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 悲しければ涙を流しやすくなるが、(わび)しいからといって涙を流す人は泣き上戸の人ぐらいだろう。^^ 両者の間には大きな差があるようだ。

 とある中央省庁である。審議官の室端(むろはた)は[泣きの室さん]という陰の異名を持つ、涙なくしては語れない人物だった。それも酒の席だけでなく、日常生活全般を通して、だった。仕事でぅぅぅ…と涙を流し、トイレに入っては涙を流し、勤務を終えて家に入った途端、涙を流すのだから、これはもう、脳が発する涙腺機能が故障してるとしか思えない…と誰もが噂をしていた。そして今日も、室端の泣きの勤務が始まったのである。

 審議官室に入った室端は席に着いた途端、デスクに平伏(ひれふ)し、よよ…と泣き崩れた。慌てたのは秘書官の口輪(くちわ)である。

「し、審議官! い、如何されましたっ!」

「口輪君か、おはよう。ぅぅぅ…昨日ね、〇〇さんがね、ぅぅぅ…」

「〇〇さんが、どうかされましたっ!?」

「〇〇さんが、同郷じゃないかっ! って言ったんだよ…」

「はあ、それで…」

「それだけなんだがねっ! ぅぅぅ…」

 秘書官の口輪は、そんなことでフツゥ~涙を流すかな…と思うでなく思いながら室端の顔をチラ見した。だが、泣きの室さんの涙は毎度のことである。出世する人ってのは、考え方に差があるんだなぁ~自分も見習おう…と、口輪は改めて思い直した。

左様(さよ)でしたか、ぅぅぅ…」

「口輪さん、分かってくれるかね、ぅぅぅ…」

「ぅぅぅ…審議官、分かりますともっ!!」

「ぅぅぅ…そうかっ!!」

 二人は両手を握り合いながら涙に暮れた。^^

 世間は広い…とは、よく言われますが、こんな中央省庁なら慣行や慣例に左右されず、日本の未来は起債が消えてバラ色になるんでしょうね、たぶん…。^^ 現実との差は歴然ですから侘しいお話になりますが…。^^


                   完

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