幼馴染がどうやらオレを好きらしい
オレには、幼馴染がいる。
ちょっとぷにぷにした、かわいい幼馴染。
でもさ、あんまりかわいいから…つい意地悪してしまうんよ…。
今日も早速、幼馴染の柚湖をからかってしまいました…。
「柚湖のほっぺは、プニプニだよな〜」
って言いながら、ほっぺをプニプニしてしまいました。
「んもう、触らないで下さーい。あと、この部屋から出て行ってくださーい。」
って言いながら、オレを振り払いお菓子をボリボリむさぼる柚湖。
…
「いや…そもそもここはオレの部屋だし…なんなら、それオレのお菓子な」
柚湖は、聞こえませーんって感じでお菓子を食い続けていた。
「あのー、柚湖さーん…アゴと肉のコラボでニジュウアゴになってますよー」
って教えてあげた。
そしたらコラボ中の柚湖は、お菓子を一気に頬張り、
「いいのかなぁ?わたしにそんなこと言ってさ?あとで後悔するよ?」
って言ってきたんですよ?
「なんで後悔するんだよ?するのは、ニジュウアゴドラゴンの柚湖だろ」
って返してやったんよ。
そしたらさ、ドラゴンはむくって立ち上がって、
「ふんっ」
って、鼻で笑って帰って行った。
きちんとお菓子を片付けてね。
てか、食いかけのお菓子を持ち帰りやがっただけなんですけどね。
そんなドラゴンは、なぜか最近ウチに来ない。
なんだか、ダイエットにいそしんでいるとか。
どうせ続かねーんだろうなぁって…その時は、思いました。
しかし‼︎
高校の入学の日の朝…
オレは柚湖をみてドキッとした。
少し…痩せとる。
さらに、肌が艶やかやん…。
髪も、いつも一本縛りなのに…おろしとる…。
「やあ、おはよーんっ♡」
爽やかな笑顔で言ってくる柚湖。
…
新しい制服姿があまりにも新鮮で、思わず見惚れてしまった。
しかし‼︎
そんなこと言えるわけなくて…
「お、おはよう。久しぶりだな…ドラゴン先生」
って返してしまった。
そんなドラゴン先生は、
「ふんっ」
て、言いながら髪をなびかせて学校へと歩いていってしまった。
おいおい…
ヤベーな…
かわいすぎだろうよ…
これ以上進化すんじゃね〜ぞ‼︎ってこっそり思ったよね。
高校が別々だから余計に心配だ…。
心配するけど…オレは彼氏でもないから、どうしようもできなかった。
高校生になると、ほぼほぼ別世界の人になりつつあったオレたち。
もう、柚湖とはあの入学式の朝以来…一カ月会っていない。
今までは、しょっちゅうオレの部屋でゲームしていたのに…
なのに、最近はめっきり来なくなった柚湖。
そんなことを思っていたら、オレの部屋のドアがコンコンってなった。
柚湖⁉︎
オレは、内心めっちゃ嬉しかった。
でも、はしゃいだら恥ずいから冷静に
「はーい」
って返事したんよ。
そしたら、ドアがあいてさ…
知らない美人が立っていたんよ。
?だれ…
「あのー…家庭教師さんですか?オレ勉強は、そこそこ自分のペースでやりますんで、お帰りください」
ってお断りしたよね。
こんな美人先生に教わったらさ…入ってくるもんも入らないってもんよ。
丁寧にお断りすると、その人はクスッと笑って、
「柚湖のいとこです。本…以前貸してって言われていたの忘れていたみたいなので、お届けにきました」
って、本を渡されました。
ホッソい腕…
「はあ、どうも」
って本を受け取ると、その美人さんは笑って、
「なんで気づかないのよ?いとこなわけないから。わたし柚湖だよ?」
って笑う美人さん。
えっ⁉︎
おいおい…嘘だろ…
そんなんかわいく進化しちまったんかよ⁉︎
「えっ…柚…湖…?」
「うん、そうだよ?ねぇ、久々にゲームしようよ?」
そう言ってオレの隣に座る柚湖は、めっちゃいい匂いがした。
そんでもって…とにかく美人すぎて…緊張するんですけど…
柚湖だけど…柚湖じゃない…
「あのー、お茶とか飲みます?」
思わず敬語になるレベルです。
「なんで敬語?」
「いや、しばらくあってないから…人見知り…かな?」
「ハハっ、真輝斗っぽい」
「ほれ、お茶」
柚湖にお茶を渡すと、一口ゴクリと飲んでオレに渡してきた。
「え、何?」
「間接キス。していいよ?」
いきなりの発言にびっくりしたよね。
「バカ…しねーよ」
「そうなんだ…」
めっちゃしゅんとしょげる柚湖。
…いや、そりゃしたいけど…できるわけないやん。
「いや…その…」
「うん、いいよいいよー。ところでキサマの好きなタイプってどんな?」
と、いきなりな質問をされた。
てかさ…キサマって…。
…
好きな人のタイプは、柚湖に決まってる。
言わないけどねっ‼︎
だからオレは、
「あー…、オレは髪が長い子が好き。」
って、柚湖の長い髪を見ながら答えた。
その答えに柚湖は、自分の髪をなでながらまた、
「ほかには?」
って聞いてきた。
「んー…ほかには…短いスカート履くよりも長いスカートが似合う人」
って答えると、一瞬遠くを見つめて
「へぇー…」
って言ったかと思えばまだ続く質問…
「あとは?」
と。
…「あとはー、めがブルー」
この答えに柚湖は、
「はぁ⁉︎無理だから」
って怒り出した。
「ん?無理って?」
「だから…目があおいとかさ…え、待って…よ…それって外国人が好きってこと?」
と、放心状態の柚湖。
「あー、まぁ嫌いじゃないよ?」
「は?てか、あんた英語話せないじゃない。あー心配してそんしたー」
「え?オレ最近英語めっちゃ頑張ってるよ?てかさ、心配って?」
「あ、だから…英語の…それの……と、とにかく‼︎とにかく‼︎よーくわかりましたっ‼︎覚悟しておきなさい‼︎」
と、言い残し柚湖は帰って行った。
…
なんの覚悟だよ…。
柚湖…ダイエットしすぎて、カルシウム不足なのかな?
