・少女と会長と学園と
春の心地よい風、ゆったりとした雲、ひらひらと舞い踊る桜の花びら。
穏やかに流れる時間を私1人、全力で無視して走ると学校まではかかった時間はおよそ18分!! 我ながらよく頑張ったと思う。
「……なんとか、、間に合った~……はぁ」
「あら、おはようございます♪ささ、早くこちらへ」
「わわっ!! ちょ!?」
肩で息を吐き、校門をくぐると、やんわりとした雰囲気を醸し出すブロンドセミロングの綺麗な女子生徒に笑顔で挨拶され、そのまま背中を押されて向かった先は体育館。
「さぁ、どうぞ中へ♪ ギリギリ間に合いましたね、良かったです♪ 席は中央右の六列目です。
お荷物はこの扉付近にでも置いていかれて大丈夫ですよ」
扉を開けるなり紳士的エスコートと嬉しそうに笑う少女に私は申しわけなさそうに軽く頭を下げ中へと入る。
「あ!! 私としたことが、忘れるところでした……いけませんね。入学、おめでとうございます。レナさん♪」
何かを思い出したような突然の声にびっくりして後ろを振り向くと、先程の少女は舌を軽く出し、少し頬を赤く染める。
その仕草に目を奪われ見つめる私に、少女はやんわりと微笑みながらお祝いの言葉を口にした。