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第6話

 あれから高校を卒業し社会に出て二年が過ぎた。

 俺は二十歳になってやっとプロボクシングのライセンスを取ることが出来た。

 今では体も締まり筋肉質で普段の体重が七十キロあるが、フェザー級では五十六キロ前後だ。

 ボクサーは減量との戦いと聞くが、やはり十四キロ落とすのは大変だった。

 かなり遅すぎたが、やっとデビュー戦が決まった。

 生活が優先する為、働く方に時間とられたせいだが夢の一歩が始まった。

 あんなに喧嘩では無敵だった俺も、プロの道は厳しく一年間は四回戦ボーイが続いた。


 一方の統子も一向に目が出ず、ベテラン歌手のサブマネジャーとして働いている。

 つまり身の周りの世話と使い走りのようなものだ。

 しかし都会生活に慣れて来て芸能人らしい雰囲気が漂い始めている。元々美貌の持ち主であり小顔で目鼻がくっきりとしている。

 性格も良いし、その容姿端麗と磨かれた歌唱力がある。きっと近い内に成功するだろう。

 売れ出したら一気に人気に火がつくのではないかと、俺は思っている。

 だが今は二人とも無名。互いにもがきながらも決して夢は諦めないと頑張った。

 互いの夢の為に、俺達のデートは月に一回程度しかないが幸せだった。


 やがて半年が過ぎ俺は急に運が向いて来た。二十一歳で新人王のチャンスがやって来た。

 そして俺は悲願の東日本新人王に輝き、勢いに乗り更に半年後に俺はついにフェザー級、日本チャンピオンになった。

 試合を観戦に来ていた統子はさっそく祝福してくれた。

「優、おめでとう。私も頑張らないと。テレビに出られるような歌手になるんだ」

「ああ、統子なら大丈夫だよ。俺だって日本チャンピョンになれたんだ。次は統子の番だよ」

「うん。その頃は優も東洋チャンピョンね。その次は念願の世界チャンピョンかも」

「ハッハハ頑張るよ」

「うん。わたしも頑張ろう。そして二人で有名になって……そして」

「そして、なんだよ?」

「もう! 分かっているくせに。女にそんな事を言わせないで」

 統子は照れくさそうに笑った。互いに口には出さないが成功したら結婚したいと思っていた。


つづく

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