話してみたいなって。