グッマイラブ 最終話
ご愛読ありがとう御座いました。
その出所の日を統子は知っていたが、相変わらず寝る暇も無いくらいスケジュールが詰まっていた。
統子は何度も刑務所に手紙でスケジュールに穴を空けても行くと書いてあった。
俺はその返事に(プロなのだからそんな事をしてはいけない。統子の夢は俺の夢でもあるのだから)と。
統子は二人の夢の為にステージに立った。そして今日も三万人もの大観衆の前で唄っている。
俺が今日この会場に来ている事を統子は知っていた。
だから統子は俺の為にデビュー曲グッマイラブを、今夜はアンコールを含め三回も組み入れていた。
統子はグッマイラブ唄うたびに涙を流した。何も知らない大観衆は熱唱に酔った。
会場の片隅で聴いていた俺は、グッマイラブの歌を聴くたびに心が熱く燃え上がり涙が頬を濡らした。
統子の歌声は間違いなく訴えていた。私の側を離れないでと。それは俺にとっても胸が引き裂かれる思いだ。
『ありがとう統子』そう呟き、俺は最後の曲グッマイラブを聴き終えると会場の外に出た。
空には満天の星が輝いていた。俺は犯罪者だ。もうボクシングは出来ない。
総てが夢で終わったが、でもいい統子はあの忌まわしい事件から立ち直り大スターとなったのだから。
こんな俺でもボクシングのコーチとして、雇ってくれる云うジムがあった。
なんとか無職で、さ迷う事にならないことに感謝する。
せめてこの手で世界チャンピョンを育てる夢を見よう。そうだ生きている限り夢と希望はついてくるものだ。
『まぁ若い時に散々悪いことをした償いと思えば、これも俺の人生さ』とまた呟いた。
夜空を見上げたら、北斗七星が今夜はくっきりと見える。
まるで歌手、麻野七星が星となって俺に微笑みかけるような思いだ。
『あいつ等は屑だった。だが俺も似たような屑だが。星屑の街か……』
犯罪歴のある俺は歌手麻野七星に相応しくない。消えよう星屑のように……。
そんな俺を退き止めるように、統子いや麻野七星の歌声が聴こえて来るようだ。
『グッマイラブ』
♪あなたに支えられて 私は此処にいる
あの日の誓いは いま実ろうとしている
忘れないで 約束したあの日ことを
二人の夢を叶えよう 二人はグッマイラブ
あなたの為に唄うの グッマイラブの歌を
Foryou グッマイラブ グッマイラブ ♪
了
二人の行く末は皆様のご想像に託して最終回と致します。
いずれにせよ二人は道は違って幸福の星を掴んだことでしょう。




