本編 1 ワル一筋
暴力シーンはありますが、リアルなものではなく物語上、必要な範囲内で描きました。
♪あなたに支えられて 私は此処にいる
あの日の誓いは いま実ろうとしている
忘れないで 約束したあの日ことを
二人の夢を叶えよう 二人はグッマイラブ
あなたの為に唄うの グッマイラブの歌を
Foryou グッマイラブ グッマイラブ ♪
曲の合間に地鳴りのような熱狂が響く中で彼女は唄っている。
今や押しも押されもせぬ人気絶頂の歌手、麻野七星は三万人の大観衆の前でヒット曲グッマイラブを熱唱していた。
大観衆は総立ちでグッマイラブのリズムに合わせて手拍子をしている。
この一年、麻野七星の出す曲は全てがヒットチャート一位に輝く売れっ子歌手であり、その歌唱力も絶賛されていた。
俺の視線が届いたのか、麻野七星は間違いなく唄いながら俺に語りかけているのが分った。
俺達二人にしか分からないメッセージをステージから俺に送り続けている。
それが俺の胸に熱く響くのだ。
あれは今から丁度十年前の事だ。当時、俺と星野統子は同じ高校の一年生だった。
統子は音楽部に入っていた。俺と来たら学校でも有名なワルで知られていた。
中学時代から何回も補導された札付きの不良である。
高校入学も地元では悪名が噂になり入れて貰えず、隣の県の私立高になんとか入れたのだ。
高校に入っても一年生ながら、上級生に喧嘩を吹っかけ袋叩きにしてしまった。
俺を入れる位の高校だから勿論低レベルの学校である事は間違いない。
だがスポーツと音楽部だけは別格で全国レベルにあり、その方面では知れ渡った有名高校だ。
俺は相変わらず高校に入ってもワルを貫き通した。その噂は学校中に広がった。
一年生で暴れまわる俺が目障りだったのだろう。
この学校の番長が生意気だと喧嘩を仕掛けて来た。だがこれも返り討ちにした。
一年生でも喧嘩は誰にも負けない。それが俺の唯一自慢でもある。
もう逆らう者は、この学校では誰も居なくなった。
つづく




