第三話
それが星野統子だった。この時は互いに面識もないし名前も知らなかった。
一年生だけで四百人もいる学校だ。知らないのも当然だが。
「おい! どうしたんだ?」
「いや~~来ないで! 見ないで!」
「そんな事を言ったってよう、もう見たよ。大丈夫ぜったい誰にも言わない」
「…………」
彼女は沈黙したまま側に脱ぎ捨てられていた衣服を身に付けた。
蒼ざめた顔をしているが、都会的な雰囲気でキリッとした顔立ちでかなりの美人であった。
それと比較して俺はゴツイ顔ではないが、眼つきが悪るく善人にはほど遠い人相だと思う。
上手く表現出来ないがヤクザ映画で例えるなら、相手を顔だけで威嚇出来る恐持て顔?
自分でも鏡を見て産んだ親を恨みたくもなる。
ただ俺にも美学はある。弱い者には手を出さないのが俺の哲学である。
「大丈夫、約束する。それより怪我は無いのか」
「怪我はないけど……あたし……あたし」
「泣くな。もう忘れろ。そいつ等を教えろ、仇をとってやる。そして口を封じさてやる」
「ありがとう、でも……貴方の名前は?」
「俺か、堀田優だ」
「え? あなたがあの……」
「知っているのか? 有名なワルだものな、心配するな。こう見えても女には優しいんだ」
「ううん、噂だけは知っている。でも顔は知らなかったわ」
そういって緊張が解けて来たのか統子は泣きじゃくった。
無理もなかった。大きな心の傷を負ったのだ。出来るものなら誰にも知られたくなかっただろう。
同級生にも親にも、それが知れたら統子は自殺をしかねない。
それから俺は一生懸命に統子を励ました。
ショックは隠せないが、俺の励ましが役にたったのか少し落ち着いたようだ。
俺もかなりのワルだが、泣き崩れる彼女を見ていて怒りが湧いて来た。
ましてやか弱い女性を複数の人間で強姦するなんて、人間のする事じゃない。
嫌がる統子からやっとのおもいで、三人の風体を聞き出していた。
つづく




