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短編

輝く世界

作者: RK

 どこをめざしていたのだろうか?


 光り輝く世界を駆け抜けていた。


 時には立ち止まり、時には仲間と遊んでいた。


 世界はすばらしいと思い、世界を謳歌していた。


 いつからだろうか?


 疲れ果てて、足は次第にゆっくりとしたものになっていった。


 ただ真っ直ぐ駆け抜けていた道は次第にグネグネとしたものになっていた。


 立ち止まることが多くなった。振り返ることが多くなった。


 こんなはずじゃない。そんな弱音が漏れ出した。


 輝いていた世界には霧が立ち込めていた。


 それでものろのろと歩みを進める。いつしか道は遥か高い場所へと昇っていく。


 息をするのも辛くなる。だが、立ち止まることはできない。


 止まってしまえば外れてしまう。


 そうして歩き続けていれば、霧はいつの間にか雲になっていた。


 辺りも上手く見えない。自分が一人なのか、それさえもよくわからない。


 だが、歩みは止めない。止めてはいけない。そんな強迫観念に囚われる。


 やっとのことで雲を抜け出すともう空は近くになっていた。


 下を見れば地上は遥か遠くに見えるのみ。


 自分は結局何をしてきたのだろうか?何か出来たのだろうか?


 輝ける世界で何かを見つけられたのだろうか?


 目を凝らして見ればかつての自分のように地上を駆けまわる姿が見える。


 それをみて穏やかな気持ちになる。


 不安だったけれど、きっと何かを残せたんだ。


 彼は、あるいは彼女はきっと自分と同じ想いを抱くだろう。


 不安に駈られる時もあるだろう。


 時には立ち止まって、後ろを振り返るだろう。


 きっと、それは無駄じゃないと気付く時がくるだろう。


 止めていた足を再び動かす。


 空はもう近い。


 目指していた場所ではないかもしれない。


 でも、ここまで来るために労した努力は無駄ではない。


 霧も雲もここには無い。


 晴れ渡る空がここにある。


 見えなくなっていたものは変わらずそこにあった。


 歩みはゆっくりと、確実に。


 空にたどり着いた時、別れはくるのだろう。


 だけど、それは悲しいことだけじゃない。


 穏やかな笑みを浮かべて想いを馳せる。


 目指した場所には辿りつけなかった。


 でも欲しいものは手に入っていた。


 気付かなかっただけで。それはもう手の中にあったのだから。


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