表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/100

-92- 曇り

 曇りの日は心がなぜか(わび)しくなる。図解すれば、(--)顔となる訳だ。^^ ところが、悪い内容が重なっていたとしても、晴れれば、なぜか(^^)顔になるのは不思議といえば不思議だ。これは私の場合で、読者の皆さんの心理とは必ずしも一致しないから誤解なきように…。雨だと、どうなの? という話になるが、雨の場合は不思議と(・・)ぐらいで、時と場合で変化する。^^

 梅雨の晴れ間、菊の五十円硬貨[旧五十円硬貨で穴は開いていない]のようなウキウキした顔の菊丘(きくおか)は、衣類や布団の日光干しをしていた。昨日は曇りで、どういう訳かテンションが侘しく下降し、何をする気力も失せていたのだが、今朝は晴れて気分が高揚していた。

「やあ、菊丘さん! 御精が出ますな…」

 庭の垣根越しに声をかけたのは、隣に住む新五千円札の顔をしたような北里だった。旧五十円硬貨と新五千円札とでは雲泥の差、月とスッポンの差である。^^ もちろん、北里が雲や月で、菊丘が泥、スッポンということになる。

「ああ、北里さんでしたか、いいお天気で…」

 気づいた菊丘が布団叩きの手を止め、下から目線で北里に挨拶をした。新五千円札>旧五十円硬貨といった上から目線ではない顔である。^^

「ですな…」

 北里は笑顔で短く返しただけだったが、どことなく菊丘とは威厳の差が(にじ)み出ていた。北里はホールディングスの会長、一方の菊丘は、しがない年金暮らしの元公務員だった。しばらく垣根越しに世間話をし、二人は家へ入った。

『格差か…』

 溜め息を()きながら菊丘はカップ麺の天蕎麦(てんそば)を侘しく(すす)った。一方の北里は余命、幾許(いくばく)もなく、何も食べられない健康状態だった。

 菊丘さん、あなたは幸せですよ。美味しい天蕎麦が食べられるんですから、曇りどころか快晴です!^^


                   完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