かわいそうに。
そんなかわいそうな柚湖を、オレはスイーツバイキングに誘った。
そしたら柚湖は、
「えっ⁉︎ケーキにゼリー、た…食べたい、食べたい食べたい食べたいょぉうぅケーキぃーっ」
と、ゾンビのように架空のケーキを欲しがっていた。
「じゃ、明日行こ?」
オレの誘いに柚湖は、
「は?行くわけなくない?」
と、プチギレしだした。
「え、だってケーキ食いたいんじゃ」
「そりゃ、食べたいけどー…無理」
「なんで?」
…
「だって…だって無理!とにかく無理なの」
と、無理の一点張りです。
「ならさ、牧場行かない?」
オレの誘いにキョトンとする柚湖。
「牧場…?」
「うん、そうだよ。柚湖カルシウム足りてないみたいだったからさミルク求めてさ。」
…
「なら…わざわざ牧場なんか行かなくてよくない?スーパーとかコンビニで買える…よね?」
「あー、たしかに。なら行くか?」
…
「いや…カルシウム足りてるし…ならさ、一緒に行きたいところあるんだけど…」
「うん、いいよ。どこ?」
「映画館」
「今ってなんかやってた?」
「知らん」
…
知らないんだ?
じゃあ…なんで行きたいんでしょうね?
限定グッズとか買いたいのかな?
「まぁ、いいよ。行こっか、映画館」
「うんっ」
柚湖は、嬉しそうに頷いた。
「じゃあ、明日でいい?休みだし」
「それは無理。一カ月後」
「え…一カ月…って」
あー、柚湖のみたい映画はたぶん来月から公開なのだろう。
「あ、うん。一カ月後ね。おけ」
「はーい、じゃあまた一ヶ月後」
…
めっちゃ近所なのに…一カ月後のお約束となった。
ま、いっか。
それから一か月後…
オレと柚湖は、携帯でのやり取り以外あっていなかった。
映画の待ち合わせ場所は、柚湖の部屋。
久しぶりの柚湖の部屋。
あー、小学生ぶりなんじゃね?ってくらい久々だ。
オレの部屋には、よく柚湖来てたんだけどな。
ちょっと緊張しつつ、柚湖の部屋をノックした。
すると柚湖の声が
「はーい」
って元気よくしたんだけど…
ドアの向こうにいたのは…
まさかの知らない人でした。
「失礼しましたー…ソーリー…」
ってドアを閉めたよね。
トイレあけたらだれか入ってました…くらい気まずすぎました。
柚湖のおねえさんか…ってさ、柚湖一人っ子やん!
え?じゃあ、今のだれ?
「もー、遊んでないで行こ」
ドアからさっきの人が出てきて出かけようとしていた。
えっ?
「ちょっ、ちょい待ちよ‼︎」
オレは慌ててさっきの人の手を握り柚湖の部屋へ戻った。
「も、もしかして…ゆ…柚湖じゃ…ないよね?」
「柚湖に決まってるじゃん」
「待て待て‼︎なんだよ…だれだよ…」
「だーかーらー、ゆーこ‼︎」
「柚湖…なの?ほんとに柚湖?ワッツユーアーネーム?」
「そうだよ、さっきから言ってるじゃん」
…
「なんで…あの…アーユーフロム?」
「だから、なんでちょいちょい英語挟むわけ?」
「だって…目が…目が…青いやん。」
「こ、これは…真輝斗が青いひとみに憧れるって言うから…その…」
…
柚湖…
たしかに柚湖は、この前オレの好きな人のタイプ聞いて、まんまの格好をしていた。
「もしかして柚湖、オレの好みに寄せてくれた?」
「は?んなわけ…知らん」
え、まさかそうなのか⁉︎
「真輝斗は、のんびり屋さんなの?…と、とりあえず行こ!」
「っ、待って‼︎」
「今度は、なにぃ?」
「あのさ…みたい映画って何?」
「うーん…これから決める」
ないんかい‼︎
とくにみたいやつないんかい‼︎
「ならさ、バイキング行こう」
「いや……だからバイキングだとまた太るし…」
「オレ、ぽっちゃりの柚湖も好きだよ?まぁ、病気にならない程度摂取するなら全然よくない?オレがいうのもなんだけど…無理すると心にもよくないし。」
…
「なら、行く‼︎甘いのずっと食べたかった」
「うん、行こ。…なぁ、柚湖…ごめんな」
「え?何が?」
「オレがこんなんだから柚湖が振り回されてたんだなって改めて気づいたんだ。柚湖は、柚湖の好きな服着て好きなもの食べてればいいんだよ。」
「でも…でもそれじゃぁ…」
…
オレはいつのまにか、柚湖を抱きしめていた。
「柚湖は、どんなふうになっても柚湖なんだから。オレはどんな柚湖も大好きだから…だから、オレの為に無理しないで。好きだよ、柚湖」
「うん、わたしも好き。大好き」
こうしてオレたちは無事、思いを通じ合うことができて、交際が始まったのであります♡
無事スイーツバイキングにも行きましたとさ♡
おしまい。